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http://en.wikipedia.org/wiki/File:Banderas_europeas_en_la_Comisi%C3%B3n_Europea.jpg
海外の持続可能性やCSRレポートに携わるメンバーのネットワークでは、先週から、欧州議会の決議について盛り上がっています。
4月15日、欧州議会のDirective 2013/34/EUが改正され、2017年より欧州で500人以上の従業員を抱えるすべての上場企業は、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する報告を年次で行うことが義務づけられることとなったのです。
欧州委員会プレスリリース:
http://europa.eu/rapid/press-release_STATEMENT-14-124_en.htm?locale=en#content
今後、数週間のうちに欧州各国での決議によって正式に採択される予定です。この決議は、企業活動の透明性の進展と持続可能性への貢献につながる重要な決議であると、あちこちで高く評価されています。
対象となる企業は、環境、社会・従業員、人権尊重、腐敗・賄賂防止、取締役会の多様性など非財務の主要なパフォーマンス指標及び実施する適正な配慮を含む、方針、結果、リスクについて関係が深く重要な情報に関する経営報告を公開することが義務づけられます。
およそ6,000社に及ぶ500人以上の従業員を抱える大企業が報告を義務づけられることになります。現在欧州では2,500の企業が非財務情報の報告を行っていますが、大企業の報告義務づけによってサステナビリティ・CSRに向けての企業活動の底上げが期待されています。
今回の決議は、環境・社会報告の義務づけであって、統合報告の義務づけではありません。どのような報告が望まれるかについては、グローバル・コンパクト、ISO26001やGRIなどのガイドラインが基本となるようですが、具体的には2年以内に欧州委員会よりガイドラインが公表される予定とのこと。
欧州委員会での担当委員長であるミシェル・バルニエは次のように述べています。
今回の決議によっては、環境や社会面のパフォーマンスに配慮してきた企業にとっては今までの努力が報われることになりますね。一方で、これまでそういった側面にあまり配慮してこなかった企業にとっては、深刻な転換点を迎えることになるでしょう。
欧州だけでなく世界においても、企業が付加価値を高める活動を行う上で、財務面だけでなく、環境、社会、経済面でも、将来に向かっての価値創造の基盤を維持・向上していくことが求められています。日本企業にとっても、グローバル化する経済の中で、他人事ではない動きです。
以前から、日本企業は海外への情報発信がじょうずではなく、せっかく優れた実績や技術を持っていても伝わっていなくて、もったいない!と思っていました。特に、投資家が投資判断の基準としてCSRやサステナビリティ、ESG情報を重視するようになってきている今、日本企業は自分たちの考え方や取り組み、実績を、海外にもしっかり伝えていく必要があります。そして、世界で評価され、選ばれるようになっていかなくてはなりません。
そういった問題意識で、日本から世界へサステナビリティの情報を英語で発信している環境NGO・JFS(ジャパン・フォー・サステナビリティ:私が代表を務めています)では、4~6月に「海外で評価されている報告書とはどのようなものか? どこが日本企業の報告書と違うのか?」を勉強する会を開催します。
http://www.japanfs.org/ja/information/jfsnews/jfsnews_id034783.html
財政的にJFSの活動を支援して下さっている法人会員・パートナー企業向けの勉強会として開催しますので、ぜひこれを機にJFSの仲間になっていただければと思いますが、「まずは様子を見てみたい」という企業の方には、1回オブザーバーとして参加していただけます。
次の報告書を取り上げて、講師がポイントを読み解き、議論を深めます。
● ユニリーバ(蘭英、消費者向けブランド):CSR報告書&アニュアルレポート
● シスコ(米、業務向けメーカー):CSR報告書
● マーク&スペンサー(英、小売):統合報告書
海外の優れた報告書の構成や内容を読んでみる、今後海外向け環境CSRコミュニケーションのヒントを得ていただければと願っています。よろしければぜひご参加ください。
詳細やお申し込みはこちらをご覧ください。
http://www.japanfs.org/ja/information/jfsnews/jfsnews_id034783.html