著者である枝廣淳子が、自分の体験に基づいて編み出した、夢を実現するためのメソッドと自身のサブストーリー。「このままでいいのかな」というもやもやした思いが出てきたら、第1の扉を開けて出発!「ビジョンを具体的に描く」「はじめる壁と続ける壁を乗り越える」「バックキャスティングで自分をコーチする」
「PDCサイクルで自分をマネジメントする」--7つの扉を開けて進んでいくうちに、あなたもなりたい自分に近づいていきます!
◆はじめに◆ 「もやもや」しているあなたへ
「朝から晩まで一生懸命、仕事をしています。職場にも給料にも文句はありません。でも、いつもどこか満たされない気持がします」
「優しい家族に恵まれ、生活もそこそこ楽しんでいます。それなのに、本当の私の姿がどこにもない気がするのです」
「まえの職場では、やりがいのある仕事ができない気がして、転職しました。でもここでも、本当に自分がやりたいことができない気がして、まわりを見てはいらいらする一方、『本当に自分がやりたいこと』がしっかりわかっていない自分に落ち込んでいます」
「このまま終わりたくない、という気持だけはあります。でも、後悔しない人生を送るために、いまどうしたらよいのかわかりません」
「これからの人生を考えようとすると、いつも何かもやもやした気分で覆われてしまい、考えが進みません」
「大学での就職活動を始めましたが、『自分は何をやりたいのか』『どういう方向に進めばよいのか』がわからず、ぐずぐずしているあいだに、流れに乗り遅れてしまいました。一生の仕事ですから、就職できればどこでもいい、とは思っていません。一方で、内定をもらったり、しっかりとやりたいことを追求している友だちを見ると、焦りで気が狂いそうになります」
このような話を見聞きするたび、私は「もやもや時代」を思い出します。あなたも「もやもや」することはありませんか? これまでにそういうこと、ありませんでしたか? 「このままでいいのだろうか?」と何か落ち着かない感じで、胸の中がざわざわ波立っているように「もやもや」することが。
もやもやする気持ちはいやなものです。気がふさぎます。落ち着かない気がして、何かわからない不安をひたひたと感じます。原因がわれれば手の打ちようもありますが、それもよくわかりません。だからもやもやするのですが……。
私だって、いまでこそ「その『もやもや』はアナタの腑から立ちのぼっているありがたい狼煙なのですよ。大事にしてね!」と言ってあげられるようになりましたが、「もやもや時代」の真ん中にいたころの自分――形が見えない、じわじわと忍び寄ってくる焦りや不安に、毎日何をしていても、心のどこかに黒雲がたれこめているという状態――を思い出すのです。森田公一とトップギャランの昔の大ヒット曲「青春時代」ではありませんが、
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もやもや時代が 夢なんて
後からほのぼの 思うもの
もやもや時代の 真ん中は
道に迷っているばかり
こんな「もやもや」なんて、一刻も早く消えてほしいイヤなものなのに、なんだって「ありがたいものだから、大事にして」なんて言うんだろう? と思うかもしれませんね。
そのもやもやを「大事にすべき理由」と「大事にする具体的なやり方」について、これからお話していきます。これから紹介する具体的な方法は私が米国で同時通訳になりたいと一心に努力していた頃、そしてその後さまざまな活動をする中での試行錯誤の成果なのです。そしれ、それがみなさんの、
「本当に自分がやりたいこと」
「進むべき方向」
を見つけるための近道になると信じています!
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◆おわりに◆ プロセスこそすべて
かくしてアポロ号は目的地に到着して、めでたしめでたし、と終わりました。 しかし、私たちが天職を探したり、本当にやりたいこと、「私はこれをやるために生まれてきたんだ」と思えることを模索したりする場合は、「はい、到着しました。お疲れ様でした」というものではありません。
自分のこれまでを振り返ると、「あの月をめざそう!」と目標を立てて、計画を作り、振り返りながら調整をしながら、その月の近くまでやってきたら、その向こうにもっと魅力的な星がキラキラと手招きをしている。「じゃあ、あの星まで行こう!」と、また計画を作り、実行し、振り返りながら進んできたら、もっと素敵な星が見えてきた……そんな繰り返しです。いつまでたっても「はい、到着しました」にはならないようです。
「到着すること」ではなく、次々と素敵な星を見つけながら、自分の軌道を修正しながら、進んでいくそのプロセスこそが人生なのだ、と思うのです。
そして、自分の「根性」や「精神力」だけに頼って駆け抜けようとするのではなく、当初の熱い思いが冷めても、自分をあやし、なだめ、励まして、進ませ続ける自分マネジメントシステムをじょうずにつくってあげることがラクに進んでいくコツだなあ、と思うのです。
「向かっていく幸せ」「振り返る幸せ」そして「いまここにいる幸せ」を感じつつ、進んでいけることはとてもうれしいことですし、「この先、自分はどんなところへ行けるのだろう?」ととっても楽しみ! なのです。