2012年9月に、柏崎市で「これからの柏崎とエネルギーを考える」シンポジウムが2日間にわたって開催されました。
*当日の模様はこちらをご覧ください。
http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/detail/155853111.html
柏崎市は世界一の原発集積地です。原発推進/反対、電力の生産地/消費地など、地域内でも外でもさまざまな断絶を抱えています。
目下の原子力発電所の停止だけでなく、長期的に地域を考えたとき、地域の経済や産業、エネルギーをどのように考えていったらよいか。断絶を乗り越え、これからの柏崎を市民の皆さんが話し合いながら考えていくことが大事だという思いで、昨年柏崎市が実行委員会を立ち上げ、第1回のシンポジウムを開催したのです(イーズは事務局手伝いとしてプロセスのファシリテーションを担当しています)。
第1回を開催時に、多くの市民から「原発の賛成派、反対派が一堂に会して冷静に話をしているのを見てとてもびっくりしたし、希望を感じた」「こういう対話の場を続けてほしい」という声が寄せられ、学びと対話を続けていこうと、第2回を先日3月24日に開催しました。
今回のテーマは「学び、そして考えよう エネルギーを作ること、使うこと」。
これからの柏崎を考えていくために、みんなで一緒に勉強しながら考えていくためにはどんなテーマがいいだろうか、と実行委員会で議論を重ねた結果、まずはエネルギーそのものについて必要な理解を深めていく場がいいのではということになったからです。
当日はまず、私から「エネルギーを作ること」の入門編を、続いて、株式会社住環境計画研究所代表取締役所長の中上英俊先生から、主に「エネルギーを使うこと」についてお話いただきました。
「北海道で偶数階のマンションが売れるのはなぜか?!」という興味深いエピソードもありました(なぜだと思われます?)。
後半は、前半の講義を聞いて、小グループで「これからの柏崎を考えていくために、さらに知りたいこと、考えていきたいこと」を出し合っていただきました。
ここでは「対話の作法」が大事になります。誰か一人が場を牛耳ったり、話したいことだけを話すことがないように、お互いがお互いの話に耳を傾けられるように意識をすること。この作法を守るだけで、場が変わります。
全部で100個近くの「知りたいこと」「考えたいこと」が集まりました。主なものを挙げさせていただきますと、、、
・省エネルギー実現のための私たちのライフスタイルについて
・柏崎で発展可能性のある再生可能エネルギーは何があるか
・代替エネルギーにかかる投資額は?
・柏崎のこれからの産業の可能性は?
・原発と他のエネルギーによる発電との電気料金の違いは?
・地域内でエネルギーや食料の自給率をあげよう
・個人が電力を作るという考えをもち、消費者を生産者に変えられないだろうか
・エネルギー消費を減らした成長は可能か? などなど。。。
その場で、中上先生や資源エネルギー庁の方にも、質問に答えていただきましたが、まだまだたくさんの質問やご意見があることがわかりました。
このシンポジウムの目的はただ一つ、これまでなかなか一堂に会して話をすることのなかったいろいろな立場の人たちが、それぞれの考えや立場を持ったままで話をする、対話をする、その場づくりとプロセスを続けていくことにあります。
第1回に引き続き、今回もその「場」として大変貴重な機会になったと思いましたし、今回新たに出た問いや意見は、これからの柏崎を考えていく上で大きな鍵になると思っています。
最後に実行委員の方が、こんな閉会の言葉を残してくださいました。
「賛成派、反対派、関係なく、同じ席に着いて冷静に議論を交わすと、何回もしているうちにお互いがどこを目指しているかということを理解し合える場につながっていくのかなというのを、実行委員にさせてもらって感じているところです」。
すぐに結果が出るものでも、正しい答えが目の前にあるものでもありませんが、よりよい地域、幸せな暮らしをつくっていきたい思いは誰もが同じなはず。最終的に目指したいものを見失わず、引き続きこのプロセスをお手伝いしていけたらと思っています。
シンポジウムの模様は、後ほどすべての模様の動画と関連資料を、市のウェブサイトに公開させていただく予定です。
公開の時にはまたご報告させていただきますね。