気象庁が最新の地球温暖化予測情報を発表しました。
温暖化が悪化しないよう、温室効果ガス(CO2など)の排出を減らす「緩和策」を進めると共に、緩和策をとったとしても進行してしまう(これまでの排出による)温暖化に対応するための「適応策」も同時に進めなくてはなりません。
個人として家を建てるにしても、どこに住むかを考えるにしても、また、行政や地域が町づくりに取り組むにしても、数十年後まで影響するような取り組みの場合は特に、「温暖化とその影響の予測」も考えに入れていく必要があります。
先日、工務店の方々のネットワークで講演をさせていただいたときも「長く住み続けられる家を建てるのであれば、現在の気温や天候だけではなく、将来予測も考えに入れた家づくりが必要になります」とお話ししました。
みなさんの仕事や今後にも関わりそうなこと、きっとあるのではないでしょうか?
気象庁の温暖化予測情報を見てみましょう。これは、地球温暖化による影響評価、地球温暖化の緩和策および適応策の検討の推進、地球温暖化に関する科学的知見の普及・啓発などに寄与することを目的に、平成8年度から地球温暖化予測モデルの結果を「地球温暖化予測情報」として公表しているものです。
地球温暖化予測情報 第8巻 (2013年)
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/GWP/index.html
日本全国と、7つの地域に分けた予測を見ることができます。
要約から内容をかいつまんで紹介しましょう。図表はこちらから見て下さい。ご自分の地域の将来は?
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/GWP/Vol8/pdf/00.pdf
~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~
21 世紀末(将来気候、2076~2095 年を想定)には 20 世紀末(現在気候、1980~1999年を想定)と比較して、日本付近で以下のような気候変化が予測される。
●気温の将来予測
年平均気温は各地域で3℃程度の上昇がみられるが、北日本の上昇が3℃を超えて最も大きい。季節別では、全ての地域で冬の上昇が最も大きく、夏の上昇が最も小さい。冬は、沖縄・奄美を除いて全国的に 3℃以上の上昇がみられ、北日本や、東日本の一部では 3.5℃を超える上昇がみられる。
年最高気温の20年再現値は2~3℃程度上昇し、北日本太平洋側の上昇が最も大きい。年最低気温の20年再現値は北日本を中心に2.5~4℃程度上昇し、北日本太平洋側の上昇が最も大きい。
冬日は各地域で減少し、北日本で減少幅が大きい。猛暑日は東日本~沖縄・奄美にかけての各地域で増加し、北日本での増加幅は小さい。
●降水の将来予測
年降水量は全国と北日本で増加する。冬から春にかけては、太平洋側で降水量が増加する。
大雨や短時間強雨の発生回数は多くの地域で増加する。無降水日数も多くの地域で増加する。
●積雪・降雪の将来予測
年最深積雪はほとんどの地域で減少するものの、北海道の内陸部等の寒冷地では現在と同程度か増加となる地域もある。
積雪、降雪共に、始期・終期における減少が明瞭で、観測される期間が短くなる。積雪はピークの時期が早まり大幅に減少する。
●その他の要素の将来予測
夏は多くの地域で相対湿度が減少する。一方、冬は東日本日本海側を除く北日本から西日本で増加する。
年平均の全天日射量は、北日本で減少する。冬は沖縄・奄美を除いて全国的に減少する。
突風や雷雨の発生しやすさを示す大気環境場の指数(エナジー・ヘリシティ・インデックス、EHI2)は、いずれの地域でも不安定の方向に変化する。
~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~
温暖化は各国のエネルギー事情や、景気の動向やそれへの対策などを斟酌してくれることなく、私たちが大気中にCO2が排出す続けるかぎり、将来の温暖化の原因を作り続けていることになります。
かつては、「その影響を受けるとしたら、遠い将来の世代だ」と思われていましたが(だからよい、と考える人たちと、だからしっかりしなくては、という人たちがいましたが)、今や私たちや子どもたちの時代に、その悪影響が及んでくると考えられています。