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少し前までは、テレビのドラマなどでも「家族といえば、夫婦と子ども」というイメージ"が強かったですが、日本の家族構成はどのように変化し、どのような状況なのでしょうか。
図1は、1960年から2020年までの「核家族世帯」「核家族以外の親族世帯(3世代家族など)」「単独世帯」の数の推移をあらわしたグラフです。「核家族」とは、「夫婦のみ」、「夫婦と子ども」、「男親か女親と子ども」からなる世帯をさします。
(なお、法律や統計では、「家族」ではなく、「世帯」という用語を用います。その理由については一番下をご覧下さい)。
日本の世帯数は、1960年には約2,220万世帯だったのが、2020年には約5,570万世帯と、倍以上に増えています。この背景には、2008年まで日本の人口が増加していたことと、核家族と単独世帯(一人暮らし)が増加したことがあります。
また、核家族以上に伸びが大きいのが単独世帯の数です。1960年には300万世帯しかなかった単独世帯は、2020年には約2,115万世帯、全体の38%を占めるまで増加しています。これには、「未婚化」、「晩婚化」、「高齢化」といった様々な現象が関係しています。
逆に減少しているのが核家族以外の親族世帯です。この形の世帯の代表例はおじいちゃん、おばあちゃん、その子供夫婦、孫が同居しているような3世代家族です。1960年には全体の約30%を占めていた核家族以外の親族世帯の割合は、2020年には約7%にまで減少しています。
「核家族」はニュースなどでよく耳にする言葉ですが、みなさんはどのようなイメージをお持ちですか。「夫婦と子ども」で構成されている世帯を思い浮かべる人も多いのではないかと思いますが、実際には、先述したように、「夫婦のみ」、「夫婦と子ども」、「男親か女親と子ども」からなる世帯を指します。
図2は、1970年と2020年の世帯構成をあらわしたものです。核家族の代表例と考えられている「夫婦と子ども」からなる世帯は、1970年の41.2%から、2020年には25.0%と減少していることが分かります。
それに対して、夫婦のみの世帯は9.8%から20.0%へ、単独世帯は20.3%から38.0%へとそれぞれ大きく増加しています。特に、単独世帯は2010年の32.4%と比べても6ポイント近く増加しています。現在では、いわゆる「家族」の代表というイメージの強かった「夫婦と子ども」からなる世帯(25.0%)よりも、「一人暮らし」世帯(38.0%)の方が多くなっているのです。
今の日本で典型的な家族構成は?と聞かれたら、「一人暮らし」が40%弱、「夫婦と子ども」が25%、「夫婦のみ」が20%、「男親または女親と子ども」が10%弱、「3世代など核家族以外の親族世帯」が7%ほどです、ということになるのですね。
冒頭で、法律や統計では、「家族」ではなく、「世帯」という用語を用いると書きました。その理由は、「家族」を定義することが難しいからです。
例えば、進学のために一人暮らしをしている子どもは、家族でしょうか、それとも家族ではないのでしょうか。また、その子どもが働き始めた場合はどうでしょうか? その答えは、人により異なります。
そこで、法律や統計では、「世帯」という概念を使用します。世帯とは、「住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者」のこと、つまり一緒に暮らしている人びとの集まりを指します(一人暮らしの場合は、単独世帯になります)。
※2016.9.22初版公開
※2021.12 更新 2020年に行われた国勢調査の結果を反映しました
(新津 尚子)