昨日の基本問題委員会で、選択肢案ができました。
(1)「原発をゼロにしていく」
(2)「40年廃炉+新増設なしで原発比率を下げていき(2030年に15%ぐらい)その先はそこで判断する」
(3)「原発比率を20〜25%維持する」
(4「)きちんと外部コストを入れて市場メカニズムに委ねる」
の4つです。
方向性のベクトルとして表すと、こんな感じです。(ずれたらゴメンナサイ!)
(1) (2) (3) (4)
\ \? \_ 市場に委ねる
\ ?
原発ゼロ-----------------------
(1)の「原発をゼロにしていく」には、「今のまま再稼働させずにずっとゼロ」も、「再稼働しても、2030年にはゼロにする」も、「再稼働させ、40年廃炉+新増設ナシで減らしていって、2030年の先にゼロにする」も入ります。
「原発比率を35%にする」というペンディング選択肢は当然今回消えていると思っていたのに、事務局案ではペンディングが外れて本選択肢に化けていたのでびっくりしました。
3.11前の原発比率は26%でした。「原発比率を下げる」ための選択肢を作っているのに、原発比率を上げる選択肢なんて信じられない!外すべき!と多くの委員が言っていたのですが、「自分は推さないが、参考値としては役に立つ」という数名の委員の意見に、ずーっと残っていたのでした。
昨日も多くの委員の反対が強く、最後は委員長の裁定として、35%案は選択肢ではなく、「参考値」扱いとなりました。それにしても、どういう思惑や筋書きで35%がこんなにしぶとく残っていたのか……。いろいろ勉強になります。 この委員会の役割は、「エネルギーミックスを決める」ことではなく、「選択肢を出す」ことです。そういう点では、当初の数字の羅列ではなく、大きな方向性(原発をなくしたいのか、減らすが残したいのか、いまは決めがたいのであとで決めることにするのか)という、当初よりはわかりやすい選択肢になったと思っています。
このいくつかの大きな方向性について、みんなでどうしたいのか、それはなぜなのか、そのときのプラスとマイナスは何なのか、マイナスを減らすにはどうしたらよいのか、を考えていくことになります。
昨日の委員会の最後に、「選択肢案はまとまりましたが、その示し方は別ですよね? どう提示するかは今後の議論ですね?」と釘を刺させてもらいました。
経済や家計への影響をどう計算し、どう示すか、誘導的な表現が残っていないかなど、「示し方」についてはまだまだやるべきことがあるからです。
「誘導的な表現」というのは、たとえば、前の事務局案では「原発を20〜25%維持する案」について、こう定義していました。
「原子力発電への依存度は低減させるが、今後とも原子力発電に一定の役割を期待し、再生可能エネルギーも含めてバランスのとれたエネルギー構成を実現する」
これに対して、前回私から「バランスのとれた」というのは、それがよい・望ましいという価値判断が入る可能性のある表現なので、変えるべき、と発言し、今回は「バランスのとれた」の代わりに「多様で偏りの小さい」と表現が変更されていました。これで価値判断が除かれたか多少の疑問は残りますが、まえの表現に比べるとずっとましだと思います。
このように、どのような表現を使うのか、特に国民生活への影響について、どんな数字をどのように示すのか(数値だけなのか、グラフで示すのか、最後の結果だけを示すのか、そこまでの長期トレンドの中に位置づけて示すのか、などなど)は、私たちが選択肢をどう考え、判断するかに、大きな影響を与えます。
「示し方は今回の事務局とりまとめが最終ではない」ということは明言してもらいましたので、もうしばらくがんばろうと思います。
基本問題委員会での活動にいただいているみなさんからのエールやご意見等、とてもありがたくうれしく思っています。個別にお返事できていませんが、参考にさせていただきつつ、今後も進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします〜!