1月11日付の日経新聞に「再生エネ、原発6基分が発電開始 太陽光が97%」という記事がありました。
2012年7月に固定価格買取制度が導入されてから、再生可能エネルギー(特に設置に時間もかからず住民合意の必要性などもない太陽光発電)が"ブーム"といわれるほど各地に設定が進んでいることはご存じの通りです。
昨年2013年7月には「固定価格買取制度導入から1年たち、原発3基分が発電開始」という報道でしたから、その後の半年でさらに原発3基分の発電が開始されているのですね。めざましい進展です。
かつて「日本ではどうして再エネが増えないのだろう......このままずっと無理なのだろうか......」とため息をついていたのですが、昨今の再生可能エネルギーのめざましい拡大のニュースを見るたびに「制度をつくる政策の有効性と重要性」を痛感します。
もともと日本には再エネ技術もあったし、再エネを導入したいという気持ちを持つ人もたくさんいました。でもそれだけではなかなか普及しませんでした。そこに固定価格買取制度という制度ができたからこそ、これだけ広がっているのですよね。
もちろん現在の固定価格買取制度がパーフェクトだというわけではなく、普及はうれしいけれど、その分国民や企業の電気代に上乗せされる分も増えますから、その折り合いをどうつけるのか、太陽光発電に偏っている現在の再エネを、風力や地熱など、より低コスト/安定供給型のものも増やしてバランスよく広げていくにはどうしたらよいかなど、いろいろな課題もあります。
地域のエネルギー資源を地域のために役立つ形で使えているだろうかという課題もあります。高い固定価格のうちに買取枠の申請だけして、実際にはまだ発電を始めていないどころか、その枠を転売することで儲けようという会社も出てきているなどの問題もあります。
そういう課題や問題のある現状に「だから固定価格買取制度はダメなんだ」という声もありますが、政策や制度自体の有効性と、政策や制度の課題・問題への対処は、分けて考えるべきではないでしょうか。政策や制度自体が有効なのであれば、それは活かしつつ、そこから発生する課題や問題への対処を考えればよいということです。
実際、風力や地熱を促進していくために固定価格の見直しを行いながら進めていますし(固定価格を柔軟に変えられるように制度設計されています)、「枠取り」問題にも対しても、経産省では事業者に対して「早期工事着工か、枠の移譲か」を迫る対応を始めています。
固定価格買取制度は、政策を実施したらこんなに日本中で再エネが増え始めた!という意味で政策や制度の有効性を実感させるものです。だからこそ制度を作る政策がどれほど重要かを痛感します(悪い制度を作ればすぐに悪い展開が起こるということでもあります)。そして、制度を運営しながら課題や問題に対処していく(それができるような制度設計にしておく)ことがよいという例にもなっていると思います。
問題や課題があるからといって制度自体を否定するのではなく、その制度が生み出している望ましいものを損なわずに、制度をよりよいものにしていくことに力を貸したいと思うのです。