エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2008年03月17日

greenwash

 

「グリーンウォッシュ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

「グリーン」は緑のgreen、おなじみの「環境・地球に優しい、環境意識が高い」という意味です。「ウォッシュ」もおなじみの英単語ですね、wash、「洗う」「洗うこと」です。

両方ともよく知っている単語ですが、ではあわせてgreen+washだから「地球に優しい洗濯」かというと、そうではないのですよ。

このgreenwashという言葉は、実はwhitewashという言葉から来ています。whitewashとは、「水しっくい」「修正液」という単語ですが、そこから「ごまかし」「取り繕い」「粉飾」という意味もあります。

つまり、whitewashは「~のうわべを飾る」「~をごまかす」という意味でよく使われる言葉なのです。例えば、He tried to whitewash the sin of his church.(彼は自分の教会の罪をごまかそうとした)
この「白いしっくいを塗ってごまかす」というwhitewashの「white」を「green」に置き換えたものがgreenwashです。「環境に優しいという言葉でごまかす」というような意味ですね。

英語圏の人は whitewashという言葉を知っているので、「グリーンウォッシュ」と聞くとすぐにピンとくるのでしょう。

greenwashとは、一見、環境に良いことをしているように見せかけながら、実際には環境に悪い影響を与えている企業の行動やその企業を示す言葉です。

例えば、実際には大部分のエネルギーは化石燃料なのに、風車の回るコマーシャルを流すなど、部分的に行っている自然エネルギーを前面に出し、「環境にやさしいイメージ」を出そうとする企業などですね。
 
その企業が故意に表面を繕うイメージ戦略を行っている場合だけではなく、企業は善意でよかれと思ってやっていても、結果的に「実は環境に悪影響を与えている」場合も、グリーンウォッシュになります。

日本ではこの「グリーンウォッシュ」という言葉も、そういった企業に対する糾弾もあまり聞かれませんが、欧米ではNGO(非政府組織)や市民、メディアが「この企業の行動はグリーンウォッシュだ」と告発したり、批判したりすることがよくあります。

例えば、米国に本拠地を置くCorpWatchというNGOは、1996年の設立以来、戦争や不正、環境破壊や人権侵害から利益を得ている企業を告発する活動を展開しています。毎年、「今年のグリーンウォッシュ大賞」を選び、ダボスでの世界経済フォーラムにあわせて“授与”するというキャンペーンを行っています。

ここのウェブサイトにある「グリーウォッシュの歴史」というペーパーや歴代の“受賞者と受賞理由”は、「何が本当にグリーンなのか」「企業の環境キャンペーンのリスク」を考える上で参考になるかもしれません(http://www.corpwatch.org/index.php)。

 

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