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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年02月09日

アースポリシー研究所より「ハリケーンの損害、未曾有のレベルに」(2007.02.08)

温暖化
 
温「断」化ニュース、イーズのトップページに最新5件が出るようになりました。 ほぼ毎日更新! 温「断」化ニュース
http://www.es-inc.jp/ 前回お知らせした後にアップされた記事の見出しです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 アフリカ連合サミット、気候変動対策を決議 英首相、「温暖化対策に一層の努力を」 国連開発計画と国連環境計画、気候変動対策でアフリカを支援 米予算教書:自動車用代替燃料消費量の増大などを盛り込む 米ペンシルバニア州、エネルギー脱依存戦略を発表 米プエルトリコ領知事、洪水常襲地帯住民のために保険を購入 国連事務総長、「気候変動対策は最重要課題のひとつ」 欧州委員会、スロベニアの2008〜2012年割当計画を承認 フランス、世銀のグローバル・ガス・フレアリング削減パートナーシップに参加 エクソン出資シンクタンク、IPCC第4次報告書骨抜きを画策? 米上院エネルギー委員会、公聴会でバイオ燃料の講義を受ける BP、新しいバイオサイエンス研究所の共同設立者を決定 アル・ゴア氏ら7名、2007年「地球大賞」を受賞 新しいカーエアコン技術、温室効果ガス削減にも効果あり 共和党の米上院環境委員「IPCC報告書は科学の堕落」 仏シラク大統領、国連環境機関の創設を提唱 米サンタモニカ市、太陽光発電を推進 米国環境団体、国に温暖化対策を求める嘆願書 カナダと米国、土地被覆や気候変動のモニタリングで協定 ハワード豪州首相「京都議定書調印は温暖化問題を解決しない」 世界最大の投資家連合、世界トップ企業に気候変動に関する情報開示求める ゴア氏とイヌイット活動家、ノーベル平和賞の候補に 英国政府、「不都合な真実」DVDを全中学校に配布 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 マスコミの方からも「役に立つ」とフィードバックをいただき、ネタのもとに使ってもらえればどんどん広がるし、うれしいなぁ、と思っています。まわりの方に、職場で、地域で、じゃんじゃん活用して下さい!(出典とURLを載せていただければ転載していただいてもだいじょうぶです〜) さて、上記ニュースの最後にある「英国政府、不都合な真実のDVDを全中学校に配付」って、いいですね! 日本でもぜひ、と思います。 米国では、学校でDVDを見せようとしたら、反対する親が出て上映が中止になった、というところもあるようです。ACニールセンの最近の調査では「温暖化について聞いたこともないし、知らない」人が、米国では12%もいたそうで、、、ゴアさんやカリフォルニアのように進んでいる人々と、そうではない人々のギャップがとても大きいのだなあ、と思います。 それでも、ゴアさんの映画や本があれだけ米国で受け入れられたということは、大きな変化を感じます。その下地をつくったのは、ハリケーン・カトリーナだと言われています。そのハリケーンに関するレスター・ブラウン氏の研究所の記事、すこし前のものですが、どうぞ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ハリケーンの損害、未曾有のレベルにリスクの高い沿岸地域では保険会社が客を門前払い
http://www.earth-policy.org/Updates/2006/Update58.htm ジャネット・ラーセン ハリケーンによる被害額は予想以上に膨らんでいる。このため保険会社が倒産し、またリスクの高い地域では、資産の保有者が保険契約を結べないという事態が起きている。被害規模が10億ドル以上のもののみを合計したところ、世界全体でのハリケーンによる被害額は1960年代はわずか40億ドルであった。 それが70年代に70億ドルとなり、80年代には240億ドルを突破し、翌90年代になると一気に1,130億ドルにまで跳ね上がった。2000年から2005年までの6年間だけでも、ハリケーンはなんと2,730億ドルものつけを残している。(詳しいデータは www.earthpolicy.org/Updates/2006/Update58_data.htm
.を参照) ハリケーンによる被害額が膨らんだ裏には二つの傾向が大きく関係している。一つは、湾岸部の急速な開発によって、多くの人々がこのハリケーンの被害を受けやすい地域に集まり、そこに多くの高価なインフラが作られたこと。 二つ目は、海面温度の上昇によりハリケーン(西太平洋では台風と呼ばれている)の勢力が年々強まり、しかもその勢力を長く保つようになったことである。ハリケーンは地理的にも範囲を拡大し、これまでハリケーンには無縁と考えられていた地域までも襲っている。 2005年は、ハリケーンに見舞われた地域やその地域の住民と契約を交わしていた保険会社にとっては、最悪の年だった。その年に襲った8個の大型ハリケーンによる被害額は1,700億ドルを超え、そのうちの半分に保険契約が結ばれていた。太平洋側で発生したのはそのうち3個であったが、被害額の98%は大西洋側の5個のハリケーンによるものであった。 この年、北大西洋側のハリケーンシーズンの長さは異常だった。それは2005年の6月から年明けまで続いた。この間28個という記録的な数のハリケーンが誕生したが、名前を付けるにもアルファベットを使用しただけでは足りず、ギリシャ文字までも借りなければならない有様だった。 この28個という数は前世紀の平均年間発生件数のほぼ3倍になる。海面温度が上昇した影響で、「エミリー」「カトリーナ」「リタ」「ウィルマ」の4つのハリケーンは最大級の暴風雨にまで発達し、1シーズンに発生したカテゴリー5のハリケーンとしては史上最多を数えたのである。 2005年8月下旬、米国のメキシコ湾岸を襲ったハリケーン「カトリーナ」は、観測史上最大の経済的被害をもたらした暴風雨だった。風とともに記録的な高潮が襲い、その被害額は1,250億ドルを上回った。 「カトリーナ」は最大風速が時速175マイル(282キロメートル)に達することもあったが、米国のメキシコ湾岸を直撃した時点では、その勢力をカテゴリー3にまで弱めていた。その数週間後には強力な「リタ」が襲来している。メキシコ湾に初めて、1シーズンにカテゴリー5のハリケーンが2個出現したのである。 その後発生した「ウィルマ」は、メキシコのユカタン半島の一部に壊滅的な打撃を与え、大西洋側で発生した史上最大のハリケーンとして名を残している。 2005年のハリケーンは勢力が強いばかりではなく、襲った地域も広範囲であった。10月にスペインに上陸したハリケーン「ビンス」は、大西洋上で発生するどの熱帯低気圧よりもさらに遠く北東の地域にまで勢力を伸ばした。1カ月後には、熱帯性暴風雨の「デルタ」がカナリア諸島を縦断し、大西洋のハリケーンとしては未知の地域にまで進出している。 このほか2004年には、南大西洋では初めて、「カタリナ」と呼ばれたハリケーンがブラジルを襲っている。このように、これまで安全だと思われていた地域にまで勢力の強い暴風雨が出現したことで、保険会社は現在の災害モデルを新しく作り直さざるを得なくなっている。 熱帯低気圧は毎年90個ほど生まれるが、そのうち約半分が強大になりハリケーンに成長する。ハリケーンを生み出す要素は、26℃以上の海面温度と適切な条件の風である。海面温度が高いほど、暴風雨の勢力が増す。 この30年で熱帯地方の海面温度は約0.5℃上昇した。これほどの水温上昇は、少なくともこの150年間には観測された記録がなく、恐らくここ数千年の間でも初めてのことだろう。 マサチューセッツ工科大学のケリー・エマニュエル氏は、この30年で大西洋および北太平洋のハリケーンと台風の勢力が2倍になったと報告している。暴風雨が勢力を保つ期間も、以前より長くなった。しかも、温室効果ガスの排出増加により気温が上昇し、その結果さらに強大な暴風雨が生まれようとしている。また、暖かい大気はより多くの水蒸気を含むため、降水量が増え、したがって洪水も起こりやすくなる。 すでに、最強レベルのカテゴリー4や5に指定されるハリケーンが増えてきている。ジョージア工科大学の科学者によると、世界各地の海域でカテゴリー4や5にまで強大化するハリケーンは、1970年代後半〜80年代には5つのうち1つにも満たなかったが、1990〜2000年代には3つに1つだという。暴風雨の勢力が増すほど、その破壊力は一層すさまじくなる。 カテゴリー1のハリケーンは、風速が時速74〜95マイル(119〜153キロメートル)で、波の高さは約4フィート(1.2メートル)だが、カテゴリー5のハリケーンでは、風速が2倍になるだけなのに、波の高さは18フィート(5.5メートル)を超えることもある。 最近、米国南部を次々と襲った大型ハリケーンにより、多くの保険会社が破産や清算の憂き目にあっている。そのため、顧客は必死に新たな保険を探しているが、それも難しくなるばかりだ。ハリケーン多発地帯に資産をもつ人々の多くが、この先数年、2倍から3倍の保険料を支払わなければならないだろう。 世界最大の保険会社、アメリカンインターナショナルグループ社は、すでにメキシコ湾岸の一部地域から、新規の保険契約を受け付けていない。フロリダ州最大の保険会社の一つオールステート社は、2005年、9万5,000件の保険契約の更新を打ち切ったが、今年もさらに12万件の契約更新を受け付けない方針である。民間の保険会社がもはや関わろうとしない資産補償に国営または州営の保険会社が急遽対応し、結果として被災しやすい地域の開発に公的な補助金がつぎ込まれることになると、これらの公営保険会社は多額の赤字を抱えることが多くなり、その赤字を結局は誰かが――一般的には納税者が――負う羽目になる。 影響を受けているのは米国南部の州だけではない。オールステート社は、ニューヨーク州でも2万8,000件の保険契約者との契約更新を打ち切っている。オールステート社と、ニューヨークの大手保険会社であるメットライフ社はともに、今後ニューヨーク州のロングアイランドでは新規契約を結ばない方針をとっている。 ロングアイランドは、1938年にカテゴリー3のハリケーン「ロングアイランド・エクスプレス」の直撃を受けたことが今でも語り草になっている。保険業界に災害予測モデルや分析技術を提供しているAIRワールドワイド社によると、今ニューヨークがカテゴリー5のハリケーンに襲われれば被害は960億ドルに上り、マイアミが直撃を受ければ損害は1,550億ドルになるという。 米国では国民の4割以上が沿岸地域に住んでおり、その地域の多くで人口が急増している。フロリダは米国で最も急速に人口が増えている州だが、全長1,350マイル(2,172キロメートル)の海岸線を持ち、州全域が海岸から80マイル(129キロメートル)以内にあるため、ハリケーンによる被害を最も受けやすい。ハリケーンが多発しやすいノースカロライナ州からテキサス州までの沿岸地域の人口は現在約3,500万人に上り、50年前の1,000万人から3倍以上に増えている。 ハリケーンの被害を非常に受けやすいのは、海岸線から60マイル(101キロメートル)以内でかつ海抜33フィート(10メートル)未満の地域である。世界の10人に1人がこうした地域に住んでおり、その数はさらに増加しそうだ。 現在、開発途上国では、自然災害による被害額のうち保険でカバーされるのは2パーセントに満たず(米国は半分以上)、ハリケーン被害によって国の発展が何十年も遅れてしまう可能性がある。実際、1998 年にハリケーン「ミッチ」がホンジュラスとニカラグアを襲った時、死者の数は1 万1,000人を超え、被害総額は両国の国内総生産の合計を上回った。 暴風雨が強大化し、しかも被害を受けやすい地域の人口が増えている状況は、経済的、人的な大災害の要因がそろっている、ということだ。2000年から10年間のハリケーンによる損害額は、今のところ2,730億ドルだが、この数字はさらに増えるだろう。気温の変動はわれわれの予想を超え、もはや過去の事例が未来の参考にならない。気候パターンやそれに伴うリスクの予測はますます難しくなっている。 将来は、人の流れが変わり、内陸部へ移住する人が増えるかもしれない。実際、ハリケーン「カトリーナ」では、被災住民が住んでいた土地を離れていった。その間にも、私たちに突きつけられている問題がある。それはもはや「地球の気温を上げる炭酸ガスの排出量を減らすことができるのか?」ではなく「炭酸ガスの排出量を減らさないままで、われわれは生き残れるのか?」ということなのだ。 ### さらに詳しいデータおよび情報はwww.earthpolicy.org を参照していただくか、jlarsen(at)earthpolicy.orgまでお問い合わせを。 (酒井、横内、浜崎) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 

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