ジャパンSDGsアワード表彰式(首相官邸ウェブサイトより)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201712/26sdgs_award.html
今年度、北海道の下川町の「SDGsを枠組みとして2030年のまちのビジョンをつくる」部会のプロセス設計とファシリテーションを担当して、毎月うかがっています。その下川町が「第1回ジャパンSDGsアワード」の総理大臣賞を受賞しました! 企業のSDGsへの取り組みは、ESG投資の流れもあって、活発化していますが、地域の取り組みも今後広がっていくことでしょう。栄えある賞を受賞した下川町はどのような取り組みをしているのでしょうか?
下川町のプレスリリースをお届けします。
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[2017.12.26 下川町報道発表]
第1回「ジャパンSDGsアワード」の受賞について
☆概要
●12月26日、下川町は、「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部(本部長内閣総理大臣)」が本年度創設した「平成29年度第1回ジャパンSDGsアワード」の本部長(内閣総理大臣)賞を受賞した。
●受賞要旨は、「持続可能な地域社会の実現」をめざし、政府から環境未来都市の選定を受けるなどして、SDGsのコンセプトである、経済・社会・環境、3領域の統合的解決の観点で「①森林総合産業の構築(経済)」、「②地域エネルギー自給と低炭素化(環境)」、「③超高齢化対応社会創造(社会)」などに取り組んできた結果、人口減少緩和や森林バイオマスエネルギーによる地域熱自給率向上などの好傾向が発現。
現在はSDGsを取込んだ「2030年における持続可能な地域社会ビジョン」を策定中で、ビジョンを基に計画(総合計画、SDGs未来都市計画など)を策定し、具現化のためのプロジェクトを位置付け、多様な主体を巻き込みながら実行していく考えであることなどが内容
●今回の受賞を受け、谷下川町長は「先進的な都市・企業・団体が数多くある中で大変光栄なこと。多くの町民、関係者が長年取り組んできた地域づくり活動がSDGsにつながっているということが評価されたと思っている。今後においては、当町の目指す姿である持続可能な地域社会を実現し国内外に普及展開していくことがSDGs達成への寄与・貢献であるとの考えのもと、SDGsを地域活性化、地方創生のツールとして取り入れ、今回の受賞を励みに、目指す姿の実現に向け邁進していきたい」とコメント
[問い合わせ先]
北海道下川町 環境未来都市推進課 蓑島、和田
TEL:01655-4-2511(内線242)
「持続可能な開発目標」
Sustainable Development Goalsの略。 2015年9月の国連サミットで採択された2030年を期限とする先進国を含む国際社会全体の17の開発目標
☆詳細
1.ジャパンSDGsアワード概要 ※外務省HPから抜粋
●持続可能な開発目標(SDGs)推進本部(本部長:内閣総理大臣)では、平成29年度「ジャパンSDGsアワード」の候補となる案件の公募を開始した。この表彰は、2015年に国連で採択されたSDGsの達成に向けて,優れた取組を行う企業・団体等を表彰する制度で、平成29年度は第1回目の開催となる。
●顕著な功績があったと認められる企業又は団体には,SDGs推進本部長(内閣総理大臣)表彰及びSDGs推進副本部長(官房長官及び外務大臣)表彰を付与する。その他,特筆すべき功績があったと認められる企業・団体等について、特別賞を付与する場合がある。
2.下川町の応募概要
(1)表彰の対象となる応募活動の目的
●下川町は人口約3400人、高齢化率約39%の小規模過疎地域かつ少子高齢化が顕著な「課題先進地域」であるが、町の憲法とも言われる「下川町自治基本条例(H19.4.1施行)」に「持続可能な地域社会の実現」を位置付け、持続可能な森林経営(G15)を中心に、適正な木材、木製品の生産と供給(G12)、森林の健康や教育への活用(G3.4)、未利用森林資源の再エネ活用(G7)、再エネ熱供給システムを核としたコンパクトタウン(G9.11)の推進などにより、[経済]経済成長と雇用創出※1(G8)、[環境]低炭素社会創造※2(G13)、[社会]住み続けることのできる地域社会創造※3(G11)の統合的解決によって、「誰もが活躍の場を持ちながら良質な生活を送ることのできる持続可能な地域社会」の実現に取り組んでいる。
※1[経済]経済成長と雇用創出→森林総合産業の構築
※2[環境]低炭素社会創造→地域エネルギー自給と低炭素化
※3[社会]住み続けることのできる地域社会創造→超高齢化対応社会創造
●また、政府から平成20年に「環境モデル都市」、平成23年に「環境未来都市」などの選定を受け、小規模自治体における「持続可能な経済社会モデル」を創出すべく、先駆的かつ積極的に取組みを進めているところである。
●この考えと取組みは「SDGs」に共通するとともに、「SDGs」のみならず我が国の「地方創生」の実現にもつながるベストプラクティスになり得る。
(2)表彰の対象となる応募活動の自己評価
●近年は人口減少が緩やかになり、とりわけ経済情勢などの影響を受ける社会動態人口(転入と転出の差)が緩和、最近5カ年中3カ年で転入増の年が見受けられる。また、森林バイオマスエネルギーによる地域熱エネルギー自給率が49%に到達、平成28年の個人住民税がH21年比で16.1%増加など、小さいながらも持続可能な地域社会の「芽」が発現している。
●また、超高齢化社会対応創造モデルである「一の橋バイオビレッジ」では、消滅に向かうのではなく、着手前(H21年95人)から人口がほぼ変わらずで、生産年齢世代が移住により増加し高齢化率(H21)51.6%から(H28)27.6%に低下。世界的にも都市への人口集中が課題となっている中で、新しい「ひと」の流れ、人口の還流が創出されている。
(3)表彰の対象となる応募活動の今後の計画
●現在は、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が発行する「自治体SDGsガイドライン」を基に取組みを進め、SDGsを取り入れた「2030年を基準年とする持続可能な地域社会ビジョン」の作成に着手しH29年度中の策定を予定。
この策定は、地域ステークホルダー(利害関係者)及び行政職員で構成するコアチームを形成し、東京都市大学教授/幸せ経済社会研究所所長の枝廣淳子氏をファシリテーターに策定(参画型)をする。また、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と連携して、「下川町SDGsレポート2017(仮称)」を作成し海外への発信を予定する。
●平成30年度は、「2030年ビジョン」からバックキャスティングで自治体最上位計画である「総合計画」や重点政策(経済・社会・環境の統合的解決策など)からなる「SDGs未来都市計画」を策定し実現に向けたプロジェクトを位置付け実行をしていく考え。
●この実行は、住民・企業・団体・自治体とのパートナーシップが極めて重要であり、SDGsを切り口とした連携を進めていくとともに、SDGsを通して本町の魅力や将来性を国内外へ発信、人や投資(ICO活用など)の呼び込みにつなげていくや様々な主体(人・企業・自治体など)がつながることにより課題解決のイノベーションを起すツールとしても活用していく考え。
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参考まで、政府公表ページはこちらです。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201712/26sdgs_award.html
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/
SDGsには17の目標(取り組み分野)があります。企業などの取り組みの最初は、自分たちの取り組みが17目標のどれに当てはまるか「ラベルを貼る」ものが多く、17コの箱に取り組みを入れていって、「これはやっています」「これ、空っぽだから、何か考えなくちゃ」というような感じもあります。
でも大事なことは、17に分けられた目標もすべて「つながっている」ということ。なので、SDGsに取り組むとしたら、つながりをたどって全体像や構造をとらえ、個別最適化ではなく、全体的に考えていく「システム思考」(つながり思考)が必須だと考えています。
下川町では、2030年のまちのビジョンを考える部会のメンバーが、システム思考の手ほどきを受けて、ループ図をつくりながら、ビジョンづくりを進めています。
また、下川町では「システム思考を町の共通言語にしたい」と考えており、毎月の私の訪問を使って、部会メンバーだけではなく、町役場の職員・管理職へのシステム思考研修、町民向けのワークショップ、議員さん向けの研修などを進めており、町のみんなが「目の前のことだけでなく、つながりを考え、長期的に全体的に本当に大事な取り組みを進められる」力を養っています。
そのようすが町の広報紙にも掲載されました(4~5ページをご覧下さい)
http://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/kouhou/2018/2018-0101.html
世界にも発信した下川町の持続可能な地域づくり(エネルギーも、森づくりも、人づくりも!)はこちらにあります。
「下川町の持続可能な地域づくり~森林資源を永久に利用し続けることができる循環型森林経営」
「北海道・下川町の持続可能な森林経営を支える、15年一貫の森林環境教育」l
日本の多くの地域が、SDGsの枠組みもじょうずに活用して、同じくSDGsに取り組む企業や他地域ともつながりながら、持続可能な地域づくりを進めていってほしい!と思います。私もできる限り、お手伝いしていきます!