地下鉄の駅のそばに立つ立派な建物に本部があります。そこを訪ねたとき、同じ建物の一角に、食料・日用雑貨品を売っているお店がありました。入り口は別です。本部の入り口がわからなかったので、そのお店に入っていって道を聞きました。
あとで本部で教えてもらったのですが、このお店は、貧困層のためのお店なのだそうです。日本でも、食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する「フードバンク」という活動が広がっていますが、仕組みを聞いてみると、このフードバンクの"お店バージョン"です。
食品企業の規格外品や、包装の痛みや賞味期限が近いなど、品質に問題はない加工品、パン屋さんなどの少し時間のたったパンなどが届けられます。フードバンクでは、こういった食べ物を福祉施設や支援が必要と認められた家庭などに届けるのですが、ここでは、お店を設けて無料に近い安い価格で販売しているのです。購入するときには、生活保護など、購入対象者であることを示す必要がありますが、お店を通して、生活困窮者は自分で選んで食べ物を手に入れることができます。いい仕組みだなあ!と思いました。
あとで、バラトングループの創設者でもあるデニス・メドウズ氏と話していたとき、またまた素敵な取り組みを知りました。デニスは数年前に地域でコミュニティ・ガーデンを立ち上げ、非常に盛況な活動に広がっているそうです。「コミュニティ・ガーデンの中に、数区画、フードバンクへ寄付する野菜を作る区画を作ってあるんだよ。フードバンクは通常、缶詰とかレトルトとかが多くて、生鮮食品は手に入りにくい。だから、ここでみんなで作った農作物をフードバンクの人は喜んで運んでいくよ」。
日本でのフードバンクの活動も、いろいろなバリエーションやさまざまな活動との連携を広げながら展開していくとよいなあ!と期待しています。