北海道下川町で、ビジョン策定にアドバイザーとして関わらせていただくようになったのは、2017年のことでした。「システム思考」「バックキャスティング」等を用いたファシリテーションを軸に策定のプロセスをお手伝いして、2019年4月にビジョンが完成。現在、さまざまな立場の方が、ビジョン実現のためのプロジェクトを進めていらっしゃって、私も引き続きお手伝いをさせていただいています。
そうしたまちづくりのお手伝いをするなかで、地元で実際に活動してくれる仲間を得たことを機に2019年10月、町内に活動の拠点となる「株式会社下川シーズ」を立ち上げました。下川町のまちづくりのタネ(シーズ)を蒔き、育むお手伝いを通して、下川町内外のつながりをつくりながら、持続可能で幸せなまちづくりのお役に立てるよう、活動を始めています。
下川シーズのスタッフ、田中由紀子さんから、活動に関わるようになったきっかけや思い、現在の取り組みについて伝えてもらいます。
東京出身の私が地域おこし協力隊として下川町に引っ越したのは、2016年の秋です。翌年に町民有志でつくるイベントの実行委員に誘われ、運営はもちろん大変でしたが、職業も立場も違う人たちと話し合いながら形にしていくことが楽しくて、毎年お互いの信頼が育っていく充実感がありました。
そんな中、町のビジョン策定に携わった町民委員をきっかけにして生まれた 下川りくらしネット(持続可能で幸せな暮らしを目指して活動する女性グループ)に誘われて参加し、しばらくして事務局を引き受けました。
りくらしネットも、メンバーは子育て中のお母さんから働いている人まで様々ですし、バックグラウンドや考え方も違って意見をまとめるのはなかなか大変です。でも「みんなとなら何かできるかも知れない」というワクワク感があって、やっぱり楽しい。町づくりって、おもしろい。
そんなことを感じていた時に、枝廣さんから「下川に会社を作ろうと思うのだけど、一緒にやらない?」と声をかけてもらいました。
会社の立ち上げから数か月を経て今思うのは、町では色々な方が思いを持って活動されているので、私たちの考えと違うことももちろんありますが、それは、"下川をいい町に"という同じ山を、別のルートから登ろうとしているようなものではないか、ということです。
ルートはひとつである必要はなく、そっちの道はどうですか?こちらは...と情報交換しながら、お互いに助言したり、勇気づけられたり、間違ったら道を戻ったりしながら頂上を目指していきたい、そう思っています。
現在は下川町の買い物調査をお手伝いしています。少し難しいアンケート調査なので高齢者の方には聞き取りをさせてもらったのですが、普段あまり関わることがない人生の先輩方の意見やお話を直接聞くことができ、とてもいい機会になりました。
調査の結果を踏まえて、下川町でどんなことができるのかを色々な方と考え、行動にうつすことに役立ちたいと思います!