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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2005年07月16日

92年リオ環境サミット セヴァン・スズキ(12歳)のスピーチ(2002.06.16)

大切なこと
 
今年の8月末から、「リオ+10」と呼ばれるヨハネスブルグでの環境サミットが開かれます。「リオ+10」というのは、リオデジャネイロで開催された地球サミットから「10年がたちました」ということです。リオからの進捗をレビューし、次に進んでいこう、という性格を持った会議になります。 いまから10年前、そのリオ地球サミットで、カナダのバンクーバー生まれの12才の少女がスピーチをしました。ぜひ読んでいただいて、「この10年間、私たちはどこまで進めたのだろうか?」とレビューしていただければと思います。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜         92年リオ環境サミット セヴァン・スズキ(12歳)のスピーチ こんにちは、セヴァン・スズキです。エコを代表してお話します。エコというのは、子供環境運動(エンヴァイロメンタル・チルドレンズ・オーガニゼェーション)の略です。カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、今の世界を変えるためにがんばっています。あなたがた大人たちにも、ぜひ生き方をかえていた だくようお願いするために、自分たちで費用をためて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をして来ました。 今日の私の話には、ウラもオモテもありません。なぜって、私が環境運動をしているのは、私自身の未来のため。自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとはわけがちがうんですから。 私がここに立って話をしているのは、未来の生きる子どもたちのためです。世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。 太陽のもとにでるのが、私はこわい。オゾン層に穴があいたから。呼吸をすることさえこわい。空気にどんな毒がはいっているかもしれないから。父とよくバンクーバーで釣りをしたものです。数年前に、体中ガンでおかされた魚に出会うまで。そして今、動物や植物達が毎日のように絶滅していくのを、私たちは耳にします。それらは、もう永遠にもどってはこないんです。 私の世代には夢があります。いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。でも、私の子どもたちの世代はもうそんな夢をもつこともできなくなるのではないか?あなたがたは、私ぐらいの歳の時に、そんなことを心配したことがありますか。 こんな大変なことが、ものすごいいきおいで起こっているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのかはっきりわかりません。でも、あなたがた大人にも知ってほしいんです。あなたがたもよい解決法なんてもっていないっていうことを。オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。 死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、あなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生き返らせるのか、あなたは知らないでしょう。そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのかあなたは知らないでしょう。 どうやって直すのかわからないものを、こわし続けるのはやめてください。 ここでは、あなたがたは政府とか企業とか団体とかの代表でしょう。あるいは、報道関係者か政治家かもしれない。でもほんとうは、あなたがたもだれかの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじなんです。そしてあなたがたのだれもが、だれかの子どもなんです。 私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが同じ大きな家族の一員であることを知っています。そうです50億以上の人間からなる大家族。いいえ、実は2000万種類の生物からなる大家族です。国境や各国の政府がどんなに私たちを分けへだてようとしても、このことは変えようがありません。私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、ひとつの目標に向けて心をひとつにして行動しなければならないことを知っています。私は怒っています。でも、自分を見うしなってはいません。私は恐い。でも、自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れません。 私の国でのむだ使いはたいへんなものです。買っては捨て、また買っては捨てています。それでも物を浪費しつづける北の国々は、南の国々と富を分かちあおうとはしません。物がありあまっているのに、私たちは自分の富を、そのほんの少しでも手ばなすのがこわいんです。 カナダの私たちは十分な食物と水と住まいを持つめぐまれた生活をしています。時計、自転車、コンピューター、テレビ、私たちの持っているものを教えてあげたら何日もかかることでしょう。 二日前ここブラジルで、家のないストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。ひとりの子どもが私たちにこう言いました。「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、食べ物と、着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに」。 家もなにもないひとりの子どもが分かちあうことを考えているというのに、すべてを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、どうしてなんでしょう。 これらのめぐまれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭をはなれません。どこに生まれついたかによって、こんなにも人生がちがってしまう。私がリオの貧民窟に住む子どものひとりだったかもしれないんです。ソマリアの飢えた子どもだったかも、中東の戦争で犠牲になるか、インドでこじきをしてたかもしれないんです。 もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球はすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもだけどそれを知っています。 学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世のなかでどうふるまうかを教えてくれます。たとえば、 ・争いをしないこと ・話しあいで解決すること ・他人を尊重すること ・ちらかしたら自分でかたづけること ・ほかの生き物をむやみに傷つけないこと ・分かちあうこと ・欲ばらないこと ならばなぜ、あなたがたは、わたしたちにするなということをしているんですか。 なぜあなたがたがこうした会議に出席しているのか、どうか忘れないでください。そしていったい誰のためにやっているのか。それはあなたがたの子ども、つまり私たちのためです。あなたがたはこうした会議で、私たちがどんな世界に育ち生きていくのかを決めているんです。 親たちはよく「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子どもたちをなぐさめるものです。あるいは、「できるだけのことはしてるから」とか、「この世の終わりじゃあるまいし」とか。しかし大人たちはもうこんななぐさめの言葉さえ使うことができなくなっているようです。お聞きしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。 父はいつも私に不言実行、つまり、なにをいうかではなく、なにをするかでその人の値打ちが決まる、といいます。しかしあなたがた大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。あなたがたはいつも私たちを愛しているといいます。しかし、私は言わせてもらいたい。もしそのことばが本当なら、どうか、 本当だということを行動でしめしてください。最後まで私の話をきいてくださってありがとうございました。                         (翻訳 辻信一・佐藤万理) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 当時12才だった少女は、その後もさまざまな環境活動をつづけました。10年たち、22才の青年になりましたs。この5月にイエール大学を卒業したところです。最近彼女が作成した宣言文をご紹介しましょう。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 アメリカの大学生が果たすべき環境への責任                        セヴァン・カリス・スズキ これは私たちアメリカの大学生たちによる共同声明です。 今、大人としての一歩を踏み出し始めている私たちの世代は、目の前に開かれようとしている未来をどのようなものにするかについて、決断を迫られています。 アメリカ合州国の人口は世界の5%にも満たないのに、世界のエネルギー使用量の40%を消費し、世界中の自動車の30%を走らせています。その結果、一国で、全世界の排出する二酸化素のうちの20%を排出しています。この国が、地球環境にとって一番大きな重荷になってしまっていることは明らかです。私たちのライフスタイルは、地球や、そこに住む人々の健康を損なうことと引き換えに成り立っているのです。 世界で一番工業化され、豊かで、強大な権力を持つ国の学生として、私たちはいくつかのことを認めることから始めたいと思います。まず、特権というものにはいつも責任が伴うということを。次に私は、西暦2002年の大学生として、地球には限られた資源しかないことを認めます。私は、他ならぬこの私の日々の行動が、良い方にも悪い方にも、そして現在から未来にわたって、地域コミュニティーそしてグローバル・コミュニティーに影響を及ぼさずにはいないことを認めます。そして私は信じています。経済やGDPの無限の成長は、人間の豊かさや幸せの増大を意味しないということを。 今ここに私は、よりよい未来のために自分にできることをしていくことを誓います。私は環境に対する自分の責任を引き受け、持続可能な発展という原則を、自分の生活の中で実践しようと思います。それは自分に対する次のような約束です。 ひとつ、自分を成り立たせている命の循環を敬い、大切にし、生態系の和を守ること。 A 身の回りや地域の自然環境に目を向けよう。 B 自然資源や生態系を保全する動きを応援しよう。 C 人間と自然界に悪影響を与える製品を買わないようにしよう。 D 全ての命に思いやりをもって接するようにしよう。そしてそうする人々を応援しよう。 ひとつ、民主主義と社会的公正と平和の文化をつくること。 A 社会、政治、環境をめぐる国際問題について学び、それらがどう相互に関連しているかを理解しよう。 B 新鮮できれいな空気と水に対する人間の基本的な権利を認めよう。 C 社会活動や選挙を通じて自分の声を社会に届けよう。 D すべての人の言論の自由を尊重しよう。 E 非暴力で問題を解決しようとする動きを応援しよう。 F 自分の職場で、社会や自然への負荷を最小限とするために働きかけよう。 G 資金を投資する際には、社会と環境に対する責任を自覚しよう。 ひとつ、資源の消費を控え、環境への負荷を減らすこと。 A いらないものを買う衝動をおさえ、買ったときの環境と社会への影響を考えよう。 B 出すゴミの量を減らそう。 C 水のムダ使いはやめよう。 D リサイクルしよう。また、可能な限りリサイクルまたはリユースされた製品を買おう。 E 徒歩で、インライン・スケートで、自転車で、または電車などの公共の乗り物で移動しよう。車にのる   ならなるべく乗り合いで、または交代で。 F モノがどこでどんなふうに作られているかを学び、人や自然に害のない生産の技術を応援しよう。 G 地元で、持続可能な方法でつくられた食べ物を選ぼう。 私たちはまた、上の世代の人々や、私たちのビジョンを支持し助言をくれる立場にある人たちにもお願いします。どうか、私たちに手をさしのべてください。未来の人々が私たちのことを「社会をかえりみぬエゴと浪費の世代」として記憶するなんてことがないように。ともに、私たちの「今」をつくっていきましょう。 この文章が、地球憲章や他の様々な改革のための宣言と共に、私たちアメリカの学生の思いを世界中に伝えてくれることを望みます。今、私たちが責任をもった行動をとれば、未来の学生たちは私たちの時代を、思いやりのある生き方と思いきった変革の時代として思い起こしてくれることになるでしょう。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 セヴァンさんのプロフィールや、その他のスピーチなどは、ナマケモノ倶楽部のHPで読むことができます。 http://www.sloth.gr.jp/Severn-top.htm このHPにも載っていますが、今年の11月にセヴァンさんを日本にお招きして、各地で「環境に対する自分の責任ってなんだろう? 環境活動のリーダー、セヴァンと一緒に、考えてみよう!」という催しが計画されています。 東京でのイベントには私も協力・参加させていただく予定です。ご関心のある方、いっしょにやってみたい、という方、ぜひごいっしょに!
 

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