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ガスエネルギー新聞で連載をさせていただいて連載コーナー『賢人の目』に掲載された原稿をお届けします。
中国は相変わらず遅れている、と思っていませんか? 中国はいまや、世界の中でも再生可能エネルギーの最先端に位置していることをご存じでしたか? 中国の状況をレスター・ブラウン氏の書籍『エネルギー大転換』からご紹介します。
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「再エネ大国・中国」
世界各国の持続可能性の研究者がハンガリーに集まって開催する、年に1度のバラトン合宿に参加しています。
参加メンバーからは、原発の再稼働や日本のエネルギー政策に関する質問がたくさん寄せられ、世界のエネルギーの動向についての議論も熱心に繰り広げられています。
その中に「中国の変貌ぶりはすごいよね」という言葉も。
日本では「中国は石炭を大量に使い、原発を増やしていて、エコなエネルギー国ではない」というイメージが強いように思いますが、中国は世界トップの再エネ大国なのです。
最近刊行されたレスター・ブラウン著『大転換~新しいエネルギー経済のかたち』から具体的な数字を紹介しましょう。
石炭についていえば、確かに中国は世界最大の石炭消費国ですが、その石炭使用量は2014年に減り始め、ピーク石炭も近いとみられています。
健康への影響と水不足が大きな理由です。たとえば、北京では2020年から石炭の使用・販売が禁止されます。
中国の原発は20基ほどで総設備容量は1万6000メガワットですが、風力発電はその6倍の9万1000メガワットで、年率60%近くという圧倒的な拡大を遂げています。
2014年初めの時点で、風力発電を行っている国は90カ国ありますが、その先頭に立つのが中国です。
2005年に再エネを促進する法律ができてから、風力発電容量は毎年倍増。2010年に米国を抜き、世界一の風力発電大国となったのです。
中国では現在、風力は、石炭、水力発電に次ぐ、3番目に大きな電力源で、「2020年までに20万メガワット」という劇的な目標を掲げています。また、洋上風力でも、先行する欧州諸国に迫りつつあります。
太陽光発電では、世界の太陽電池の3分の2近く(米・日・独の合計よりも多い)を製造するソーラー生産大国であるばかりでなく、太陽光発電容量も現在世界第2位。間もなく世界一の太陽エネルギー利用国になるとみられています。
太陽熱温水器による給湯は1億7000万世帯で行われており、直接利用の地熱エネルギー量も世界トップです。小水力発電でも世界の先頭に立ち、潮力発電や海洋温度差発電といったプロジェクトも進めています。
エネルギーと表裏一体であるCO2の側面では、7件の地域レベルの排出量取引のパイロット事業を進行中です。
2016年に計画されている国レベルの排出量取引制度が本格的に始まると(世界中の炭素排出量の約4分の1に価格が付くことに!)再エネへの転換はますます勢いを増すことでしょう。
「中国は遅れている」というメンタルモデル(思い込み)に囚われている人がいるとしたら、ぜひ現実を知って、打ち手を考えてほしいと願っています。
~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~
レスター・ブラウン氏の現役最後に伝えたかったメッセージの書です。
『大転換――新しいエネルギー経済のかたち』
この書籍を解説するセミナーをご自宅で職場で、聞いていただき、パワーポイント資料を使っていただけます。
90分で世界のエネルギー大転換がわかる!枝廣が解説する『大転換―新しいエネルギー経済のかたち』
日本の「大転換」はいつやってくるのでしょうね......? ふー(ため息)
でも、そうは思えなくても、私たちは今まさにその転換点にいるのでしょうね。転換点って、青春時代と同じで「あとからほのぼの想うもの ♪」なのでしょう(古い~! ^^;)
私たちにできるのは、それぞれの地域で、組織で、家庭で、個人で、ちょっとずつでも転換に向かって「ひと押し」すること。「ちりも積もれば山となる」「蟻の穴から堤も崩れる」ってことはことわざになるほど、歴史的に証明されていますから!