情報更新日:2005年06月08日
ビジョンを持つこと
盛岡からの帰京の途です。横にはワールドウォッチ研究所のレスター・ブラウン氏(寝ています)。先ほど新幹線の車窓からの美しい落陽をエンジョイしました。
月曜日から「レスター・ウィーク」が始まっています。月曜日は、まえにニュースで書きました、非公開の「日米欧 環境派経済人の円卓会議」でした。火曜日は同じメンバーで、日経エコロジー創刊1周年記念シンポジウムでした。
通訳として、また事務局のお手伝いとして関わってきたイベントだったので、何かと忙しくなりましたが、とても面白い経験でした。だいたい通訳というのは、スタッフの方々が長い時間をかけて準備した結果の「当日」しかごいっしょしないので、今回のように、部分的にしろ、会議そのものを作っていくプロセスにごいっしょできたのは楽しく、また勉強になりました。
月・火の会議については、日経エコロジーにも掲載されます。私もお伝えしたいことがいっぱいあって、どこから書こうか?と宝の山を目の前にしているような感じです(皆さんは戦々恐々?)
今日はひとつ、まったくの感想なのですが、オピニオン・リーダーについて。今回の円卓会議は、日米欧から、企業の代表と環境のオピニオン・リーダーを招いて開催されました。
企業の代表は、アメリカからはインターフェイス社のCEO、ヨーロッパからはデュポン社の会長と、エニテクノロジエというイタリアの会社の社長、日本からはJR東日本やコスモ石油、太平洋セメント、安田火災、富士ゼロックスその他のトップが参加されました。
オピニオン・リーダーは、アメリカからはレスターの他、世界資源研究所の所長、ヨーロッパからはファクター 10研究所の所長、ガイア理論で有名なノーマン・マイヤーズ氏です。まるでオールスター・ゲームだね、というほどの顔ぶれです。
でも残念なことに、「日本のオピニオン・リーダー」は参加していませんでした。
日本側からは、慶応大学の竹中平蔵氏や京都大学の佐和氏といった経済学の教授が、その役割を果たすべくご参加でしたが、経済学以外の様々な観点も含めて、全体像や大きな枠組みから「オピニオン」を提示できるリーダーは、まだ日本にはあまりいらっしゃらないのが現実なのだろうと思います。
私がいうのもおこがましいことですが、どうしたら真のオピニオン・リーダーが日本で育つのか、活躍できるのか、今回そのあたりの議論ができそうな方々と知り合ったので、少しずつ考えてみたいと思っています。何かご意見や参考になる例があったら、教えてくださいませ。
もうひとつ、欧米のオピニオン・リーダーが4人も揃った今回、面白いなぁと思ったのは、オピニオン・リーダーにもタイプがあるってことです。
ひとつは、自分のオピニオンをとにかく話す「学究者/教授タイプ」。もうひとつは、まず相手の話に耳を傾けて、問われていること、求められていることに、自分の知識や経験を通してのオピニオンを提供しようとする「問題解決者/ファシリテータタイプ」。
だいぶ乱暴な区分ですが、オピニオン・リーダーに会議に来てもらうときには、会議の目的にマッチするタイプを呼ばないとね、と思いました。
先ほど、駅弁を食べながらレスターに、「よい研究者であることと、よいマネージャーであることは、別の能力が必要でしょう? あなたは所長と研究者と、両方成功しているけど、特にマネージャーとして必要だと思うのは何?」と聞きました。
しばらく考えたあと、彼の答えは「ビジョンだね」。そして「そして、研究者でもマネージャーでも、想像力があるかどうか」。
今回のレスター来日が、各地のビジョン形成への刺激になりますように。今日の盛岡のシンポジウムはとても素晴らしいシンポジウムでした。レスターもとても感銘を受けていました。地域のビジョンが、ビジョンを築こうという熱意と活動が、ひしひしと伝わってきたからだと思います。
私のレスター・ウィークは土曜日まで続きます。もし何かレスターに聞いてみたいことがあったら、それまでにメールを下さい。可能な限り聞いて差し上げます。
「あなたはなぜいつも蝶ネクタイなのですか?」という質問はナシですよ。私、答えを知っていますから。
「ネクタイを結ぼうとすると、こんがらがっちゃうんだよ・・・」