年末の12月26日、総理大臣官邸で第4回持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が開催され、SDGsアクションプラン2018が策定されました。安倍総理の発言です。
「我が国は、SDGsの推進を通じて、創業や雇用の創出を実現し、少子高齢化やグローバル化の中で実現できる豊かで活力ある未来像を、世界に先駆けて示してまいります。そのため、日本ならではのSDGsモデルを構築することとし、第2回会合で決定したSDGs実施指針における8つの優先分野に総力を挙げて取り組む上で、この度、SDGsアクションプラン2018を策定しました」。
8つの優先分野も含め、「SDGsアクションプラン2018」はこちらにあります。
「SDGsアクションプラン2018」をみた感想です。SDGsの17目標では「貧困」「飢餓」が最初にきており、日本でも子どもの貧困の問題が大きくなってきている現状があります。アクションプランでは、「幼児からの教育」を通じて貧困や格差の問題に取り組もうという考えはわかりますが、「貧困」の問題にもっと正面から取り組む姿勢がほしいなあと思います。
もう1つ、アクションプランを見て感じた違和感があったのですが、その違和感は、以下の安倍総理の発言を読んで、さらに強くなりました。抜粋引用します。
「このアクションプランでは、日本のSDGsモデルを特色付ける大きな柱として、次の3つを掲げました。
1つ目は、SDGsと連動する官民を挙げたSociety5.0の推進です。具体的には、ベンチャー企業支援を含むSDGs経営推進イニシアティブや投資促進の仕組み、SDGsに資する科学技術イノベーションのための国際ロードマップなど、企業の取組を更に後押しする施策を、来年年央までに策定します。(中略)
3つ目は、SDGsの担い手としての次世代や女性のエンパワーメントです。働き方改革や女性の活躍を推進し、SDGsを主導する人材育成に注力します」
安倍総理の発言の冒頭が「我が国は、SDGsの推進を通じて、創業や雇用の創出を実現し」であるように、アクションプラン全体を通して、「SDGsは、産業育成や従来型の経済成長の手段として位置づけられている」ことに、違和感を覚えたのでした。
「包摂的で持続可能な経済成長」はSDGsの「目標8」に位置づけられています。しかし、「包摂的で持続可能な経済成長」のためには、従来型の「何であっても何が何でも経済成長」は減らすか、変えていく必要があると思っています。そこまで含めてのSDGsの位置づけにはなっていないのだなあと思いました。
SDGsの議論や取り組み、進捗確認などを通して、そういった視点も話し合いの俎上に載ってくることを願っています。そこに切り込んでこそ、「日本ならではのSDGsモデル」になっていくのではないか、と。