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毎日、新聞や雑誌、Webサイトなどでも、環境やサステナビリティに関わる用語がいっぱい飛び交っていますよね。「これって何だっけ?」「どういう意味があるのだろう?」と思われることも少なくないかも知れません。
そこで!ときどき、「プチ解説」をしていこうと思います。お役に立てたらうれしいです。
トップバッターは、「TCFD」です。
TCFDとは、Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの頭文字をつなげたもので、日本語では「気候関連財務情報開示タスクフォース」と言います。漢字が10コもつながっているだけで、難しそー!という雰囲気を醸し出していますね(^^;
私が考える「TCFDを理解するうえでのキーワード」は3つ。「パリ協定」「金融機関にとってのリスク」「情報開示」。
温暖化やパリ協定が突きつけるリスクに対して、金融機関は企業に情報開示を求めるようになっている、ということです。
まずは、温暖化やパリ協定が金融機関にリスクを突きつけている、というのはどういうことなのでしょうか。
温暖化に伴い、たとえば、台風や洪水といった異常気象の増加や、海面上昇や高温化が心配されています。企業によっては被害を受けたり、操業ができなくなる恐れがあるかもしれません。また、パリ協定に象徴されるように、各国で脱炭素へのシフトが進むと、これまで売れていたものが売れなくなる企業も出てくるでしょう。逆に、脱炭素シフトがビジネスチャンスとなる企業もあるかも知れません。
さて、このような温暖化やパリ協定がもたらす可能性のある企業のリスクは、投資や融資をする際には知っておかなくてはなりませんよね。投資や融資をしてから、「え、そんなことになるなんて・・・」となることは、金融機関としては絶対に避けたいものです。逆に、脱炭素時代に生まれてくるビジネスチャンスをモノにできるかもしれない企業があるなら、それも知っておきたいですよね。
そこで、TCFDです。気候関連財務情報開示(気候変動に関連する財務に関わる情報を開示するため)の枠組みを示しているのです。
みなさんが金融機関だったら、ある企業の「気候変動に関するリスク」が大きいか、小さいかをどうやって評価するでしょうか?
私だったら・・・まずは、ちゃんと気候変動に関するリスクを考え、取り組む体制があるか、を見ると思います。環境部門やサステナビリティ部門は熱心でも、トップや取締役会がしっかり取り組もうと考えていないような企業には、コワクて投融資できません。
あとは、パリ協定が求めているように、1.5度以下で気温上昇を抑えるという、厳しいシナリオが現実になったとき、自社にはどんなリスクがあるのか、短期だけでなく中長期もちゃんと考えた上で、戦略を立てているか? 自社のリスクをきちんとマネジメントできるプロセスがあるか? ですね。
そして、ただ「しっかり考えてます」ではなく、しっかり考えた結果、どういう目標を立てているのか? 進捗を何で測ろうとしているのか? 自社内の排出量だけでなく、サプライチェーンなどがある場合には、それも含めた数字がほしいですね。
というわけで、TCFDでは、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」という4つの分野について情報開示をしなさい、という枠組みになっています。
このように、TCFDとは中長期で不確実性が高い気候関連リスクに関する開示の枠組み(フレームワーク)ですが、開示するかしないかは任意です。
任意ではありますが、日本では、今年4月から予定されている市場再編において、プライム市場に上場する企業については「国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDに基づく質と量の充実を求めるべきである」と明記されているので、実質的には義務化とも言えるでしょう。
企業側としても、TCFDに沿って情報開示をすることで、「うちの会社は、気候関連リスクを適切に評価・管理しています」とアピールでき、投資や融資を受けやすくなると考えることでしょう。そこで、「TCFDに賛同します」と表明する企業も増えています。
2021年9月30日時点の数字ですが、TCFD賛同者は、世界全体で2,529機関、うち、日本が509機関と世界最多となっています。
単なる「脱炭素」「カーボンニュートラル」といったビジョンや宣言だけでなく、温暖化が進行し、1.5度以下に抑えようという圧力が増大していく中で、自社に関わるリスクを中長期的にもきちんと考え、しっかりと取り組む体制ができているかが問われるようになっている、ということですね!
TCFDのプチ解説、いかがでしたか?
次は何にしようかな? ときどきお送りする予定なので、どうぞお楽しみに! (すべてにはお応えできないですが、「これについて解説して」というリクエストがあればお寄せください。このメールニュースに返信すると、私にだけ届きます)
最後にご案内を2つ。
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2月は、サティシュ・クマール氏の新刊本『エレガント・シンプリシティ』を課題書に取り上げます。本書を読んで、お会いするたびに感動を覚えていたサティシュさんの優しさ・人を包み込むような温和な笑顔の背景にあるものが少しわかった気がします。そして、それは私たちにとって、大事な気づきと学びを提供してくれていることも。
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次々と進化を遂げる海士町のまちづくり、目が離せません! またまた新しい展開も。海士町で官民連携の地域づくりの原動力のおひとりである、株式会社風と土と 代表取締役、阿部裕志さんをお迎えして、いろいろとお話をうかがいます。わくわくすること、間違いなし! ぜひご一緒にどうぞ。