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コロナ状況下の過ごし方アンケート~コロナの先へ

2020年05月24日
コロナ状況下の過ごし方アンケート~コロナの先へ

コロナ状況下の過ごし方アンケート

https://forms.gle/HC7jYNXAVjr7UWgH6

コロナの状況から何を学び、コロナの先に何を見るべきかを考え続けています。ぜひみなさんからのインプットもいただきたく、3分アンケートにご協力いただけないでしょうか? コロナ状況下でみなさんの時間の使い方や、食べ物の入手方法、人との関係性、幸福度などがどのように変わったのか、変わっていないのか、ぜひ教えてください。

「コロナ状況下の過ごし方アンケート」

アンケート結果はとりまとめてメールニュースでもご報告するほか、メディアの取材時や自分の講演時などにご紹介したいと思っています。どうぞよろしくお願いします!
ご家族やお知り合い、お友だちなどにもお伝えいただけたらうれしいです。
「コロナ状況下の過ごし方アンケート」
https://forms.gle/HC7jYNXAVjr7UWgH6

さて、毎月英語で世界に発信している幸せ研ニュースレター、今月もコロナをテーマに原稿を書きました。日本語版を共有させていただきます。

さて、毎月英語で世界に発信している幸せ研ニュースレター、今月もコロナをテーマに原稿を書きました。日本語版を共有させていただきます。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~

<コロナの先へ>

●今回のコロナ危機のもたらすもの

今回のコロナウイルスの感染急拡大は、「そうでなくてもそちらへ向かっていた方向」へ社会を大きく動かしています。テレワークがその筆頭でしょう。また、遠隔医療やオンライン教育なども、少しずつその方向へ動いていましたが、その必要性を突きつけられ、急ピッチでシフトや取り組みが始まっています。

本当は平時から着実に動けばよいのでしょうけど、平時には「特に現状で問題ないのに、なぜあえて変える必要があるの?」という現状維持バイアスが足を引っ張ります。そう思うと、今回のような"非常時"にこそ、「そうでなくても向かっていた方向」への動きを起こしたり、加速したりすることができます。

また、今回のコロナウイルスの感染急拡大は、「そろそろ引き返し、戻るべき方向」「本当に大事にすべきことを大事にする方向」へも社会を大きく動かす力を持っていると思っています。たとえば、コロナウイルスの世界的な蔓延および経済や産業面でのショックの伝播は、「いかに私たちの世界が緊密に結びついているか」を改めて浮き彫りにしました。「グローバル化」のメリットを称賛するだけでなく、デメリットやリスク、脆弱性を改めて考え直し、「どこまで何をグローバル化し、何はどこまでローカルにしておくべきか」の優先順位づけを考える必要があることを突きつけているように思います。

内外のようすから、今回のコロナウイルスの状況下で、あちこちで出てきている「そうでなくてもそちらへ向かっていた方向」と「そろそろ引き返し、戻るべき方向」「本当に大事にすべきことを大事にする方向」への動きを集めています。

コロナのトンネルの先にどんな世界や社会を描いておくかが、「コロナ後」の私たちを方向付けると思うからです。そして、「こんな社会だったらいいな」「こんな世界にしたいな」と思う内外の状況や取り組みを集め、日本語のみですが発信しつづけています。
https://www.es-inc.jp/corona/

●今回のコロナ危機をどうとらえるか

今回のコロナ危機をどうとらえるかが、今後の組織や社会、個人のあり方を大きく左右すると思っています。

世の中を見ていると、コロナの危機のとらえ方に、大きく2通りあるようです。1つは、「現在は、平時の状態から一時的に非常事態、異常な事態になっているのだから、過ぎ去れば元に戻るだろう」というもの。そのようにとらえていると、「いかにしのぐか」が大事な戦略になります。

もう1つのとらえ方は、「今回のコロナ危機は、このまま"これまで通り"が続いていくことはないという警鐘だ」というものです。このとらえ方であれば、「コロナ危機から何を学び取るか。そしてそれによって自分たちをどう変えていくか」を考え抜くこと、実行していくことが戦略となります。

企業・組織や地域、社会がこの2つのとらえ方のどちらを採るかによって、その後のあり方が大きく変わってくるでしょう。私はもちろん、2つめの考え方です。「コロナ危機から何を学び取るか。そしてそれによって自分たちをどう変えていくか」が、今後の組織、特に企業の盛衰を決すると考えているのです。

当初は、「1、2カ月たてば収まる」と思った人が多かったでしょう。「今は非常事態で、少し辛抱すればまた元の常態に戻るだろう」と思っていました。しかし今では、多くの人が「コロナのトンネルの先は前の世界ではない」と、はっきりと、または薄々感じるようになっています。「ポストコロナ」「ニュー・ノーマル」といった議論があちこちで始まっていますが、まずは、今回のコロナ危機で明らかになった「すでに危うくなっていたもの」の検証から始めることも大事だと思っています。

●すでに危うくなっていたもの~命の重視

今回のコロナ危機で明らかになったことの1つは、「命がいちばん大事」ということです。

生死に関わる事態の拡大を避けるために、経済活動も縮小せざるをえず、便利さや楽しさも我慢することを強いられ、私たちは「しかたない」と思いながら従っています。「経済よりも命が大事」ということが大前提であると、社会全体が再確認していると言えるでしょう。

これまでは、経済成長や経済活動の継続が何よりも大事と考えられているように思えるところもありました。しかし、それよりも「やはり命が大事なのだ」という認識を社会全体で共有せざるを得なくなっていることは、これまでの「命を軽視・もしくは考えに入れない経済・社会」から、「命を大事にする経済・社会」へのシフトにつながる可能性があると、私は前向きにも捉えています。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療崩壊といわれる状況に陥ったり、その可能性が心配される国もあります(日本もその1つです)。医療崩壊は、感染スピードが速いことも大きな要因となりますが、医療や健康関連の施設や体制がどのぐらい整っているにも左右されます。

米国では近年、医療・健康関連の研究開発費が縮小されてきたといわれています。日本でも、第一線で地域住民の健康や衛生を支える公的機関の一つである保健所の数が、1990年ごろから大きく減ってきています。厚生労働省健康局健康課地域保健室調べの「保健所数の推移」をみると、1992年には852箇所あった保健所が、2020年には469箇所と、この30年ほどの間に半分近くまで減ってしまっているのです。病院の体制や医療従事者の育成・保持なども、これまで優先順位がそれほど高くない扱いだったのかもしれません。

このように、国民の健康や医療を支えるそもそもの仕組みが弱くなっているところに、感染力の強い感染症が広がると、医療崩壊が心配される状況に陥ってしまいます。「何が大事なのか」「何を守っておく必要があるのか」をもう一度しっかりと考える必要があります。平時には、冗長であると考えられるかもしれないが、このような非常時には大事な役割を果たす機能をどうやって維持しておくかも、今後に向けて考えておく必要があります。

●都市と地方の関係性

もう1つ、今回、都市と地方の関係性の逆転も起こっています。フィリピン・マニラに住む知人が、「以前は、都市に働きに出ている人が、地方の生まれ故郷にお金を送っていた。いまは、都市はロックダウンで経済活動ができない。地方ではまだ経済活動ができるから、今では地方からロックダウン下の都市へ送金されている」と教えてくれました。

日本でも、都市と地方の関係性が危うくなっていたことがますます明らかになりました。これまで、人もエネルギーも食べ物も、地方から東京に流れ、東京の繁栄を支えるという構造になっていました。このような地方と都市との関係性は、とくに都市にとってきわめて脆弱であることが今回明白になりました。

今回のように、人の移動ができなくなり、それに伴ってモノの移動にも制約がかかるようになってくると、東京をはじめとする都市は住みにくい場所になってしまいます。食べ物1つとってみても、東京の食糧自給率はわずか1%ですから、膨大な量の食料が外から入ってくることを前提とした構造になっているのです。

それに対して、ふだんは、東京に比べて不便だし何もない"田舎"といわれている地方のほうが、「いざとなったら自分たちで食べ物も何とか回していける」という強さを持っています。

人口200人ほどの離島に住んでいる人がこう話してくれました。「自分たちは、外に売るためではなく、自分たちが食べるものを作っている。魚もあるし、野菜もあるし、年寄りも施設に入れているわけじゃないし、コロナで経済活動ができなくて困ると都会の人たちは言っているけれど、こうなった時、島は強いと思う」。

都市の通勤をはじめとする過密状態なども、田舎にはほとんどありません。田舎の方が感染リスクが少ないのです。これまでは、「都市のみなさん、お金を落としに地方に来てください!」と嘆願していた地方が、今では「都市のみなさん、地方に来ないでください!」とお断りをしている状況です。

「あこがれの大都会・東京に上京して暮らす」ことがこれまで多くの地方の若者の夢でした。しかし、都市の脆弱性と危険性が明らかになった今、若者たちの意識も変わりつつあるようです。

就職情報会社が4月24日から5月1日にかけて、インターネットを通じて20代の転職希望者に新型コロナウイルスの感染拡大の影響についてアンケート調査を行ったところ、回答を寄せたおよそ360人のうち、「地方への転職を希望する」と答えた人は36%と、ことし2月の調査と比べるとおよそ14ポイント増えています。地方への転職を希望する理由については、「テレワークで場所を選ばずに仕事ができることがわかった」とか「都市部で働くことにリスクを感じた」、「地元に帰りたい」といった答えが目立つそうです。

●コロナの先へ

コロナ危機に対する対症療法ではなく、コロナのトンネルの先の経済や社会のあり方を考える動きが内外で広がっています。私たち幸せ経済社会研究所でも、国内の動きを見ながら、新しい時代をどうつくっていけるかを模索しつつ、海外の洞察や提案、事例なども日本に広く紹介し、さまざまな角度からの議論や思考の深まりに資することができたら、と考えています。何か参考になる情報や取り組みがあったら、ぜひ教えてください!(edahrio(@)es-inc.jp)

※迷惑メール対策のため、お手数ですが(@)を@に変更してお送り下さい

                                (枝廣淳子)

(以上)

 

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