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COP21とパリ協定

2015年12月29日 |コラム
COP21とパリ協定

Image by COP PARIS Some Rights Reserved.

https://www.flickr.com/photos/cop21/23477457842/

新しい年が始まりました。2015年はどんな年だったでしょうか? 地球にとって、未来世代にとって、2015年は一縷の希望の光とともに記憶される年になったのかなあと思います。12月のCOP21でパリ協定が成立したからです。COP21でパリ協定について、簡単なおさらいを載せておきます。

COPとは?
→Conference of Parties(締約国会議)

締約とは?
→「条約を結ぶこと」

つまり、条約に署名した国の会議

何の条約?
→気候変動枠組み条約

○気候変動枠組み条約のこれまで

1992年:採択

1997年:COP3で京都議定書温暖化の原因をつくってきた先進国が、2008~12年の温暖化ガス排出量を90年比5%削減する。先進各国には温暖化ガス排出上限が課せられ、日本の割り当ては6%減

その後:中国やインドなど経済成長を遂げた途上国を中心に温暖化ガスの排出量が急増

2001年:米国が離脱

その後......

2009年: COP15(デンマーク):新たな枠組みの合意を目指したが、先進国と途上国の意見の隔たりが大きく失敗

2010年:COP16:議定書の延長を決めたが、日本などは第2約束期間に参加せず参加国が大幅に縮小し、13~20年に削減義務を課された国々の排出量は世界全体の1割強米中:世界の排出の4割を占める

2011年:COP17(南アフリカ共和国ダーバン):すべての国が参加する枠組みづくりで合意。

そして、今年......

COP21 パリ協定

・世界の温暖化対策がまとまるのは、京都議定書以来、18年ぶり

・2020年以降の新たな枠組み

京都議定書では先進国のみに温暖化ガスの排出削減義務があったが、今回のパリ協定には、途上国を含むすべての国が参加

○パリ協定:目標

産業革命前からの気温上昇を2度より十分に低く抑える目標を掲げたうえ、さらに1.5度以内とより厳しい水準へ努力すると明記。

すでに地球の気温は1度程度上昇している。このため、温暖化ガスの排出量を早期に頭打ちにし、今世紀後半には人為的な排出量を森林などによる吸収量と均衡する状態まで減らす。

○パリ協定:実施体制

途上国を含むすべての国が温暖化ガス削減の自主目標を作成し、国連に提出し、国内対策を実施する義務を負う

各国の削減目標を引き上げるため、2020年から5年ごとに目標を見直し、世界全体で進捗を検証する

○パリ協定:途上国への資金援助
「温暖化は先進国の責任」とする途上国と、将来の支援額を明示できないうえ新興国にも拠出側に回ることを望む先進国で意見が激しく対立

途上国への資金支援は義務づける一方、具体的な拠出額は協定とは切り離す形とし、25年までに、最低でも年間1000億ドルとする新たな拠出額の目標を決めることで決着

○パリ協定:課題

各国が「2度目標」を考慮して、温暖化ガスの排出削減目標を、国情に合わせて自主的につくる

「法的拘束力」は目標の設定自体には適用されるものの、目標の達成義務はなく、罰則もない

国際エネルギー機関((EA)によると、各国がこれまでに公表している目標では今世紀末には少なくとも2.7度上昇
→つまり、2度目標の達成には、削減幅を引き上げる必要

5年ごとの削減目標の見直しで、各国は省エネ技術の進展などを見込んで定期的に目標を上積みすることになるが、果たして......?

今回のパリでのCOP21の成果について、さまざまな団体がプレスリリースや報告書を出していますので、いくつかご紹介しますね。比べて読むのも面白いと思います。

○WWFCOP21で「パリ協定」が成立!国際的な気候変動対策にとっての歴史的な合意 (2015/12/13)
http://www.wwf.or.jp/activities/2015/12/1298413.html

○気候ネットワークペーパー『パリ会議(COP21/CMP11)の結果と評価』
<http://www.kikonet.org/info/press-release/2015-12-25/cop21-evaluation>
ペーパー全文PDFはこちら
<http://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2015/12/COP21-evaluation-paper-f.pdf>

環境エネルギー政策研究所(ISEP)

自然エネルギー財団

○ツバルオーバービュー現地で交渉の現場に立ち会っていた当団体理事の川阪京子が、徹夜が続いた最後の折衝の様子なども紹介しつつ、総括レポートを書き起こしました。

COP21総括 「パリ協定採択!ここから始まるゼロ炭素社会への長い道。」
http://www.tuvalu-overview.tv/blog/news/3545/ <../../blog/news/3545/>

会議の途中の様子などは気候変動ニュースコーナーにまとめてあります。ご興味がある方はあわせて目を通してみてください。
http://www.tuvalu-overview.tv/globalwarming/archives/

私自身は、読売新聞の特集ページにインタビューを掲載してもらったのですが、「なぜ今回合意が可能にだったのか?」と聞かれて、ホスト国フランスの入念な準備や巧みな交渉の進行に加えて、

・温暖化の被害や影響が明白になり、世界的な危機感が生まれてきていること

・低炭素化のためにはエネルギー転換(化石エネルギー→再生可能エネルギー) が必要だが、先進国でも途上国でも、エネルギー転換が進んでおり、大きく経 済を損なうことなく、低炭素化ができるという見通しが立つようになってきた こと

の2つを挙げました。

世界中で展開中のエネルギー転換については、ぜひレスター・ブラウンのこの本をどうぞ!

『大転換-新しいエネルギー経済のかたち』(岩波書店)

来年、世界各国がさらに前へと進んでいく年になることを願っています。

 

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