選挙の候補者や経済界の方で「原発をなくしたら、電気代が上がって暮らしや産業が大変になる。だから原発は必要なのだ」と主張される方がいます。(あたかも、原発を続けたら電気代は上がらないかのように聞こえますよね?)
「今後電気代が上がる」→「暮らしや産業に影響を与える」のは事実ですが、電気代が上がるのは原発をなくすからではなく、原発を続けたとしても電気代は上がります。
今後の発電コストや電気代の見通しについては、閣僚からなる「エネルギー・環境会議 」が2012年6月29日に出した
「エネルギー・環境に関する選択肢」の14ページに載っています。
わかりやすく整理したものはこちらです。(家庭の1ヶ月の電気代は、2人以上世帯の平均です)
現在よりも発電コストが上がるのは、化石燃料の値上がり、再生可能エネルギー普及のためのコストなどが加わるためです。原発を20~25%残す場合、原発ゼロの場合に比べると、火力・自然エネルギーに頼る部分が少なめなので、発電コストのアップは小さめになりますが、それでも、これまでの8.6円/kwhが14.1円になるか、15.1円になるか、という違いに過ぎません。原発ゼロの場合、他のシナリオよもり再生可能エネルギーを増やすため、発電コストのほか、普及政策や送電網等インフラにも投資が必要となり、電力料金も高めになります。
一方、「原発コストに事故の賠償や廃炉、除染の費用が含まれているべき」(枝野経産相)として(すべきだと思いますが)計算をし直したら、原発維持の場合のコストが果たしてどのくらいになるのか? 現時点ではわかりませんが、ここに示されているより高くなることは間違いないでしょう。
安全や安心はコストに関わらず重要だという意見ももっともですが、コストの点からいっても「原発の有無に関わらず、電気代は上がる」ことを覚えておいてくださいね。
企業や家庭は「そうしたらどういう対策をとるか」を考える必要がありますし、「脱原発は電気代が上がるからだめだ」という人がいたら、「脱原発は他よりも電気代の上がり幅が大きめになるが、原発の有無に関係なく電気代は上がるという試算が政府から出され、それをもとに選択肢などの議論をしているんだよ」と教えてあげて下さい~。