大震災によって、企業にとってのみならず、私たち市民一人ひとりにとっても、エネルギーが「他人事」ではない大きな問題であることが明らかになりました。
暮らしに不可欠なエネルギーを、他人任せにするのではなく「自分で手綱を握る」こと。そして、まわりとゆるやかにつながること。
どんな時代になっても「わが家は大丈夫!」と安心して幸せな暮らしを続けていけるように、いまできること・すべきことをまとめてみました。
石油や電気の料金値上げに翻弄されない、しなやかな強さをもった暮らしにシフトしていきたい--そんな思いを込めた一冊です。
はしがきより
新聞を見てもテレビを観ても、「原発か、自然エネルギーか」「天然ガスは大丈夫?」「電気代が上がる!」などなど、電気やエネルギーに関するニュースがいっぱいですね。企業や自治体も対応に大わらわです。なにせ電気やエネルギーがないと、工場も動かせませんし、社会の円滑な運営も難しくなってしまいます。企業にとって、エネルギーコストがいくらになるのかは、その経営状態に直結する大問題でもあります。
そして、私たち市民の一人ひとりにとっても、「他人事」ではありません。私たちの家庭だって、電気やエネルギーがなくてはとても困るでしょう。ご自分の家庭では、毎月いくらぐらい、電気代やガス代、灯油代やガソリン代などのエネルギー料金を払っているでしょう?それが10%、20%と上がっていったら……? やっぱり大問題ですよね!
これまでの「安い石油が支えてきた世界」は終わりを告げ、石油の値段は10年前と比べても大きく上がってきています。今後も上がり続けるでしょう。生産量は変わらないか減っていくというのに、需要は増え続けていくのですから。
そして、「安全で安い」とされていた原子力発電も、東京電力福島第一原発事故で「安全でもなく、安くもない」ことがわかってきました。自然エネルギーに期待が集まりますが、これまで力を入れてこなかった分、普及のために最初はお金がかかるでしょう。
石油の値段や電気代がいくらになっても、どんな時代になっても、「わが家は大丈夫!」と言えるように、安心して幸せな暮らしを続けていけるように、いまできること・すべきことは何でしょうか?
幸い、自然エネルギーはいったん設置さえすれば、燃料費は永遠にタダ!です。さまざまな新しい技術も使えるようになってきました。そういった情報も仕入れながら、一つずつ自分で、わが家の現状を確認しながら、「わが家のエネルギー自立」に向けて、ちょっとでもいい、一歩でもいい、動き始めませんか? カンペキでなくてもよいのです。今よりもちょっとでも「安全・安心」に近づけるのなら、やってみる価値があると思いませんか。
「あのとき動いておいて良かった!」と言える日が必ずやってきます。
その日に向けて、この本が少しでもお役に立ちますように!
枝廣淳子