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新しい年が始まりました。2019年が少しでも持続可能で幸せな未来に近づいていける1年になるよう、自分にできることを少しずつでも進めていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いします。
年末に、「2018年を振り返って~持続可能性に関わるアンケート」をお願いした
ところ、129名の方から回答をいただきました。結果をお伝えします。
メールニュースや私のフェイスブックにつながってくださっている「環境問題や
持続可能性の課題に関心のある方々」がどのように感じ、考えていらっしゃるか、
みなさんはどう思われるか、ぜひご覧下さい。
~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1)2018年を振り返って、以下のそれぞれについて、どのように感じています
か?それぞれ選び、そう思った理由をいくつでも挙げてください。
a.地球環境
良くなった:1%
少し良くなった:1%
変わらない:7%
少し悪化した:27%
悪化した:64%
昨年に比べて、「悪化した」と感じている人がずいぶん増えました。
<参考:1年前のアンケート結果>
良くなった:0%
少し良くなった:3%
変わらない:12%
少し悪化した:37%
悪化した:48%
○「悪化した・少し悪化した」と思う理由
異常気象、温暖化の進行、激甚災害の増加(68人)
海洋プラスティック問題(9人)
経済優先の社会(5人)
政府の消極姿勢(5人)
温暖化に関連すると考えられる異常気象や災害の頻発のほか、海洋プラスチック
問題も顕在化しました。また、昨年はトランプ政権を理由に挙げる人がいました
が、今回は、「経済優先の社会」「政府の消極姿勢」という指摘があります。
<参考:1年前のアンケート結果>
○「悪化した・少し悪化した」と思う理由
異常気象・気候変動・CO2排出量の増加(48人)
トランプ政権(パリ協定離脱)(9人)
ーーーー
b.世界の持続可能性への取り組み
良くなった:5%
少し良くなった:35%
変わらない:22%
少し悪化した:20%
悪化した:18%
○「悪化した・少し悪化した」と思う理由
トランプ政権の影響(18人)
経済優先の考え(6人)
取り組みの遅れ、鈍化(5人)
中国の消極姿勢(4人)
○「少し良くなった・良くなった」と思う理由
パリ協定、COP24(9人)
SDGs(8人)
プラスチック削減の取り組み(6人)
再エネへのシフト(6人)
民間・一般の意識の高まり、良い取り組み(5人)
世界を考えると、「良くなった」と感じている人が少し増えています。「悪化し
たと思う理由」「良くなったと思う理由」も、少し去年と変わってきているよう
です。
<参考:1年前のアンケート結果>
良くなった:1%
少し良くなった:35%
変わらない:20%
少し悪化した:19%
悪化した:25%
○「悪化した・少し悪化した」と思う理由
トランプ政権への懸念・不安(25人)
資本主義経済第一、自国優先主義への傾向(8人)
格差・紛争・テロ・貧困の拡大や増加(3人)
○「少し良くなった・良くなった」と思う理由
再エネへのシフト(11人)
パリ協定(7人)
中国の取り組み(4人)
SDGsへの取り組み(3人)
ーーーー
c.日本の持続可能性への取り組み
良くなった:2%
少し良くなった:19%
変わらない:30%
少し悪化した:16%
悪化した:33%
○「悪化した・少し悪化した」と思う理由
安倍政権の姿勢(27人)
原発推進、再稼働(8人)
辺野古埋め立て(6人)
○「少し良くなった・良くなった」と思う理由
企業の取り組み(5人)
SDGs(4人)
民間・一般の意識の高まり、よい取り組み(4人)
プラスチック問題の意識化(3人)
日本も、去年に比べると「良くなった」と思う人が少し増えています。「良くなっ
たと思う理由」に「企業への取り組み」が出てきました。
私もシンポジウムに参加させていただきましたが、脱炭素社会実現をめざす企業
グループの日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)などが積極的
な取り組みを進めています。
<参考:1年前のアンケート結果>
良くなった:0%
少し良くなった:14%
変わらない:27%
少し悪化した:21%
悪化した:38%
○「悪化した・少し悪化した」と思う理由
原発再稼働(17人)
安倍政権の政策(12人)
再エネが増えない(9人)
石炭火力発電の推進(8人)
軍事費や戦争リスクの増大(5人)
○「少し良くなった・良くなった」と思う理由
SDGsへの取り組み(4人)
ESDなど教育への取り組み(3人)
民間・一般の意識の高まり、よい取り組み(2人)
ーーー
(2)2018年の「持続可能性に関わる10大ニュース」を選ぶとしたら、どのようなものが挙げられるでしょうか?
※挙げられた順位に関わりなくカウントしました
地球温暖化の影響(酷暑、台風、洪水、山火事など)(76人)
プラスチック問題(海洋汚染、使用禁止の動向など)(58人)
パリ協定、COP24(31人)
原発関連(輸出断念、再稼働、廃炉など)(36人)
トランプ大統領の政策(パリ協定離脱など)(19人)
再エネへのシフト(RE100など)(15人)
辺野古埋め立て(12人)
再エネの課題(FIT見直し、メガソーラーの課題など)(10人)
食(食品ロス、海洋資源など)(10人)
SDGs(11人)
ESG投資(9人)
種子法(8人)
北海道全域ブラックアウト(7人)
石炭火力への融資(7人)
IPCCの1.5℃特別報告書(6人)
下にある1年前の結果と比べていただくとわかるように、温暖化の影響をあげる
人が多く、パリ協定、再エネシフト、IPCCの1.5℃報告書など、温暖化に関連す
るトピックが多くあがっています。同時に、去年は出ていなかったプラスチック
問題も多くあがっています。そして、再エネシフトだけでなく、再エネの課題も
あがっています。これらは今年も要注目!です。
<参考:1年前のアンケート結果>
トランプ大統領(パリ協定離脱)(49人)
パリ協定・COP23・SDGs(31人)
世界的な再エネへのシフト(27人)
原発関連(差し止め判決、再稼働、廃炉など)(24人)
異常気象関連(氷面積の減少含む)(23人)
EVシフトの潮流(19人)
核拡散禁止条約(11人)
中国の環境政策など(10人)
ーーー
(3)2019年、持続可能性に関わるどのような動向に注目しますか?
エネルギー(再エネへの取り組み、エネルギー政策など)(59人)
プラスチック問題(海洋汚染、削減の取り組みなど)(29人)
温暖化への取り組み(緩和策、適応策など)(23人)
食(食品ロス、海洋資源、生産・自給など)(21人)
気候変動、地球温暖化(20人)
原子力発電(再稼働、廃炉、政策など)(18人)
SDGs(18人)
トランプ政権(アメリカ)の動向(15人)
パリ協定、COP24後の動向(15人)
地域、都市・街づくり(14人)
モビリティーの動向(EVなど)(14人)
中国の動向(13人)
去年と同じく「エネルギー」の動向への注目がトップです。そして、昨年は1つ
も言及のなかったプラスチック問題、食、地域づくり、そして、中国の動向を注
視するという声も少なくありません。
<参考:1年前のアンケート結果>
エネルギー(68人)
日本の原子力政策(24人)
SDGs(19人)
トランプ政権(アメリカ)の動向(19人)
地球環境(温暖化、気候変動)(15人)
ESG投資、お金の流れ(12人)
(参考:回答者の属性)
男性:65%
女性:35%
20代:4%
30代:7%
40代:22%
50代:29%
60代:19%
70代:17%
80代:2%
以上が、今回のアンケート結果および昨年との比較です。ご協力くださったみな
さま、ありがとうございました! また今年の暮れに行いますので、どうぞご協
力ください。
上記にも書いたように、1年前には「注目すべき動向」にもあがっていなかった
プラスチック問題が、あっという間にこれほど大きな問題となりました。
プラスチックのお世話になっていない組織も個人もないでしょうから、温暖化と
同じく、世界全体で「全員の問題」として取り組んでいくことになります。投資
家も動き始めていますので、企業での取り組みにも拍車がかかることでしょう。
と同時に、1年前に「プラが問題になる!」と思っていなかった人が多いことか
ら考えられるように、今現在、多くの人のレーダーにひっかかっていない新たな
問題が台頭してくる可能性があります。
国内的には、昨日FBにも書いたのですが、「今年は何が動いていくのか」を考え
たとき、1つはそろりそろりと原発の位置づけかなと思っています。
経団連の中西宏明会長が年頭の会見で、原発について「国民が反対するものをエ
ネルギー業者やベンダーが無理やりつくることは民主国家ではない」「どうする
か一般公開の議論をすべき」と発言され、さまざまな波紋が広がっています。
中西さんはエネルギー情勢懇談会でいろいろ議論をさせていただき、現在進行中
の長期戦略懇談会でもご一緒させていただいている方なのですが、経団連会長と
いう大変なお役目を担って、日本を正しい方向に進めていってくださることを応
援したいと思っています。