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日本では「18歳で大学に入学して、4年間で卒業して就職する」ことが常識のように考えられています。世界ではどうなのでしょうか。
OECDが毎年発表している『図表で見る教育』2017年版によると、大学入学者の平均年齢は22歳です。一番平均年齢が高いのは、インドネシアの26歳、続いてデンマークとスイスが25歳です。そして一番平均年齢が低いのが日本の18歳でした(図1)。
大学入学者の平均年齢が高い国でも、日本の高校卒業に相当する一般的な年齢は、18歳や19歳の国がほとんどです(1)。ここから、高校卒業後、一度働いてから大学に進学するなど、いろいろな可能性が開かれていることが推測できます。実際に、外国で暮らす方から、「大学にはいつでも進学できるけれども、スポーツは若いうちしかできないから、今はスポーツの道を進むことにした」と聞いたことがあります。高校卒業時は大学への進学に関心がなかったとしても、働き始めてから「勉強したい」と感じることもあるでしょう。大学にいろいろな年齢層の人がいれば、好きなタイミングで大学に入学することを選びやすくなります。また、「新卒」での就職を目指して、在学中に一斉に就職活動を始めるスタイルも、欧米では珍しい光景です。
現在、政府が推し進めている「働き方改革」をはじめ、現在日本では、多様な働き方や生き方をどのように後押しするのかが課題になっています。日本のように、「よーいドン!」と一斉に進学や就職を始めるスタイルでは、そのルートから外れるには勇気が必要です。大学入学時や就職時の年齢が多様化すれば、日本社会全体に、大きな変化をもたらすことができそうです。
日本でも2016年に、ヤフー株式会社が、新卒一括採用を止めたことが話題になりました(2)。こうした企業が増えれば、少しずつ選択の幅が広がります。多くの人が進む進路が「大通り」だとすれば、大通り以外の「小道」を少しずつ増やしていくことで、多様な人が自分らしい道を歩いていける社会になるのではないでしょうか。
(新津 尚子)
(1)各国の教育制度について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/index.html
(2)ヤフー株式会社は、「ポテンシャル採用」という、応募時30歳以下で、新卒/既卒/就業経験の有無を問わない人材募集を行っています。ポテンシャル採用の他に、いわゆる中途採用枠もあります。https://about.yahoo.co.jp/hr/job-info/