エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース
2006年02月26日
グリーンランドの氷冠が5年前の2倍の速度で崩壊している(2006.02.26)
> 地球は温暖化しているのに、財布も心も暖まらない...
> そんな寂しい冬に暖かいサイトをプレゼントします!
これは、最近、出会い系サイトから届くジャンクメールの冒頭の言葉です。温暖化って、ここまで市民権を得た?のですね。うれしいやら悲しいやら。(_ _;
さて、[No.1170] で
> 今日は、京都議定書の1歳の誕生日です。今年は日本でも世界でも、温暖化が大
> きな注目を集め、さまざまな動きが加速する年になると思っています。ここしば
> らく、温暖化をめぐって、世界からの情報が日本に十分届いていないことを痛感
> しています。自分のできることしかできませんが、少しずつでも届けていけるよ
> う、進めていこうと思っています。
と書きました。
以前から、世界の英語情報や分析を、自分の主宰する実践和訳チームで和訳して、メールニュースでもお伝えしてきました。(翻訳チームについては、http://www.es-inc.jp/lib/archives/060226_195626.html )
このチームは、大変丁寧に質の高い和訳をしてくれるのですが、通常依頼してから和訳が完成するまで、数週間かかります。今回、「翻訳ではなく、海外からの温暖化関係のニュースのエッセンスを伝える作業をしてほしい」とお願いし、有志による「温暖化サブチーム」を立ち上げました。現在約20人の有志が、依頼から最長で1週間で、エッセンスを伝えてくれる作業プロセスをつくりました。
これから、このサブチームの協力を得て、世界からの温暖化・脱温暖化関連情報をどしどし届けていきたいと思います。通常のメールニュースより、短いものとなります(ほっ?)。
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温暖化・脱温暖化に関する最新情報 (by 枝廣淳子+実践和訳チーム温暖化サブチーム)
※このメールニュースの目的は、温暖化・脱温暖化に関する世界の最新情報をいち早くお届けすることです。英語による最新情報を発信しているサイトなどをご存じの方は、ぜひ教えて下さい。
※印刷物への転載は、著作権の関係がありますので、無断ではできません。メールでの転送やウェブへの転載は、以下の出所を付記していただければ、歓迎です。
枝廣淳子の環境メールニュース
http://www.es-inc.jp/lib/mailnews/index.html
温暖化・脱温暖化に関するバックナンバー
http://www.es-inc.jp/lib/archives/11.html
『瀬戸際に立つ気候変動―グリーンランドの氷冠が5年前の2倍の速度で崩壊』
英国インディペンデント紙(2006年2月17日)によると、ジェームズ・ハンセン博士(NASAゴダード宇宙研究所所長、コロンビア大学)は、「新しい衛星データの分析から、グリーンランドの氷冠が、科学者たちが恐れていたよりはるかに速いペースで溶けており、気候変動に甚大な影響を与える可能性があることがわかった」と述べています。
博士は、数週間前に、講演の後で記者たちにこの問題について伝えようとしたところ、NASAの広報チームに制止されましたが、「NASAの第一義的なミッションは、地球を理解し、守ることだ」と、かまわずに話をつづけたそうです。
新しい衛星データによって、グリーンランドの氷床を流出させる氷河のようすが詳細に観測できるようになり、グリーンランドは毎年少なくとも200キロ立方メートルもの氷を失っていることがわかったとのこと。
しかし、これは始まりにすぎない、と博士は言います。ひとたび氷床が崩壊すれば、崩壊が爆発的に加速する転換点(ぐらっと傾いてしまうポイント)に達してしまうからです。グリーンランドの氷の溶解に「これまでにない」という形容詞が多々ついた2005年夏のデータを見ると、その転換点はすぐそばにせまっていると言わざるをえない、と。
これまでの海面上昇予想シナリオでは、氷床が崩壊するのは1000年以上たった後だと想定していましたが、これはもはや役にたたないと博士は言います。氷を溶けにくい一枚の板のように想定していたのですが、実際に起きているのは、はるかにダイナミックな変化であることがわかったからです。
氷の表面が溶けると湖となり、クレバスを伝って氷の底部に水の流れができます。この氷の川が動きはじめると、氷床の内部まで影響が及び、崩壊が爆発的なスピードで進む可能性があるというのです。
どのくらいのスピードかという問いに対しては、「1万4000年前、最後の氷河期の終わりに、海面は400年間で20メートル、すなわち100年で5メートル上昇しました。当時、氷の量はもっと多かったわけですが、気温上昇の速度は今ほど速くありませんでした。
前回、地球の気温が今より3度高かった時代には、海面は現在より25メートル高いものでした。3度とは、今世紀後半には現実のものになると考えられている気温上昇です。ですから、すぐに行動をおこさないと、そうなってしまう、と考えられるでしょう。まもなく、海面上昇が温暖化そのものよりも大きな問題となると考えています」と博士は答えています。
25メートルも海面が上がってしまったら・・・?
「10年以内に排出量を安定させなければ、気温は1度以上上昇し、この50万年間ではじめて、という高い気温になり、さまざまな現象に歯止めがかからなくなる」という博士は、「エネルギー効率や再生可能エネルギーなど、今すでにある技術をもって行動しなければなりません。私たちに残された時間は多くないのです」と強調しています。