幸福度の見える化
「GNP(国民総生産)よりも、GNH(国民総幸福)のほうが大事」としたブータンの取り組みが1つの刺激となって、究極の目的であるはずの「幸福度」「真の豊かさ」を測ろうとする動きが世界中に広がっています。でも、GNPやGDP(国内総生産)は算定できるし、発表されているけれど、幸福度はどうやって測ればよいのでしょうか? 主観的な幸福度を測定することができるのでしょうか?
近年、幸福研究と統計学の進展があいまって、「幸福度の測定」技術が大きく進歩してきました。枝廣は、ブータン政府のGNHを世界に広げていこうという国際専門家委員会の一員でもあり、世界の最新の取り組みや手法等の情報にも近い立場にあります。イーズ「アセスメント・見える化ユニット」では、地域や企業のニーズにあわせて、「本当に大事なものを測る」お手伝いをしています。
事例1 島根県隠岐郡海士町(幸福度調査)
地方創生の先進地域の1つである、島根県隠岐郡海士町では、「海士らしい幸福度を測りたい」という要望にあわせて、「海士らしい幸福とは何か」を模索する作業から開始しました。これまでのさまざまな調査や委員会での議論、町の人々の声の聞き書きなどの膨大な資料から、「海士らしい幸せ」「海士らしさ」への言及をピックアップし、地域の方々との議論を通して、「海士らしい幸せを測る調査」を設計しました。
町役場から配布してもらった調査票が回収されたあと、分析を行いました。さらに、同じ項目での全国調査も行い、全国と比べての「海士らしさ」も浮かび上がらせました。結果は、役場の経営幹部へのブリーフィングを行って町政への反映をはかったほか、今後策定される総合振興計画にも役立てられる予定です。また、広報を通して町民にもフィードバックするとともに、ウェブサイトから広く発信されています。
この幸福度調査で「海士らしさ」の1つとして測定した「ないものはない」という価値観については、今回の結果をもとに、論文を執筆し、海外で開催される国際学会で発表するサポートもおこない、世界への発信にもつなげます。
事例2 株式会社ミナモト建築工房(社員満足度調査)
家づくりを通じて、持続可能な社会づくりに寄与したいと取り組む岡山県の地域密着型の工務店ミナモト建築工房のサポートを行う一環で、同社の今後の経営に活かすための社員満足度調査を設計・実施しました。分析結果は次期経営計画にも活かされ、社員も地域も地球も幸せになれる事業展開への一助となっています。