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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年01月05日

昨年の振り返りと今年への思い〜ハーマン・デイリーのピラミッド(2009.01.05)

大切なこと
生物多様性
 
みなさま、あけましておめでとうございます。 今年もどうぞよろしくお願いします。 毎年、年初には時間をたっぷりとって、昨年1年間を振り返り、今年の計画を立てることにしています。私にとって、1年間を振り返る作業は、そのときそのとき一生懸命(無我夢中?)やってきた個別の取り組みを全体として考えてみることから、ある布置が浮かび上がってきて、自分のやってきたことの意味や意義、方向性が確認・発見できたりする、とても面白く役に立つ作業です。 私にとっての2008年がどんな1年間だったのか、ご参考まで一部共有させていただきますね。 まずは、2008年の活動の中で自分の中で大きな意味のあったものをいくつか。 (1)首相の温暖化懇談会メンバーになって活動、大いに勉強・訓練させてもらう (2)日刊温暖化新聞、順調に活動を広げる、企業・団体パートナー39社に (3)私の森.jpオープン&運営が軌道に乗る (4)アジアへの関心・アジアでの活動が広がる(インドネシア、中国、ブータン出張) (5)ブータンでの第4回GNH国際会議に参加、大事な気づきと幸せを得る (6)講演100回超、企業経営者向けや科学者とのつなぎ役など増える (7)本当の幸せについて考える講座や生物多様性のテーマの活動を本格化 (8)海外メディアへの登場、海外とのやりとりが増える (9)チームワークよく温かく質の高い仕事のできるオフィスに (「学習する組織」をベースとしたマネジメント) (10)多くのプロジェクトをスタッフに任せられるように (11)情報管理・勉強のしくみが整いだした (番外その1)ジムへ通い始め、定期的に運動するように (番外その2)ローブ・デコルテでの晩餐会デビュー(^^;) 昨年の個人的スローガンは、「選択と集中」でした。さまざまな依頼をいただいてもお断りしなくてはならないことが増えて心苦しい反面、現在の状況や自分たちのスキルを考えつつ、限られた資源である自分たちの時間を、自分たちの望む方向に進んでいくうえで最も役に立つと思われる作業に投下できるようになってきました。 講演でも執筆でも活動のテーマという意味では、もちろん「温暖化」が今のところ多いのですが、(7)に書いたように、「幸せ」や「生物多様性」への取り組みを本格化させたことが昨年の1つの大きな動きでした。 「どうして、温暖化だけではなく生物多様性もやるのですか?」と聞かれると、「そりゃだって、すべてのものはつながっていますから」と。 システム思考の考え方ならごく自然なことなのですが、もう少しきちんと位置づけて説明できた方がよいなあ、と思っていたときに、システム思考の大家であるドネラ・メドウスさんの論文に載っていた「ハーマン・デイリーのピラミッド」を思い出し、「ああ、これでわかりやすく位置づけが説明できる!」と思いまし た。 ピラミッドのいちばん下にあるのが、「自然資本」です。自然資本とは、たとえば太陽のエネルギーや、生物や、さまざまな原材料など、言ってみれば、すべての基礎になるものです。そういったものを使って、その上のものができます。 その上にあるのは、「作られた資本」です。「自然資本」に科学や技術を用いることで、たとえば工場で使う原材料や、工具・道具など、人工的な資本をつくっていくわけです。自然資本が「究極の手段」とすれば、こちらは「中間的な手段」となります。 この「中間的な手段」である原材料や工場を使って、実際に、消費財などさまざまなものをつくり出していきます。自動車会社だったら自動車を、電力会社だったら電力を作り出すわけです。 これらは「中間的な目的」になります。多くの人にとっては、自動車や電力そのものが目的ではありませんよね。自動車や電力といった「中間的な目的」は、「究極の目的」をかなえるための手段なのです。 では、「究極の目的」は何か。一言で言えば、「幸せ」なのだと思います。充足感とか自己実現など、いろいろな言葉がありますが、「人は何のために生きているか、何のために働いているのか」の答えにあたるものでしょう。 このような全体の中で、いまどうなっているかと言うと、真ん中のところ(紫色になっているところ)にばかり、注目し取り組んでいるのですね。たとえば、この原材料を使ってどうやって車をつくればよいか、どうしたら効率よく発電できるか、云々。 もちろんこれらも大事なことなのですが、そこしか見ていない。政治も経済もそこしか扱いません。ほかの部分は、まるで「ないもの」であるかのように、無視され、考えや計算から落とされてしまっています。 現在鑑みられていない「ほかの部分」のひとつは、ピラミッドの下の部分、つまり「自然資本」のところです。私たちが工場で「原材料」として使っているそれは、そもそも自然界からどういうふうにやってきたの? そういったものを生み出してくれる生態系はどうなっているの? これからもずっとそういう供給ができるの?...... ここに関心が広がったというか、ここへの関心を深めてもらってピラミッド全体を考えていかなくていけない、という認識から、「生物多様性」というテーマが自分の中で大きくなってきました。昨年、生物多様性に関する活動や関心を深めてきたのは、このあらゆるものの基盤となっているところをちゃんとやっていか ないと、中間的な手段で中間的な目的を作りだすところの効率化だけでは立ち行かない、と思うからです。 もうひとつ、現在鑑みられていないのは、ピラミッドの上部です。モノやサービスを作りだしているのは何のためなのだろう? 本当に大切なのは何なの? 私たちが欲しいのは自動車なの?何なの? 本当の幸せにつながっていない、つまり本当は要らないモノやサービスもけっこうあるんじゃないの? ――そういったことを考えていかないといけないと思うのです。 私たちは、GDPの増大や経済成長のために生きているわけではありません。いろいろな言葉で表されるでしょうけど、ひと言で言えば「幸せ」のために生きているのだと思います。もともとは「GDPが増えれば、経済が成長すれば、幸せになれる」と思って、そのための活動にいそしんできたのでしょう。 でももし、「GDPが増えても幸せになっていない」「GDPや経済の無限の成長がなくても幸せになれる」のであれば、ピラミッドの頂点にある「究極の目的」から、「中間的な目的」そして「中間的な手段」に影響を与えて変えていくことができる。そうすれば、底辺にある「究極の手段」である自然資本・生態系の破壊も止めることができる。 これが、昨年から「本当の幸せと持続可能性を考える講座」を始めた理由です。これまであまり考えられず、言葉の定義もきちんとされていない「幸せ」や「豊かさ」について、そしてそれと経済や社会との関連について、さまざまな観点や切り口、枠組みからしっかり考えていこう、ということです。 今年も、このピラミッドの上部と下部をしっかり勉強しつつ、全体のつながりを考えていきたいと思っています。そして、つながりから全体像を考え、問題の構造を見抜く力をつける「システム思考」の力も鍛えていきたいと思っています。 そして、こういったことは、私だけではなく、すべての方々(特に、組織で経営企画や環境・CSRに関わっている方々、社会や世界とのつながりの中で自分らしい自分の生き方を模索している方々など)に大事なことだと思っています。ですから、これからも、いっしょに学び、勉強し、考えることができる機会を作っていきたいと思っています。 2009年の1〜2月に開催するそういった機会をご案内します。「いっしょに学ぼう」「考えてみよう」「スキルを身につけよう」という方、ぜひごいっしょに! ●企業と生物多様性フォーラム(残席わずかです) http://www.es-inc.jp/news/001555.html ●本当の幸せと持続可能性を考える講座 その2 日時:2月6日、13日、20日、27日(いずれも金曜日) 18:15〜20:45  場所:子どもの城  詳細は次号で! ●「システム思考」入門セミナーとワークショップ http://www.es-inc.jp/news/001507.html 日時:1月24日(土) ○場所:東京都渋谷区「こどもの城」 (JR渋谷駅徒歩8分、メトロ表参道駅徒歩7分) 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-1/TEL:03-3797-5677 ○講師:枝廣淳子・小田理一郎 ○スケジュール: ☆「システム思考入門セミナー」 9:15 開場(受付開始) 9:30 システム思考入門 1. システム思考の基本的な考え方 2. システム思考のツール(1)時系列パターングラフ 3. システム思考のツール(2)ループ図 4.応用と展開について 12:30 終了 ★「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」(残席わずか) 13:30 開場 13:45 システム思考を自分の成長に役立てる 1.自分の目標をシステム思考のツールで表す 2.自分の問題や課題の構造をシステム思考で掘り下げる 3.問題解決のために構造を変える働きかけを考える 4.発表、講評 17:45 終了 ○定員: ☆「システム思考入門セミナー」:約30名 ★「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」:約12名 ○参加費:(いずれも税込) ☆「システム思考入門セミナー」(午前のみ):12,000円 ★「システム思考入門セミナー」と「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」の両方(全日参加):52,000円 ★「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」(午後のみ): 40,000円 ※これまで午前の入門セミナーやチェンジ・エージェント主催のシステム思考ベーシックコース等に参加された方は、午後のワークショップのみでもご参加いただけます(お申し込み時にそのようにお伝えください) ○お申し込み・お問い合わせ: メールで以下の申込書をお送りください。参加費の振込についてご案内します。参加費の振込をもって正式受付とし、受講票をメールでお送りいたします。定員に達した時点で締め切り、あとはキャンセル待ちとなります(キャンセル待ちの方には、次回のご案内を先行してお送りします)。 申込書送付先: info@es-inc.jp ―――――――――――――――――――――――――――――――――――               申 込 書 2009年1月24日 (いづれかに印をおつけください) ( )「システム思考入門セミナー」(午前のみ) ( )「システム思考入門セミナー」と「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」の両方(全日参加) ご氏名 [                    ] ふりがな[ ] メールアドレス [                ] 連絡先電話番号 [                ] ※この講座をどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。 ( ) a. 枝廣淳子のメールニュース(enviro-news) ( ) b. 以前受講した人からのご紹介 ご紹介者名(         ) ( ) c. 職場・知人・友人からのご紹介 ( ) d. イーズのウェブサイト ( ) e. イーズメール ( ) f. 他のメールマガジンによるご案内 (          ) ( ) g. その他 (          ) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ハーマン・デイリーのピラミッドをつねに心の中に置いて、いま自分がやっていること、やりたいと思っていることが、そのどこに位置づけられるのか、大事なのにつながりが十分に認識されず、ないがしろにされているのはどこか、そのギャップを埋めるために自分に何ができるか、考えつつ、今年も活動していきたいと思っています。 さて、昨年の振り返りから、今年の計画づくりの作業へ移行するタイミングで、私はいつも「今後、力を入れたいのはなあに?」と自分に問いかけます。昨年から引き続いてのものもありますし、今年初登場のものもあります。それをもとに、「では今年は何をどのように進めていこうか」と考え、具体的な計画を作っていきます。 今年あがった10個の「今後力を入れたいもの」をご参考までご紹介します〜。 ・物事や世の中の動かし方の学び、研究、実践 ・持続可能なビジネスモデル、「安全で幸せな競争からの降り方」の研究 ・心理学からのアプローチの模索 ・幸せをめぐる研究、思考 ・日本固有の価値の研究 ・実際に変化を創り出せる人々への働きかけ ・変えよう、伝えよう、広げようとしている人々へのサポート ・海外での活動(プレゼン、パネル、ディスカション、プロジェクト) ・農的な暮らしの要素を入れていく ・80歳代に人生のピークをもっていくための体力づくり 今年もいろいろなことを考えたり、試行錯誤したりしながら、メールニュースを出していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします〜。 さて、ダンベル体操をしようっと。(^^;

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