ホーム > つながりを読む > 『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』(岩波新書)が出ます!

つながりを読む

『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』(岩波新書)が出ます!

2018年02月18日
『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』(岩波新書)が出ます!

「地方創生!」「地域経済の活性化を!」という掛け声ではなく、そのために必要な考え方や具体的な方法・ツール、事例を紹介するために書いた本です。構想から2年かかりましたが、このタイミングで世に送り出せて、本当にうれしく思っています。一人でも多くの方の、1つでも多くの地域のお役に立つことを心から願っています。そして、直接地域に関わっていらっしゃらなくても、わくわくする事例がいっぱいありますので、きっと楽しい読み物になると思います!

『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』(岩波新書)が出ます!

2年前に、岩波新書の担当の方に企画書を出しました。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

○地位経済の現状観光や投資で地域にお金が入っても、その大部分が地域から離れた場所への支払いに使われ、お金はあっという間に地域から出て行ってしまっている

○本当の地方創生と幸せのために大切なこといくらお金を地域に「引っ張ってくるか」「落とすか」でなく、「一度地域に入ったお金をどれだけ地域内で循環し、滞留させるか」

本書では、そのための考え方の枠組み、実践のためのツール、内外の事例を解説し、地域の人々が「地域経済を自分たちの手に取り戻す」ことを通して、真の地域創生と人々の持続可能な幸せを支援する

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~

私は、島根県・海士町、北海道・下川町、熊本県・南小国町をはじめ、各地の自治体や地域での「まちのビジョンづくり」や「地域経済を活性化するための取り組み」のお手伝いをさせてもらっています。内外の地域経済の取り組みを取材にうかがい、いろいろ教えてもらっています。

「環境問題に関わっているアナタが、なぜ地域に関わっているの?」とよく聞かれます。

それは、「未来は地域にしかない」と信じているからです。

エネ庁のエネルギー情勢懇談会や、環境省の中央環境審議会など、政府の委員会の委員も務めていますので、国レベルでの効果的な政策を策定していくことの重要性も承知しています。

しかし、その政策が実際に人々の行動変化として結実して、望ましい未来を創り出していく場は、霞ヶ関ではなく、地域なのです。

そんな思いで、地域のお手伝いをするようになりました。

・バックキャスティングでビジョンを描く。
・システム思考で地域の現在の構造を見える化する。
・人々の幸福度を測定し、施策に反映する。
・社会的合意形成をはかる。
・プロジェクトをPDCAサイクルで着実に推進していく――

そのようなお手伝いをしながら、ここ数年、「やっぱり肝は地域経済だ」という思いを強くしてきました。そうして、地域の経済をしっかりと地域で回せるようになる未来に役立ちそうな、枠組みやツール、事例などを勉強してきました。日本だけではなく、英国やスペイン、米国など、世界各地の取り組みも非常に参考と刺激になります。

地域経済をしっかりとしたものにしていけるかどうかは、地方に住む人々だけの問題ではありません。

日本の「人口3万人未満の自治体」の人口を合計すると、日本全体のたった約8%です。一方、この人口3万人未満の自治体の面積を合わせると、日本全体の約48%になるのです。

つまり、日本の面積の半分近くをわずか8%の住民が支えてくれているのです。これらの地方で地域の経済が回らなくなると、ますます人口減少に拍車が掛かり、いずれ、人のいない地域が広がっていくでしょう。そうなると、日本の国土を保全することすらおぼつかなくなってしまいます。

人口減少と過疎化が進む地方では、さまざまな「移住政策」に取り組んでいます。いうまでもないですが、多くの場合、移住者は仕事がない限り、定住することはできません。「いかに人を惹きつけるか」も大事ですが、「いかに、地域経済を元気にし、雇用や起業の可能性を広げておくか」が鍵を握っているのです。

各地の地域が、それぞれ地元の経済をきちんと回し、お金や雇用を外部に依存する割合を低減しておくことは、次なる金融危機やエネルギー危機、顕在化する温暖化の影響(地球の裏側での被害もグローバル経済をたどって、地方にも大きな影響を及ぼす時代です)などに対する「しなやかに立ち直る力」(レジリエンス)を高める上でも、大きな鍵を握っています。

うれしい知らせは、「地域経済を取り戻す!」ための考え方やツール、事例がさまざまに登場しているということです。

地元経済の現状を「見える化」し、地域経済の漏れ穴をふさぐ取り組みを重ねていくことで、地元の経済を創りなおしていくことができます。いくつもの取り組みが生まれ、成果を挙げ始めています。

本書は、「地方創生!」「地域経済の活性化を!」という掛け声ではなく、そのために必要な考え方や具体的な方法・ツール、事例を紹介するために書きました。

『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』という書名が示しているように、「漏れバケツモデル」や産業連関表の活用、地域内乗数効果の見える化ツールなど、お金や雇用を外部に依存している割合をまず知り【分析】、どこに力を入れるべきかを考え【診断】、そのうえで、効果的な取り組みを進める【対策】ことができます。

そして、好循環に転換した地域経済の事例の数々を紹介しています。国内の事例はもちろん、海外の事例もいろいろ紹介しています。そういった事例には、「応用・転用可能な学びやコツ」がいっぱいあります。それらを知ることで、さらに効果的に取り組みを進めることができます。

構想から2年かかりましたが、このタイミングで世に送り出せて、本当にうれしく思っています。

一人でも多くの方の、1つでも多くの地域のお役に立つことを心から願っています。

そして、直接地域に関わっていらっしゃらなくても、わくわくする事例がいっぱいありますので、きっと楽しい読み物になると思います!

『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』(岩波新書)

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ