あすびと福島 ウェブサイト
11月下旬に世界に発信したニュースレターの日本語版より、私もお手伝いさせていただいている福島での取り組みを紹介します。
英語版はこちらにあります。
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あすびと福島の挑戦 ~福島の未来を担う次世代を育てる~
一般社団法人あすびと福島は東日本大震災で原発事故の被害にあった福島県南相馬市で、福島の復興を担う人材育成のための仕組みづくりを企画・運営している団体です。
2011年に東日本大震災で原発事故が起きて以来、避難地域に指定された市町村では一部を除き避難指示が解除された地域が増えつつあります。しかし事故から7年がたち、避難先での新たな生活が定着しつつあるため、事故前に生活していた場所に戻らない選択をする人たちも多く、急激な高齢化が進んでいます。加えて原発事故が起こったことで、農産物に対する風評被害もあり、復興への道のりは大変険しくなっています。
そんな環境の中で、全国から支援してもらったので将来自分たちも誰かの役に立ちたい、大好きな地元のために貢献したいと思う若い世代が復興を担う人材として成長できるよう、あすびと福島は世代別に具体的な仕組みを提供しています。
○世代ごとの成長長期を要する福島復興のために、あすびと福島は次代を担う若い社会起業家=「福島型アントレプレナー」の早期育成に取り組んでいます。トップランナーとなる若い人材が事業を起こして復興に貢献する。さらに、その姿を見て育ったさらに若い世代が、自分も事業を起こせるようになろうと挑戦する、といった良い循環が起きるよう、世代ごとに段階を踏んだ成長の種を提供しています。
例えば、小中学生には再生可能エネルギーの知識を深める中で「自分で考えて行動する力」「自分の考えを発表する力」を育むことを目的としてワークショップを開催しています。子どもたちが成長するにつれて、自分でさまざまな意見を持ち、エネルギーについて積極的に関わっていこうとする姿勢を感じます。
また高校生、大学生には小中学生向けのワークショップやスクールの手伝いをする中で世代の違う人たちとのコミュニケーションの取り方を学びます。ほかにも自分たちでイベントを企画・準備するなど、あすびと福島で学んだことを実践できる場を提供しています。
○再生可能エネルギーを体験福島県南相馬市内で500kWの太陽光発電所と2棟のドーム型植物工場を持つあすびと福島の施設「南相馬ソーラー・アグリパーク」では、平日の体験学習として主に小学生、中学生に向けた人材育成の取り組みの場となっています。
この施設では太陽光発電所での点検やパネルの方角、傾きを自分たちで変えると発電量がどう変わるかなどを研究したり、水力発電で自分の力と水の力を比べるなど、自然エネルギーについての学びを深めます。同時に、自分で仮説を立てて試行錯誤しながら自分で答えを探しだせるようにプログラムを工夫しています。
参加した子どもたちから「みんなで話し合って意見を持つことの大切さを学べた」「自然エネルギーで上手に発電できる方法はないか探したい」など積極的な感想が出ています。
ほかにも畑の廃棄物からバイオガスを作りだす実験を通して再生可能エネルギーの可能性を考える体験スクールや、足を使って発電させたり、太陽光パネルを動かして発電させた
電気をどのくらい貯めることができるのか、貯めた電気で何を動かすことができるのか、自分で体験しながら楽しく学べる週末スクールなど、エネルギーについて学べる機会を増やすことで、考えて試す機会を増やしています。
○地元の魅力を発掘2017年8月に高校生から社会人まで世代を超えた起業合宿「あすびと福島コミュニティ」が開催され、プロジェクトがいくつか生まれました。そのうちのひとつが2018年7月22日にマンホールアート多世代交流イベントとして開催された「小高マンホールアート・プロジェクト」です。
これは、福島県を観光客満足度日本一にすることを目的と定め、小高の町をアートにしようというコンセプトのもとで、身近すぎて気づかない地域の魅力の発掘と、将来の観光資源を作っていこうという思いの大学生が主導となって準備を進めました。このプロジェクトは、原発事故後に避難区域に指定され、解除された今も住民の帰還が元通りには進んでいない地域で開催され、当日は招待した小学生や地元高校生を中心に約60人集まりました。
小高の魅力を体感するイベントの前半は、地元高校生が企画・運営する「ゼロ・ゴミッション」活動をしながら、小高の街を歩きました。「高校生ゼロ・ゴミッション」とは、ゴミ拾いを通して歴史や文化、ゴミについて知ってもらったり、参加者が交流しあうことで絆が生まれ、南相馬での楽しい思い出の場所になったり、町の環境や雰囲気を活性化することを目的としたスポーツ化した参加型の活動です。南相馬市の高校生が企画・運営し、あすびと福島がサポートしています。参加者を班ごとに分けて、集めたゴミの重量とそのほかのミッションをポイント化して班対抗で競いました。
イベント後半のレクリエーションでは、「ゼロ・ゴミッション」で街を歩いた時に見つけた小高の魅力を参加者で共有しました。また小高の大蛇伝説を描いている「大蛇伝説のマンホール」の図柄を当時考案した下水道課OBにも来てもらい、考案した理由や小高の歴史について話してもらいました。最後に会場の近くにあったマンホールの蓋に色をつけて、マンホールTシャツを作りました。
イベント開催にあたり、マンホールに色を塗る許可を出した行政の協力や地域住民との開催までの意見交換、企画をサポートした社会人との連携を通して、学生たちはさまざまな経験を得ることができました。と、同時に小学生をはじめとする参加者の間で小高の魅力を再確認できたことは、地域全体にとってもよい機会になりました。
ほかに起業合宿で生まれたプロジェクト、「浪江・花プロジェクト」があります。東日本大震災で避難地域に指定された浪江町は避難指示が解除されるまで6年かかり、残念ながら地域のコミュニティがなくなってしまいました。学生たちは町民にとってかけがえのない「つながり」を創り出そうと「花」をテーマに町民のみなさんと交流できる場を作ろうと考えました。2018年3月に町内公園で花壇をつくり、4月は花の種まき、5月は花の栞づくりのワークショップを開催しました。
○憧れの連鎖子どもたちがこれまであまり学ぶ機会のなかったエネルギーについて、学んだことを友人や家族に話すことで、エネルギーについて考える機会が増えました。
また高校生や大学生が他世代交流イベントを開催することで、世代を超えてコミュニケーションが生まれたり、地元の良さを改めて感じるようになりました。元々コミュニケーションが得意でなかった高校生たちがあすびと福島のプロジェクトにボランティア参加していく中で、コミュニケーションを積極的に取れるようになり、自分たち主体で小学生たちの学びの場を進行するなど色々挑戦していきたいと思うようになりました。
あすびと福島は自分で考え、行動し、事業を起こす「福島型アントレプレナー」を育てることで、その下の世代が憧れて自分たちも続こうとする「憧れの連鎖」を生み出しています。それは「憧れの連鎖」が福島の真の復興の鍵だと考えているからです。
長期にわたる福島の復興を担う若い人材を育成するため、アメリカの寄付支援団体GlobalGivingを通じて継続的に寄付を募り、持続可能な活動を続けています。震災から立ち直るための福島の土台づくりに挑戦している活動に今後も期待したいと思います。
あすびと福島の活動はこちらからご覧いただけます。
HP:http://asubito.or.jp/
GlobalGiving Asubito Fukushima: https://www.globalgiving.org/donate/40599/asubito-fukushima-general-incorporated-association/
Facebook: https://www.facebook.com/asubitofukushima
Twitter: https://twitter.com/asubito_en
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https://www.globalgiving.org/donate/40599/asubito-fukushima-general-incorporated-association/
こちらに活動の写真や、活動報告などもありますので、ぜひご覧ください。そして寄付を通じて活動を支援していただけたらうれしいです。
http://asubito.or.jp/support/
こちらは日本語の団体サイトです。あすびと福島には、たくさんのソーラーパネルがあるのですが、1万円で個人パネルオーナーになって活動を支援する、というやり方もあります。
福島の真の復興のための息の長い活動が持続可能につづいていくことを心から願っています。