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兼平さんのメルマガより「問題だらけの容器包装リサイクル法」〜「上勝町」(2005...
エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース
2005年11月03日
兼平さんのメルマガより「問題だらけの容器包装リサイクル法」〜「上勝町」(2005.10.20)
ときどきご紹介させていただいている兼平さんの「ぐーたら環境ニュース」(とてもぐーたらとは思えないペースですが。^^;)から、許可を得て、2本ご紹介します。最初のは今日届いたほやほや、もう1本は少しまえですが、ぜひお伝えてしたくて。「ぐーたら」にも登録されている方には重複してごめんなさい〜。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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ぐーたら環境ニュース No.366 問題だらけの容器包装リサイクル法
〜スーパーの反乱 ライフ、国を賠償提訴〜2005・10・20
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ライフというのは大手スーパーの名前です。
http://www.lifecorp.jp/
http://www.misbit.com/store_info/chain10/
今年の4月にはライフの清水社長が容器包装リサイクル法に基づくリサイクル委託料
の支払いを留保する宣言をしました。その後大手のイオンやダイエー、西友も支払いの
留保を表明しました。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20050721AT2F2002820072005.html
が、スーパーに対する市民団体などによる抗議活動が過熱しては困ると言うことで
7月末には各社がリサイクル委託料を支払うことで協会が一致しました。
ところが、これで問題がすべて解決したわけではありませんでした。
協会での検討が長引いていることにしびれを切らした言い出しっぺのライフは
10月17日ついに「小売業に著しく過大な負担を求める容器包装リサイクル法は違
憲・無効だ」として国と容器包装リサイクル協会に対し、6億1600万円の損害賠償
を求める訴えを東京地裁に提訴しました。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200510180021a.nwc
http://www.asahi.com/business/update/1017/117.html
理由は
①容器包装リサイクル法による特定事業者(容器の製造者のメーカーや利用者の
スーパーなど)の負担割合が不公平であること、
②小規模事業者は再資源化義務を免除されていること、そして委託料を払っていない
「ただ乗り」事業者が多い。それなのに罰金は最大50万円である。
ということで容器包装リサイクル法は小売業に過大な負担を求めており、
これは憲法14条の定める「法のもとの平等」に反するとして提訴したものです。
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この記事を読んだときは "晴天の霹靂"、"ひぇぇ〜"、"びっくり〜"でしたねぇ。
日本の裁判ですから、ゆくゆくは和解になるのかもしれませんが、
「これ以上リサイクル委託料の負担が増えると、△△円、○○銭単位で勝負している
小売業としては死活問題だ」という悲鳴は聞いていましたが、ついに裁判という手段に
打って出たのですねぇ。
司法はどう判断するでしょうか?
(間違いなく最高裁に行く前に和解か法律改正でしょうが・・・)
いま、容器包装リサイクル法の見直しが進んでいます。
ライフ側も多種多様な容器包装類のリサイクル費用を事業者や自治体が負担していくと
いう考え方自体には賛成なのですね。
ライフの清水社長が裁判を起こしてまで訴えたかったのは
同じように再商品化責任を負う
特定容器利用事業者、特定容器製造等事業者、特定包装利用事業者間の不公平と
ただ乗り業者問題です。
リサイクル費用の負担割合は業種ごとに
容器を利用した商品の販売額と、製造した容器の販売額の比率で決められます。
トレーに入った製品のトレーの値段と中身の商品の値段の差を考えると大体の比率が
分かるってものです。
小売業ではスーパー対製造業者の負担比率は 【99.41:0.59】です。
食品製造業だと 【95.71:4.29】
酒類製造業だと 【98.49:1.51】という割合です。
(ついでに石油製品のもとである石油関連会社はゼロである点も不平等だと指摘してい
ます)。
2000年度の特定事業者のリサイクル委託料は164億円でした。
それが毎年増えて2004年度で451億円です。
2005年度は予算では616億円となっています。
これらのうち、ペットボトルなどは競争原理が働いて(C to C技術が開発されたり、
中国が買いあさったりしていることも影響していますが)かなり委託単価が下落してい
ます。
ところがその他のプラは委託単価が下がらず、リサイクル委託料の7割を占めています。
なぜ単価が下がらないのかというと
マテリアルリサイクルとケミカルリサイクル(高炉などでの還元剤としての利用)しか
できないからです。
ですから、事業者側としてはゴミ発電に利用できるサーマルリサイクルを認めろ!
と要求しています。
利潤の追求を求めて営利活動をしている事業者の立場も(少なくとも理論上は)
よく分かりますが、
しかし個人的意見を言わせてもらうと
サーマルなんてリサイクルではないでしょっ!!!
分別して集めたゴミをまたいっしょにして燃やしてしまうなんて環境によくないことは子供だって分かるじゃないですか(●―●メ)。
サーマルなんて横文字を使うから、惑わされてしまいますが
燃やしてしまうことがどうしてリサイクルになるの?
田舎ではこの時期、もみがらを田んぼで野焼きしていますが、
あれもサーマルリサイクルというでしょうか?
「事業者側がリサイクル費用を負担してそれを価格に転嫁すればいいじゃないか」
というほど問題は単純でないのは分かりますが、
サーマルを一度解禁してしまうと水は低きに流れてしまいます。
そのうちゴミ発電がもっともっと増えて、そのうえゴミ発電を自然エネルギーにカウ
ントし各電力会社は自然エネルギーの各電力会社割当分をゴミ発電でまかなってしま
うようになるかもしれません。
どんなことがあっても容器包装リサイクル法でサーマルを認めるべきではないと強く
思います。
・ ・・ということで「どうなっているの?容器包装リサイクル法の改正」
というテーマで基調講演(服部美佐子容リ法の改正を求める全国ネットワーク事務局)
とパネルディスカッション(ごみ処理業者等)を行います。
10月22日(土)高松市片原町 まなびCAN 午後1時半〜4時
問い合わせ先 河崎さん(087-871-3315)です。
近くの方がいらっしゃいましたら、ぜひどうぞ。
■編集:兼平 裕子
●URL(こちらから登録できます):http://yaplog.jp/kanehira
●ご意見・お問い合わせ:hkanehira@yahoo.co.jp
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ぐーたら環境ニュース No.285 半年で三度目の上勝町 副業は上勝案内人?
〜資源回収に関する法律〜2005・3・1
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昨年の9月、11月に続いて3度目の上勝町詣りに行って来ました。
前回いったときから3ヶ月しか経っていないのに、「たぬきツーカー」(ごみゼロき
っぷ)に「ゼロウェイストアイデア大賞」と次々と新企画が出ているのには驚きです。
上勝町は勝浦川に沿った上流に位地します。
勝浦川に沿ったわずかばかりの土地に人が住み着いていますが、標高数百メートルの
山間部にも人家があるのですから、人間もたくましいものと感心しました(^。^)。
徳島県で有名な川は吉野川ですが、その南側に勝浦川が流れています。
その勝浦川に沿って小松島市から山の中に入ること30キロ、車で40分のところに
あります。勝浦川の上にある町→上勝町が町名の由来だと思います。
http://www.onmap.co.jp/main/c/l/l-10/g-1/a-1/fp-21988/?c_an=1&c_an_text=%C6%C1%C5%E7%B8%A9+%BE%A1%B1%BA%B7%B4
http://www.kamikatsu.jp/kankou/index.htm
このまちは2020年までにごみをゼロにするという「上勝町ごみゼロ宣言」を
したことで全国区の有名な町(実際は人口2179人の村)になりました。
http://www.kamikatsu.jp/kankyo/zero_sengen.htm
当然税収に乏しい町なのですが、合併もせず、種々の経済特区を利用してアイデアで
勝負している町です。『地方から変わる、地方から変える』の典型のような町です。
弘法大師が開いたという「月ヶ谷温泉月の宿」はつい先日リニューアルオープンしま
したが、これからは木質バイオマス利用施設に変身するそうで、これまた山の雑木を利
用したチップボイラー(雑木を集めてきて、チップ化して利用する。人件費は地
域通貨を利用して中学生の環境教育に役立てる)で環境省からの補助事業の認定を受
けています。http://www.kamikatsu.co.jp/
以下の34分別をみてください。遠いところでは20キロも離れているところからゴ
ミステーションまでごみを運んできます。ごみ収集車は走っていません。
http://www.kamikatsu.jp/gomizero/bunbetu.html
でも悲壮感はありません。それどころかゴミステーションをはじめ、町中いたるところ
に以下のようなステキなステッカーが見受けられます。
http://www.zwa.jp/indexjp.htm
ステッカーだけみると外国の町のようです。
分別されたゴミの多くは徳島県内の業者に引き渡されますが、リサイクルできない
焼却ごみや埋立ごみは山口県に運ばれて処分されます。年間60トン運んでいます。
これを2020年にはゼロにしよう!というのが「ごみゼロ宣言」です。
しかし、廃棄物になる段階でどんなにリサイクル利用をすすめようと思っても限界が
あります。出口対応は限界にきているのはみんなが認めているところですが、「では、
どうすればいいの?」となるとなかなか難しいところがあります。
リサイクルは政策化しやすいので、ドイツをはじめ、どこもここも法律でリサイクルを
強制的に作り出しています。
〜リデユースできず、リユースが増えず、リサイクルだけが増えたという3Rの状況〜
にどの国も苦慮しているようです。
本当は再利用がしやすい製品の開発、全ての材料が再び新しい製品に生まれ変わるよ
うな高価値製品をつくるように製造業を変える必要があるのでしょうが、それを政策
に落としていくことは難しい。
それでも笠松上勝町長は『資源回収に関する法律』の制定について環境省長官に要望
書を提出しました。
http://www.kamikatsu.jp/mayor/youbousho/
『地球上のごみゼロ、社会経済システムの構築に向けて、2020年を目標に、それ以降
すべての商品について、消費者が不要になった場合、製造〜販売〜消費の流れと逆
ルートで、製造者に消費者から有価で回収することを義務づけ、違反者には罰則を科し、
逆ルートで有価回収できない商品の製造販売を禁止する法律「資源回収法に関する
法律(仮称)」を速やかに制定されたい。』という内容です。
簡単にいうと「全ての商品を廃棄するとき、デポジットのようなシステムを作って
お金を払って引き取る制度にしなさい」という提案です。
不法投棄が後をたたないのはリサイクルや埋立処分をするより不法投棄をする方が儲
かるのが原因です。タバコの吸い殻でも、空き缶でも何でも引き取るときは有価で
引き取る。
有価で引き取ることができないような商品(たとえば放射性廃棄物等)は作ることを
やめさせる、というのですから『超画期的な法律』です。
2020年までかなり時間が残っているようにも思いますが、あっと言う間に過ぎること
でしょう。
でもごみ焼却場も最終処分場もどちらも悪い〜持続可能な方法ではない〜ことは分
かっているのですから、何とかして「ゴミにならない商品」や「中身だけ変えると
何回でも使用できる容器」、「長持ちする素晴らしいデザインや商品の開発」
が必要です。
リサイクルではなくリデュース、リユースこそ目指すべき持続可能な社会であって、
その目的達成のための手段として、わたしたち消費者も応分の負担をする痛み分けを
覚悟する必要があります。
その覚悟を求める法律がわたしたちの世代で制定できるかどうか「わたしたちの環境
を守る決意のほど」が試されている時だと思います。
『家が火に燃えているのにも気づかずに遊びに夢中になっている子供』(法華教)
はそろそろ卒業しなければ・・・。
■編集:兼平 裕子
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