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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2005年08月18日

9.11犠牲者の家族の会「ピースフル・トゥモローズ」、平和な明日のために(2002.09.16)

大切なこと
 
先日、インタースクールという通訳養成学校のメールマガジンの取材を受けました。  その時に、参考資料として、過去のインタビュー記事を見せてもらいました。私も何度か仕事で組ませてもらったことのある篠田顕子さんという同時通訳・放送通訳の大ベテランが、インタビューの中で、このような話をなさっていました。 > でも最近は難しいということより、できれば通訳をしたくないなという場面に遭 > 遇するようになってしまいました。今までは、"開戦宣言!勇ましく戦うぞ"と > いう言葉なんて訳したくない、"終戦宣言!"という言葉をこそ言いたいのにと > いう虚しい気持ちを抱きつつも、スピーカーに嫌悪感を持たず、その人になりき > って通訳をしていました。ですから、この人になりきって訳すことは出来ないと > いうほどの思いは、最近になってはじめて経験したことですし、遂に、こういう > 段階に来てしまったかという気もします。特に最近の世界情勢では、"愛"を持 > っていては決して通訳出来ないような腹立たしいことがたくさんあり、とても哀 > しい気持ちです。今は、"こういうことを言って欲しいな"というスピーカーを、 > 自然と探しているのかもしれません。  (インターメールINTER MAIL(TM)  2002/05/27号<通巻77号>より) 篠田さんは、湾岸戦争の時には(まだ放送通訳者がそれほど育っていなかったこともあり)、テレビ局に缶詰になっていたそうで、ようやくフラフラしながら帰ろうと思ったら、エレベータホールで、「また事態が動きました!」と拉致されてしまった、という話もあるほど、放送通訳者としてとても有名な方です。 それだけの場数を踏んで、経験を積まれた方の上記の言葉ですが、ひよっこの私も「わかるなぁ」と思います。レスターの通訳をしているときのように、自分の思いと話し手の思いが重なっていることを感じられる場合はとても幸せですが、篠田さんのご経験のように、そうではない場合もあります。通訳者を「入れれば出てくる」自販機のように思っている人々も多いのですが、もちろんそうではありませんから。 腹立たしいニュースの多い中でも、「こういうことを言って欲しいな」と、「こういうことはどんどん伝えたいな」と思うニュースもあります。そのひとつ、9.11犠牲者の家族の作っている「ピースフル・トゥモローズ(正式名称:平和な明日のための同時多発テロ遺族の会)」について、ご紹介します。 http://www.peacefultomorrows.org/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 私たちのミッション: ピースフル・トゥモローズは、9月11日に起こった同時多発テロの犠牲者の遺族たちが設立した団体である。 テロリズムに対する効果的な非暴力の対応を模索し、同じように暴力の被害を受けた世界中のあらゆる人々と重なり合う部分を見い出すことをミッションとしている。 私たちは正義を探し求める際に、良心を持って平和な選択肢を模索することにより、私たちが味わってきた苦しみをこれ以上罪のない家族が味わなくてすむように、そして戦争が引き起こす暴力と報復の終わなき連鎖を断ち切りたいと思う。 私たちの目標: ・戦争ではなく、何をすべきか、何ができるかについて、安心してオープンな対話ができるようにすること。 ・テロに対して、平和で公正な対応を模索している他の人々を支援し、ともに協力すること。 ・戦争と平和をとりまく問題について、人々に教え、意識を高めること。 ・戦争の結果として、自国で市民の自由その他の自由が侵されることを防ぐこと。 ・民主主義と人権の原則を優先する米国の外交政策を促進すること。 ・多国間で協調して繊細かつ適切な手段をとるよう働きかけ、同時多発テロの犯人を国際刑事裁判所で裁くよう、多国間で強調して分別ある適切な手段をとるよう、促すこと。 ・国籍に関わりなく、暴力や戦争の被害を受けた罪のない人々に対する私たちの友情を確認すること。 ・同じような考えをもつグループとともに、平和と正義の大義を求めていくこと。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 このミッションと目標に基づき、いろいろな活動を行っています。2つ、ご紹介します。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆アフガン姉妹家族キャンペーン ピースフル・トゥモローズ(正式名称:平和な明日のための同時多発テロ遺族の会)が行っている「アフガン姉妹家族キャンペーン」は、米国の空爆によって被害を受けたアフガニスタンの人々について関心を高め、 そのような人々が何を必要としているかを世界に訴え、"姉妹家族"としての私たちがつながりを持っ ているということを示すためのものです。 ピースフル・トゥモローズのメンバーが6月にアフガニスタンを訪問 6月13日に、9月11日に兄弟や姉妹を亡くした二人の女性が、アフガニスタンの首都カブールを訪問する。米国の空爆で最愛の人を亡くしたアフガニスタンの家族に対し、弔慰と支援を申し出るためである。 ピースフル・トゥモローズのメンバーである、ミャーナ・ベスケさんとクリスティナ・オルセンさんの二人は、米国の国際人権団体グローバル・エクスチェンジが組織した代表団のメンバーとして2週間アフガニスタンを訪問する予定である。ふたりは、アフガニスタンで初めてお互いに出会うことになるのだが、深い同情と共感のメッセージを広く伝えたいと願っている。 ミャーナ・ベスケさんは、ニュージャージー州フリーホルドのメソジスト派の牧師であり2児の母親でもある。彼女は一番下の弟であるビル・ベスケさんをワールドトレードセンタービルで亡くした。 「ビルを失ったことで、まえにもまして、この世界で公正に生きるにはどうしたらよいのかを考えなくては、そして暴力に替わる選択肢を求めて力を尽くさなくては、と思うようになりました」とミャーナ・ベスケさんは述べている。「アフガニスタン訪問は、私にとって、その仕事につながりを持つための1つの方法なのです」 シンガーソングライターでありマサチューセッツ州のニューベリーポートの看護婦でもあるクリスティナ・オルセンさんは、アメリカン航空11便に搭乗していた姉、ローリ・アン・オルセン・ネイラさんを亡くした。 クリスティナさんは、自分の音楽を通して、この世界の癒しと平和のために祈りを捧げている。「私の弔慰と心からの同情、そして癒しの音楽をアフガニスタンの人々に届けてきます。彼らの苦しみをやわらげる一助になれば、と願っています」と述べている。「姉の思い出を大切にするために、これ以上ふさわしい方法は、私には考えられないのです」 ◆平和な明日のための同時多発テロ遺族の会(「ピースフル・トゥモローズ」) アクション・アラート:アフガニスタン犠牲者基金への支援を 今こそアフガニスタン犠牲者基金を設立する時だ 2002年7月6日 要旨 今週、米軍が農村部の結婚式に集った市民を爆撃し、死傷者が出るという悲しい出来事があった。このような悲劇は何度となく繰り返されてきたが、今回の悲劇は、アフガニスタン犠牲者基金の必要性をさらに高めるものである。アフガニスタンでは、人々がカブールでデモ行進をして、賠償を求め、これ以上罪なき犠牲者を出さないよう要求した。ホワイトハウス前ではアフガン系アメリカ人が抗議活動をし、アフガニスタンの犠牲者との連帯を示した。皆さんもアフガニスタン犠牲者基金を設立するよう政府に要請し、アフガニスタンの犠牲者の家族を支援するピースフル・トゥモローズを支えてください。 背景 ピースフル・トゥモローズのメンバーはアフガニスタンをこれまでに2度訪れ、罪もないのに、たまたまその時その場に居合わせたがために、米軍の軍事行動の犠牲となってしまった何十という家族に会ってきた。私たちは、子供たちに物乞いをさせなければならなくなった未亡人たち、米軍の空爆で破壊された家を建て直す余裕のない家族、そしてクラスター爆弾で手足を失った子供たちの話を聞いた。爆撃を受けた村では、心の傷を負ったたくさんの子供たちに出会った。 これらの家族は、絶望的なまでに支援が必要なのにもかかわらず、何の支援も受けられないでいる。これらの家族の多くは、家を建て直すために、必要な医療をうけるために、そして祖国再建に貢献できるように、アメリカが何らかの補償をしてくれるに違いない、と信じている。私たちは彼らの信じる気持ちを現実にしたい。 行動を起こそう 1.この問題をニュースで取り上げ続けよう。購読している地方紙の編集者にアフガニスタン犠牲者基金を支持する旨の手紙を送ろう。(下の手紙例を参照のこと:訳は略) 2.ブッシュ大統領に、アフガニスタン犠牲者基金を直ちに設立するよう求めるファックスを送ろう。(下の手紙例を参照のこと:訳は略) 3.2003年度特別会計支出予算案でアフガニスタン犠牲者基金を支持するよう、地域選出の上院議員にファックスを送ろう。(下の手紙例を参照のこと:訳は略) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 このように、アフガニスタンを訪れたり、国内での意識啓発や政治家への働きかけなどを行っています。手紙例のほか、特に働きかけが有効な委員会の議員リストを提供するなど、アクションがとりやすいように工夫しています。 「このHPの一部を和訳して、日本に紹介したいのですがいいですか?」とメールを出したところ、「ええ、ぜひ! 日本とも連携できればうれしいし、そちらでもし和訳してくれるなら、リンクを張らせてください」という返事が来ました。 ピースフル・・トゥモローズのHPには、FAQ(よくある質問)のページがあります。このグループは、家族の一員を9.11で亡くした40人のメンバーからなっていて、700人以上のサポーターが支えていることがわかります。おそらく、何度となく、このグループに投げかけられ、突きつけられてきた質問や糾弾の一部が、グループの回答とともに載っています。 http://www.peacefultomorrows.org/faq.html 「このグループは、9.11の犯人を非暴力的に捕まえられると思っているのか」「テロ攻撃の直後に、どうすべきだったと考えているのか」などなど。2つの問いに対する答えを和訳してお届けします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「こんなに少数の人々に何ができるというのだ? アメリカ人の大多数は、あなた方とは意見が違うということを知らないのか?」 私たちは、人気があろうがなかろうが、自分の意見を自由に持ち、公にすることができることこそが、民主主義の真髄だと思っています。 それに、何百というアメリカの平和や正義に関わるグループ(何千人ものメンバーがいます)が、私たちと同じ目標を持っていることも知っています。4月20日には、私たちのメンバーが7万人もの人々の前で話をしましたが、このときにも、そのようなグループの多くが出席していました。多くのアメリカ人は、軍事行動を超えた選択肢を望んでいると思いますし、そのような選択肢が与えられれば、さまざまな対応を支持することでしょう。 「アフガニスタンの人々が9月11日に私たちを攻撃したのだ。どうしてあなた方は、そのようなテロリストに手を伸ばし、アフガン犠牲者のための基金を作ろうなどと求めることができるのか?」 アフガニスタンの人々は、9月11日に私たちを攻撃していません。ハイジャック犯19人のうち15人はサウジアラビア人です。アフガニスタンに暮らしている普通の人々は、20年以上にわたる戦争で国が荒らされてきたのを目の当たりにしてきました。そこに、タリバンや北部同盟などの過激派が満たしてしまえるような空隙が生まれたのです。 私たちの愛する人々は、たまたまその時そこにいたために、9月11日に亡くなってしまいました。米国の率いる空爆の犠牲となった罪のないアフガンの人々も同じだと思い、私たちは手を伸ばしています。 罪なき犠牲者に援助の手を差し伸べることは、アメリカの価値観と一致していると思います。ポジティブなアメリカ像を作ることができるでしょう。そして、アフガンの市民社会を強くする手伝いができます。それしか、過激派グループが将来、繁栄することを防ぐ本当の道はないのです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 いまのアメリカで、戦争反対!というと非国民扱いされてしまう、とある人がいっていました。その中で、このように毅然と立ち上がり、冷静に、言うべきことはきちんと言う、伝えるべきことはきちんと伝えようと努力している人々がいることに、希望を感じます。このような声の通訳なら、通訳者も「愛と心を込めて」 させてもらえるだろう、と。
 

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