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カタログハウスの『通販生活』で「枝廣淳子と見に行く ニッポン再エネ大国への道。」という連載をさせてもらっています。現在、第3回に向けて、「地域に役立つ再エネ」という視点から取材中。幸せ経済社会研究所のウェブから「地域と再エネ」に関連する情報をご紹介します。せっかくの再エネも「大企業が所有し、地元に入るのは地代だけ」という話もよく聞きますが、「地元所有の再エネ」は雇用も経済的利益も大きいことがわかります。
(地域自立のための研究所より)
米国の地域自立のための研究所(Institute for Local Self-Reliance)は2014年9月、再生可能エネルギー事業は地域住民が所有する方が地域社会のためになる、とする報告書『地元のために:地域住民がエネルギー所有権を持つことはなぜ重要か(Advantage Local: Why Local Energy Ownership Matters)』を発行しました。
同報告書によれば、再生可能エネルギー設備を地域住民が所有する度合が高いと、そうでない場合に比べて地域社会にもたらされる雇用は2.8倍、経済的利益では3.4倍と格段に増えます。また、このように経済的に自らの利益になることは、再生可能エネルギーの急速的拡大を促すと同時に、経済的恩恵があり、より地域に根差した低炭素エネルギーシステムに対する政治的支持の確立にもつながります。
ただし現在の米国のエネルギー制度では、電力事業者による電力網支配という伝統、地域住民による集団での資本調達の難しさ、地域住民所有型エネルギー事業で煩雑になるキャッシュフロー、地域住民が所有者になる場合の法規制、技術面等で開発障壁を高くしかねない電力事業者等の障壁があります。
これらの障壁に対しては、コロラド州で導入されているような地域住民所有のエネルギー事業を容易にするコミュニティ再生可能エネルギー制度、地域内所有者による発電電力の共有を可能にする仮想余剰電力買取制度(virtual netmetering)、エネルギー事業のキャッシュフローを簡素化する固定価格買取制度等の制度の導入、集団での資金調達の障害を取り除くクラウド資金調達(crowdfinancing)規則の導入、税制度による優遇措置から助成金への変更といった政策的解決策があります。
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コロラド州で導入されているという「コミュニティ再生可能エネルギー制度」についても、ぜひ調べてみたいと思います。もし何かご存じの方がいらしたら教えて下さいな。
幸せ経済社会研究所で続けているテーマ別連続読書会「人口減少と地方創生」では、次回6月11日に『農山村は消滅しない』(小田切徳美著)を取り上げます。
新書ですので手軽に読める本ですが、内容はしっかりしていて、すごく面白いです! 事例も多く、しかも体系づけられているので、これから事例や取り組みを見る際にも役に立つ枠組みを得ることができます。
初回に増田寛也さんの『地方消滅』を取り上げましたが、今回は、「いやいや、地方は消滅しない! なぜならば......」という本です。(増田さんも今回の著者の小田切さんと話をされたことがあるとおっしゃっていました)
地方ブームの火付け役とも言われる藻谷さんの「里山資本主義」の舞台をはじめ、多くの先進的な取り組みが中国地方で進められているのはなぜなのか?
"消滅する"といわれている農山村の実態はどうなっているのか? 何が問題なのか?
「地域づくりの3つの柱」とは何か? 現場には何が必要なのか? 新しい取り組みを支援する新しい行政のあり方とは?
先日取材にうかがった熊本県・水増集落は、10世帯18人・平均年齢70歳、20年以上ゼロ子化がつづく集落です。消滅するか、しないか、と言われている"地方の限界集落"の典型例といえるでしょう。そこで私が何を見て、何を考えたのか-このお話もしたいと思っています。
地方創生を考えるうえでの思索の広がりと深まりにつながることと思います。ご興味のある方、第1,2回の内容もおさらいしますし、本を読む時間がなくても、内容の重要なポイントはレクチャーしますので、ぜひご参加ください!お待ちしています~。
「人口減少と地方創生」 『農山村は消滅しない』を読む
日 時:6月11日(木)18:30~21:00(開場18:15)
(詳細とお申し込みはこちらから)
http://ishes.org/news/2015/inws_id001572.html