昨年度から北海道美瑛町で共有ビジョンをつくるお手伝いをしています。
半年ほどかけて、町民の皆さんと役場職員の混成チームで、全7回の委員会を通じて、2040年のまちの共有ビジョンを策定するというものです。
本来は昨年度中に全7回の委員会を終えビジョンを策定できる予定でしたが、コロナのためなかなか予定通り委員会を開催することが叶わず、今年度も事業を継続。じっくり、少しずつ取り組みを進めています。
これまでの委員会(ワークショップ)の模様は、議事録や写真が美瑛町のホームページに公開されていますので、ぜひご覧ください。
https://town.biei.hokkaido.jp/administration/administration/sharedvision/
ビジョンとはなんでしょうか? どんなふうにつくっていくものでしょうか?
導入解説のあと、美瑛町の中で20年後に「増えていてほしいもの」「減っていてほしいもの」「変わらずにあってほしいもの」を書き出しました。
そして、見る範囲を目の前だけでなく、SDGs(国連の持続可能な開発目標)の17の目標に沿っても考えてみました。
第1回で出てきた「増える」「減る」「変わらない」という項目をグループ分けしました。その中には、増やすこと自体が目的なものと、増やすことは手段であって目的は別にあるもの、とが混在していました。
そこで、「そもそも何を実現したいのか」「それができたらどうなるのか?」といった「手段を目的に近づけていく作業」を行いました。
委員の皆さんにとってはアタマの体操のような感じになったでしょうか。「それはなんのため?」を繰り返しつぶやきながら、項目を整理していただきました。また、「誰ひとり取り残さない」ビジョンをつくるために、この委員会までのあいだに、さまざまな立場の町の人の意見や思いを集めてきてもらいました(330人超の声が集まりました!)。
第3回は前回までと少し視点を変えて、システム思考をベースに、美瑛町がこうあったらいいなと思う好循環を、ループ図を作りながら考えました。大きく4つのグループ(テーマ)で好循環のループ図を作ったあと、最終的にその図から読みとれるエッセンスを、各グループ1文にまとめていただきました。皆さんの中に共有ビジョンのイメージが少しずつカタチになってきたでしょうか。
前半は、前回つくった4つの文章に、大事な観点がもれていないかのチェックを行いました。330人を超える町民アンケート、SDGsの17の目標、役場の組織図、そして第2回でグループ分けしたもの、それぞれと照らし合わせて、とり残した項目がないか、みんなで確認しました。
後半は、出てきたすべての項目について、各グループでつながりを見出し、ストーリーを考え、5~6つの文章にまとめてみる、という作業を行いました。グループによって切り口や焦点が異なり、皆さんの視点の広がりが感じられました。
第4回、最後の5分で行った作業は、作った文章に「美瑛らしさ」があるかどうかを考えること。
多くのまちでは共通する課題も多く、結果似たような共有ビジョンができてしまうことは避けられません。しかしながら、そこに「美瑛らしさ」があるかどうかは美瑛の共有ビジョンをつくる上で大事なポイントです。
「住みよいまち」という言葉も、美瑛にとっての「住みよいまち」とはどんなまちでしょうか?
委員さんからは、ビジョンというものが少しずつカタチになって見えてきてうれしいと思う一方、「美瑛らしさ」を問われて固まってしまった、という感想も聞かれました。
さて、「美瑛らしさ」とは何でしょうか・・・?
次回のワークショップでさらに深めていきたいと思います。