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新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
1999年11月にこのメールニュースを出し始めて、はや25年がたちます。当時と比べて、大きく進んだこともたくさんありますが、全体として地球環境は悪化の一途をたどっていて、経済の仕組みや社会の考え方などを変えていくことの緊急性は以前にも増して大きくなっています。
特に、この数年、内外で政治の混乱が相次ぎ、戦争や紛争がぶり返し、「人類は進歩していたはずなんだけど・・・」と思うこともしばしば。そんなとき、「哲学界のロックスター」と呼ばれる哲学者マルクス・ガブリエル氏の『倫理資本主義の時代』を読みました。
先月12月にはこの本を課題書として読書会も行いました。(読書会は音声受講もできます)
https://www.ishes.org/news/2024/inws_id003599.html
この本には、興味深く、私たちの思考に刺激を与えてくれるポイントがいくつもありましたが、その1つが「道徳的進歩」という考え方です。著者の説明を紹介します。
「道徳的進歩」とは、それまで部分的に隠されてきた道徳的事実を社会全体が認識すること。
たとえば、奴隷制度は、長い間多くの人にとって容認できるもので、法的にも保護され、経済的利益の追求において重要な手段として使われていましたが、今日、私たちはそれは完全に不道徳なものであると正しく認識しています。今ではほとんどの人が奴隷制度を不道徳と考えているという点において、人類は道徳的進歩を遂げた、ということです。
読書会では、奴隷制度以外の「道徳的進歩」の例を考えてみました。「男女の平等」、「LGBTQといった性的志向の多様性」なども、かつては不平等・不寛容な扱いが容認されていましたが、じょじょにその認識が変わりつつあります。認識がどこまで広がっているか、その認識が現実に反映されているか、はそのテーマによっていろいろではありますが。
私は、アニマルウェルフェアも「道徳的進歩」の1つではないか、と考えています。これまでは人間中心主義だったのを、動物にも意識も感覚もある、として、できるだけ道徳的に扱うべき、という認識が広がりつつあると思うからです。(その先には、(ずっと先でしょうけど)植物も入ってくるだろうと考えています)
この「道徳的進歩」は、おそらく逆戻りはしないものだ、と思われます。米国の大統領がだれになろうと、どこで対立や紛争が続こうと、ふたたび奴隷制度をよしとするような世界にはならないだろう、と思うのです。
としたら、海の表面の波風のように、世界ではいろいろな逆行する出来事や退行現象が揺り戻しのように見られたとしても、その底流がしっかりと進歩の方向に向かっていくこと。そのために、自分も小さくても「道徳的進歩」を後押しする力になりたい、そのための情報発信をしていきたい、と思ったのでした。私の新年の抱負です(^^;
今年はそんなことを考えながら、メールニュースの配信を続けさせていただこうと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
さて、1月15日まで、よろしければぜひご協力ください。
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1月のご案内を2つ掲載させていただきます。
(オンライン参加のみ受付中)
2025年1月11日(土)開催
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【幸せ研読書会】2025年1月16日(木)18:30~
『答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ』を読む
今年が穏やかで確かな1年となりますように。
どうぞよろしくお願いします。