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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年03月15日

ニューヨークタイムズより「日本における放射能放出は数カ月続く可能性あり」と専門家が見解(2011.03.15)

 

日本の震災及び原発事故に関しては、海外のメディアも盛んに報道しています。特に、原発事故に関して、海外の原子力専門家も分析・見解を発表しています。日本の政府の見解とはかなり異なる見解や、は日本政府の発表には出てこないものもあります。

どの見解が正しいのか、私には100%の確信を持って判断することはできませんが、「海外にはこういう見解を発表している専門家もいる」という情報として、お伝えします。

「放射性物質を含んだ水蒸気を定期的に放出する措置は核分裂が止まった後も1年以上続けられることになる可能性がある。ということは、数十万人の避難住民は長期間家に戻れないことになる」とのこと……。

以下、3月14日付のニューヨークタイムズの記事からです。記事から私が抜粋した内容を仲間が簡単に日本語にしてくれましたので、お届けします。詳しく読みたい方は、リンクをたどって原文をどうぞ(初回は無料登録が必要になります)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2011年3月14日「日本における放射能放出は数カ月続く可能性あり」と専門家が見解

デヴィッド・サンガー、マシュー・L・ウォルド
http://www.nytimes.com/2011/03/14/world/asia/japan-fukushima-nuclear-reactor.html?_r=1&emc=na&pagewanted=print

日本の政府関係筋は、2つの発電所での炉心溶融は「部分的」であり、発電所外での放射能の測定値は、日本の安全基準値の2倍とはいえ比較的低いと思われると言っているが、米国国防総省は13日にプラントから100キロメートル離れた地点を飛行したヘリコプターに少量の放射性の微粒子が付着していたと発表した。セシウム137とヨウ素121が含まれていると思われ、これは環境汚染の広がりを示している。

1号機の設計に詳しい複数の専門家によれば、東京電力側にはいまや、冷却手段として放射性物質を含んだ水蒸気を定期的に放出する以外に選択肢はほとんどなく、この措置は核分裂が止まった後も1年以上続けられることになる可能性があるという。ということは、数十万人の避難住民は長期間家に戻れないことになり、風向きが変われば、放射性物質が海方向ではなく日本の都市に向かって運ばれる可能性がある。

通常の原子炉冷却機能を回復するには、電力が必要であり――地震と津波で電力供給は停止中――発電所の技術者たちは、すでに放射能汚染が著しい場所で作業をする必要があるだろう。

米国政府は、不安を抑えるために、「ハワイやアラスカ、米国領および米国西海岸では、放射能が人体に悪影響を与えるレベルには達しないと予想される」との結論を出しているが、日本に到着した専門家はこの3日間に起こったことを把握し始めており、その一人は「最良のシナリオをたどったとしても、これが近いうちに終わることはない」と述べた。

核分裂反応が止まって原子炉の運転が停止されても、燃料は運転時の約6パーセントの熱を出している。通常は、電気ポンプによって熱水を抜き、それを冷却するのだが、今回の場合、電力供給が止まった後、このシステムが使えなかったため、海水を注入して燃料冷却を試みた。だが、これによって、炉内の圧力が上昇して、大気中に蒸気を放出し、さらに水を注入するという手法をとらざるを得なくなっている。

燃料が無傷であれば、放出する蒸気に含まれる放射性物質はわずかであるが、燃料が損傷すれば放出される蒸気の汚染度は高まる。

もう一つの懸念材料は、日本の原子炉の中にはMOX燃料を使っているものがあり、MOX燃料には再処理したプルトニウムが含まれていることだ。今回の原子炉がこのタイプであれば、放出する蒸気はより有害なものになる可能性がある。

問題の原因は、津波の後の一連の失敗にある。津波は福島発電所の周囲にあった護岸堤防を軽々と越え、ディーゼル発電機が浸水した。発電機は低いところに置かれていた--これは明らかに、護岸によって守られるだろうという誤った自信によるものだ。

大きな爆発は、炉心が冷却されない場合に原子炉格納器内で起きる可能性のあることを示す警告である。IAEAによれば、「炉心の損傷を抑える手段として」東京電力は海水にホウ素(核反応を止める作用がある)を混ぜて注入することを計画し、12日午後10時20分にそれを開始した。

これは捨て身の行動である。海水を注入すれば発電不能になるので、廃炉を決心したということなのだ。だがこの海水注入も簡単ではない。格納器内の圧力がひじょうに高くなっているために海水注入が困難になっている。

問題をさらに大きくしているのは、原子炉内の計器が地震または津波で損傷しているようで、炉心にどのくらいの水があるかを正確に知ることができなくなっていることだ。

また、注水の作業にあたっている人々は放射能にさらされていると思われる。放射能汚染の治療を受けた作業員も複数いるという。彼らの被曝の程度がどの程度深刻なものかは不明である。

(以上)

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