Image by FASTILY Some Rights Reserved.
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KelpforestI2500ppx.JPG
明けましておめでとうございます。
2020年は予想もしていなかった、さまざまな変化の年でした。
今この時も、新型コロナウイルス感染拡大防止のために尽力してくださっている医療関係者の皆様に、心からの感謝を申し上げます。
自分自身も昨年はコロナをきっかけに、それまでの二拠点生活を解消して熱海に完全移住、新会社「未来創造部」を共同設立、ワーケーションスペースや、交流拠点「マリンスクエアカフェ」をオープンするなど、新たな展開の年でした。
フィールドの拠点が整いつつあるので、2021年はさまざまなプロジェクトをスタート・展開していく予定です。メールニュースでもご紹介・進捗報告をしていきたいと思います(このあとにも1つ登場します!)。「面白いなあ!」と思われるものがありましたら、ぜひご一緒に。
「何があってもブレないですね」と言われることがあります。たぶんそれは、「朝2時起きで何でもできる!」という本に書いたように、「ビジョンを描き、少しずつでも着実に実行に移していくプロセス」を持っているからではないかと思います。
こういうときだからこそ支えになるはず!と、数年ぶりに「バックキャスティングのビジョンづくりと、着実に進めていくための自分マネジメント」の1日のワークショップセミナーを開催することにしました。少人数制でじっくりと並走します。よろしければどうぞ!
「自分合宿 2021@熱海 ~コロナの先の未来へ」(オンライン受講もできます)
さて、2020年は「脱炭素競争!」の号砲がようやく日本にも鳴り響いた年となりましたね。管首相のカーボンニュートラル宣言が、各省庁にも企業や産業界にも、「ルールが変わった!」ことを高らかに告げることになりました。それまでの「80%削減」だと、「それは必要だよねー、でもわが社は残りの20%だから」というスタンスを許しましたが、「ゼロ」となると「例外はない」ということです。新聞を見ていても、毎日のように各企業が競って「脱炭素」「再エネ100%」を打ち出していますよね。
経産省でもずっと避けてきたカーボン・プライシング(炭素税や排出量取引などで、CO2に価格をつけること)制度の議論が始まり、ずっと反対してきた経団連も、「まず拒否するという方向で出発すべきではない」と中西会長が新年の談話で述べ、方針転換を示しました。新年の日経新聞で「脱炭素を飛躍のチャンスにしよう」という論説を読める日が来るなんて......と遠い目の私(^^;
環境問題に長年取り組んできた人々の中には、これまで何とか打倒しようと力を集中してきた敵を失って「あれ?」という人もいるかも。戦う相手と戦い方と変えなくては、ですね。
全体としてあるべき方向が2050年という年限をもって打ち出された現在、
(1)それでも動いていない企業や産業、地域をプッシュする
(2)2050年という先の目標だけでなく、2030年にはどうしておくべきか、という中間地点の目標を打ち出すように働きかける
(3)中期・長期の目標に向けて着実に進んでいくためのマネジメント体制がしっかりしているかをチェック・プッシュする
(4)目標や政策、体制だけでなく、CO2排出量の削減などの「実績」がきちんと進捗しているかをチェック・プッシュする
(5)望ましい方向に進むためのプロジェクトや事例をたくさん作り、評価し、広げていく
ことが大事だと思っています。
この最後の点にとっても役立つ本が出ています。
『DRAWDOWN ドローダウンー地球温暖化を逆転させる100の方法』
ポール・ホーケン (著), 江守 正多 (翻訳), 東出 顕子 (翻訳) 山と渓谷社
どんな本か? 短い書評を書かせてもらったので、紹介します。
~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~
気候変動の破壊的な影響が世界各地で顕在化している。ようやく脱炭素を宣言する政府や企業が増えていると言え、本当に事態は好転するのだろうか・・・?
そんな鬱々とした気分を吹き飛ばし、「もしかしたら状況は変えられるのかも」と希望を持たせてくれるのが本書だ。次々と登場する具体的なソリューションは、机上の空論ではなく、きちんとデータを備え、フィールドでの実証・実用化が進んでいるものばかり。
きっと変えられる! そう叫びたくなる本である。
~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
そして、気候変動に関してもう1冊、読み応えがあり、思考のタネと刺激満載のお薦めの本があります。
ナオミ・クライン著『地球が燃えている:気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』
副題に「グリーン・ニューディール」とあります。「最近、コロナ禍からの景気回復の文脈で、グリーンリカバリーとかグリーン・ニューディールとか聞くなあ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
ナオミ・クラインは、グリーン・ニューディールは「いまのところ、雑多なものが詰まった福袋のように扱われている」が、「一見、異質な危機(経済的、社会的、生態学的、民主主義的な)と映るものを、文明の変容という共通の物語に組み込むものだ。今日、この種の大胆なビジョンは、しだいに「グリーン・ニューディール」の旗のもとに結集するようになっている」と位置づけ、解決に向けての考え方と具体的な内容を骨太に展開します。
350ページもの本なので、ちょっと時間はかかりますが、読みやすい本になっています。必読書の1冊ではないかと思い、今月27日に開催する幸せ研のオンライン読書会でも取り上げることにしました。キーポイントを私なりに再構成してお伝えしますので、ご興味のある方はぜひご参加下さい。
https://www.ishes.org/news/2020/inws_id002863.html
温暖化対策には、(1)省エネや再エネシフトによって排出するCO2を減らす対策のほか、(2)すでに出てしまったCO2を吸収・回収するやり方もあります。両方とも大事です。温暖化をもたらすのは大気中に蓄えられているCO2(=ストック)ですから、毎年の排出量(=フロー)を思い切り減らしながら、ストック自体も減らしていかなければなりません。
大気中のCO2を吸収するといえば、植物ですよね! 森林や陸上の植生が貯留している炭素を「グリーンカーボン」と呼びます。一報、海域で貯留されている炭素を「ブルーカーボン」と呼びます。海域で炭素を貯留しているのはマングローブのほか、特に国内では海藻藻場の果たしている役割が大きいとされています。
海藻藻場は、CO2を吸収するほか、水質を浄化し、海洋生物の産卵・保育場として海の生物多様性を支えています。漁業や観光業などの産業にとっても、非常に重要な役割を果たしているのです。
ところが、この海草藻場が各地で危機に瀕しています。その原因は、埋め立てによる消失、富栄養化や土砂流入などによる透明度の低下、農薬などの化学物質の流入、磯焼け(海藻が著しく減少・消失した不毛の状態)などですが、近年は気候変動による海水温の上昇も原因の1つとなっていると考えられます。
......という話はもちろん知っていたのですが、地元・熱海で漁師さんたちから海の状況や水揚げ量の変化などの話を聞くようになり、「海草藻場の劣化」は環境の教科書に載っている話ではなくなってきました。
そこで、CO2を吸収・回収すると同時に、藻場の再生によって漁業にも資することをめざし、「ブルーカーボン・プロジェクト」を熱海・未来創造部で進めることになりました!(より大きなスキームの第一段階と位置づけています)
未来創造部はこれまでも、地元のグリーンエネルギー推進協議会と連携して、熱海港に注ぐ糸川の河口にネットを張って、川から流れてくるプラスチックゴミをキャッチする「プラキャッチプロジェクト」を展開するなど、海での環境活動を行ってきました。
https://mirai-sozo.work/topics/miraisozo/index.html
その実績と信頼を基盤に、今回のプロジェクトも進めていく予定です。これが今年展開予定のプロジェクトの1つです。
ブルーカーボンはカーボンクレジットの対象にもなっており、脱炭素社会づくりの重要な一端を担えるのではないかと考えています。フィールドで試行錯誤しながらカタチにしていくプロセスを一緒に進めながら、自社の脱炭素戦略に役立てたいという企業・組織・地域がありましたら、ぜひご連絡を。
東京から新幹線で40分、熱海駅から徒歩16分(バスやタクシーなら5分ほど)、海の目の前のコワーキング・スペースでリモートワークをしながら、現場での実験・体験を積んでいただける枠組みを準備しています。 お問い合わせ先:info(@)es-inc.jp
※迷惑メール対策のため、お手数ですが(@)を@に変更してお送り下さい
昨年はコロナ禍での移住や新会社の設立もあり、メールニュースなどの情報発信が十分にできませんでしたが、ようやく活動拠点が整ってきました。今年はいろいろなことを進めながら、情報発信にもふたたび力を入れたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
最後に、毎年恒例のお願い、「2020年を振り返って~持続可能性に関わるアンケート」、1月10日までとなっています。数分お時間をいただいてご協力いただけたらうれしいです。
https://forms.gle/sbLskhyFaSEZqP7f6
今年もどうぞよろしくお願いいたします!