ホーム >
環境メールニュース >
いかに効果的なウェブサイトを構築し、有効に活用するか〜『環境goo大賞2006』...
エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース
2007年03月08日
いかに効果的なウェブサイトを構築し、有効に活用するか〜『環境goo大賞2006』から学べることは?(2007.03.08)
今年も『環境goo大賞』の審査員のひとりとして、たくさんのウェブサイトを拝見し、審査をおこないました。受賞者が決まり、発表がありましたので、お知らせします。
http://eco.goo.ne.jp/business/event/taisyou/
自治体でも企業でも、NGOでも大学でも研究所でも、そして個人でも、ウェブサイトは有効かつ重要な情報発信の手段です。審査のためにたくさんのウェブサイトをみるとき、その「進化」が感じられて、面白いなー、もっともっと活用できそうだなー、どういう新しい使い方が出てくるかなー、とわくわくします。
受賞されたウェブサイトと、審査員のコメントを見ていただくと、参考になることがあるのではないかと願っています。各審査員は審査の総括を分担して書いており、私は、NGO部門・個人部門に対する総評と個別評を書きました。よろしかったらぜひ読んでみてください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『環境goo大賞2006』受賞者決定のお知らせ
〜【行政機関部門】大賞:仙台市、【NPO・NGO部門】:100万人のキャンドルナイト〜
NTTレゾナント株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和才 博美)は、環境保全および社会貢献活動に取り組む企業/行政機関/独立行政法人・国立大学法人/NPO・NGO/個人のインターネットを通じた適切かつ効果的な情報発信を審査・表彰する「環境goo大賞2006」(後援:環境省)の受賞者を決定しました。
「環境goo大賞」は、インターネットポータルサイト「goo」(*1)において提供中の日本最大級の環境情報サイト「環境goo」(*2)を提供するNTTレゾナントが、消費者のエコライフ推進や、企業の環境経営や環境保全活動、CSR(企業の社会的責任)への取組み促進、行政機関、独立行政法人・国立大学法人、NPO・NGOの持続可能性に関するインターネットを通じた情報発信を支援することを目的とするもので、第7回を迎える今回も前回に引き続き、環境省の後援のもとでの開催となりました。
大賞は、「企業部門」では該当企業はありませんが、優秀賞に株式会社INAX、オリンパス株式会社、株式会社リコーが、「行政機関部門」では、昨年に引き続き、仙台市が、「NPO・NGO部門」では、100万人のキャンドルナイトがそれぞれ大賞を受賞しました。
また、今年度新設の「独立行政法人・国立大学法人部門」では大賞については該当がありませんが、宇宙航空研究開発機構、山形大学、京都大学がそれぞれ奨励賞を受賞しました。近年、個人の情報発信が進む中、「個人部門」では時流を反映してか、ブログを活用したエントリーが数多くありましたが、大賞については該当がありませんでした。
1.審査結果
<企業部門>
■大 賞:該当なし
■優秀賞
株式会社INAX (http://www.inax.co.jp/eco/)
オリンパス株式会社 (http://www.olympus.co.jp/jp/corc/csr/)
株式会社リコー (http://www.ricoh.co.jp/ecology/)
■奨励賞:
インターフェイス・テクノロジー株式会社 (http://www.manualnet.jp)
東邦レオ株式会社 (http://www.ecogarden.jp/)
■環境・社会コミュニケーション賞:
株式会社モスフードサービス (http://www.mos.co.jp/social_activity/)
■環境・社会報告書賞:
松下電器産業株式会社 (http://panasonic.co.jp/eco/)
■環境教育賞:
松下電器産業株式会社 (http://panasonic.co.jp/eco/)
<行政機関部門>
■大 賞:仙台市 (http://www.gomi100.com/)
■奨励賞:香川県 (http://www.pref.kagawa.jp/kankyo/index.htm)
<独立行政法人・国立大学法人部門>
■大 賞:該当なし
■奨励賞:
宇宙航空研究開発機構 (http://www.jaxa.jp/about/iso/report/index_j.html )
京都大学 (http://www.kyoto-u.ac.jp/kankyo/report.html)
山形大学 (http://www.yamagata-u.ac.jp/html/YUEMS/index.htm)
<NPO/NGO部門>
■大 賞:100万人のキャンドルナイト (http://www.candle-night.org/)
■優秀賞:緑のカーテン応援団 (http://www.midorinoka-ten.com/)
■奨励賞:
アースウォッチ・ジャパン (http://www.midorinoka-ten.com/)
足立グリーンプロジェクト (http://www.greenproject.net)
<個人部門>
■大 賞:該当なし
■優秀賞:自転車大好きマップ 全国版(藤本芳一)(http://www.bicyclemap.net/)
■奨励賞:ブログミーツカンパニー(広田奈津子)(http://www.pc-lifeboat.com/waon/bmc.html)
2.「環境goo大賞2006」実施概要
主 催:NTTレゾナント株式会社
後 援:環境省
募集期間:平成18年11月30日(木) 〜 平成18年12月22日(金)
応募方法:「環境goo」(http://eco.goo.ne.jp/)上にて受付。(応募は自薦、他薦を問わず)
3.審査概要
(1) 募集対象および表彰
応募者の提供する環境・社会貢献活動の情報に関するホームページについて、以下の部門毎に「環境goo大賞」「優秀賞」「奨励賞」、また「企業部門」については「環境・社会コミュニケーション賞」「環境・社会報告書賞」「環境教育賞」を設け、今年度は「独立行政法人・国立大学法人部門」を新設しています。
【募集対象】企業部門、行政機関部門、独立行政法人/国立大学法人部門、NPO/NGO部門、個人部門
(2) 審査項目
(a)目的・テーマについての創意工夫
・テーマ設定のユニーク性 (5点)
Webによる"環境・社会コミュニケーション"の特性を生かしたテーマ、対象者の設定がなされているか。
・ユーザコミュニケーション方法 (25点)
双方向の交流の仕組みはできているか。また、閲覧者の多様なニーズに、適切に対応したテーマ設定、構成となっているか。
(b)情報の構成
・情報の深さ、専門性、付加価値情報 (15点)
提供されている情報は理解しやすく、網羅的かつ詳細か。
・更新頻度、情報の新鮮さ (15点)
提供されている情報は、適切に追加、更新されているか。
・内容、適切な表現 (5点)
対象者に向けた適切な内容・表現となっているか。
(c)ホームページの使い勝手・運営方法
・編集などの表現技術 (15点)
サイト内各ページの文章・図表・動画などは閲覧者の理解を促すように製作されているか。また、サイト構造や基本デザインは、閲覧者の理解を促すように構成されているか。
・ナビゲーション (15点)
ナビゲーションや操作性は閲覧者の理解を促すように工夫されているか。
・ホームページ利用促進(5点)
ホームページをより多くの人に利用されるよう、アクセス向上のための工夫をおこなっているか。
(3) 選考方法
第1次:「環境goo事務局」による選考。
第2次:「環境goo事務局」で選出したサイトに対して部門毎に「環境goo読者」が投票。
第3次:審査員による最終選考。各審査項目を審査員が総合的に評価・審査します。
(4) 審査員(五十音順)[敬称略]
・飯島ツトム氏 (環境を考えるプランナーの会 CO-WORKS代表)
・枝廣 淳子氏 (ジャパン・フォー・サステナビリティ共同代表)
・川北 秀人氏 (IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表)
・富岡 英太氏 (凸版印刷株式会社 商印事業本部)
4.各審査員による講評をWEB上で公開
応募者層の広がりや持続可能性への関心の高まりを受け、環境的側面に加えてより広範囲で効果的な環境・社会コミュニケーション方法に関する議論を深めたいという要望をいただいています。このような声にお応えし、CSR分野で著名な審査員による「環境goo大賞2006」の審査模様について、「環境goo」上に特集記事として掲載を開始しました。
【本件に関するお問合せ先】
NTTレゾナント ポータル事業本部
Tel:03-5224-5500
E-mail:pr@nttr.co.jp
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
審査員による総評
・企業部門
(講評:富岡氏)
2006年度で7回目を迎える環境goo大賞(企業部門)ですが、昨今目に見えて変化している異常気象や地球温暖化、森林の砂漠化、映画「不都合な真実」などに代表される各種啓蒙活動から各企業の取組みも本格化し、発信される内容の充実度やそのクオリティの高さに感心させられるばかりです。
環境情報の発信増に伴い、環境保護活動に参加する市民の増加や、ブログやSNSなどのWEBコミュニティで環境をテーマに取り上げたサイトが増えたりと、手法は様々ですが明確に活性化していることに、この賞への深い意義を感じます。
優秀賞を受賞したINAXはその良い例であると言えます。ユーザ参加型コンテンツとして「エコ・アイデア」を募集する『エコ・アクション』を実施するなど、環境に積極的に取組む企業姿勢が感じられるサイトだと思います。
また、同じく優秀賞を受賞したリコーについては、環境コンテンツとして非常に洗練されており、内容の充実はもちろん、トップバナーに「環境は、待ってくれない」という強い自社のメッセージを置き、環境への取組み姿勢を発信しています。
今後はホームページからの情報発信や報告にとどまらず、リアルな活動へと導くことで環境保護がさらに推進されるようなコミュニケーション作りが重要になるかと思います。皆様の積極的な取組みに期待いたします。
(講評:飯島氏)
今年の企業サイトは内容の充実、情報の網羅性などサイトの安定感が増してきたことを印象深く感じました。それに伴って企業文化の蓄積が環境コミュニケーションという窓を得て新しいカタチでにじみ出してきています。オリンパスは企業が提供する商品やサービスや企業文化とウエブ上の表現が調和していることから優秀賞を受賞することとなりました。
その他の企業サイトについても、今後はこの環境コミュニケーションというフィールドで各企業のクリエイティビティーが発揮されていくのだという兆しを感じさせるサイトが多く見うけられました。
また、幾つかのサイトではムービーを取り入れ、更に深い理解や感動を伝えることへのチャレンジがなされ始めました。紙メディアとウエブとのそれぞれの特徴を活かした使い分けも進んできました。
今後は様々な
1.よりユーザーの成長を促すメディア・ブレンド
2.ウエブの滞留時間を豊かにするサイトマネジメント
3.その先のリアルのゆたかさへ繋がる道筋が重要となり、環境サイトのサービス化が促進していくことでしょう。
・行政機関部門
(講評:川北氏)
行政としての取り組みを紹介するだけでなく、市民も公共のニーズの担い手として、自発的かつ継続的に取り組み続けるために、どのような情報を提供し、どのようなきっかけをつくるべきかが重要です。
大賞受賞者の仙台市にはその答えがあり、大賞を逃した自治体には、まだその答えがない。
仙台市は「ワケルくん」登場からすでに数年を経ながら、パワーアップを続けるサイトです。他の自治体なら、クイズや単なる情報の列挙で終わってしまいそうなデータの紹介を、「ワケル検定」に仕立ててしまう感性と柔軟さがあります。
その差の背景には、自治体の担当者が、その公共ニーズにどのように中長期的に取り組むかという、戦略を持っているか否かという違いがあることを、しっかり受け止めてほしいと思います。
・独立行政法人/国立大学法人部門
(講評:川北氏)
環境マネジメントに関する取り組みの情報開示が、法的に義務付けられた昨年度、独立行政法人から相次いで環境報告書が発行されました。そのほとんどは、断片的な取り組みを紹介するにとどまり、まるで企業がISO14001の認証を受ける前に、取り組んでいるという姿勢(努力しているという宣言?)をアピールしている時代に、15年ほど逆戻りした印象を受けます。
特に国公立大学の環境コミュニケーション担当の方には、私立大学がどのように取り組み、それをどう発信しているかをしっかり学び、より多くの公的資金を受ける機関として、具体的な成果に導く取り組みと、透明性の高い開示を一日も早く実現してほしいと思います。
・NPO/NGO部門
(講評:枝廣氏)
NPOのウェブサイトには、自分たちが行っている活動を広く伝えることで、仲間を募る、行動する人を増やすなど、いくつかの目的があることでしょう。これまでチラシで配っていた内容をそのまま載せるだけではなく、ウェブだからこその力を活かして、自分たちの活動の効果を高めるひとつの場や手段として、ウェブを活用しているNPOが増えてきています。大賞受賞の100万人のキャンドルナイトには多様性をもった参加、展開のバリエーション、秀逸なクリエイティブワーク、一つ一つが丁寧に集積されています。目に見える省エネ、肌で感じる省エネ、心に残る省エネキャンペーンの代表格であり、社会行事としての新しいデザインの可能性をも感じさせます。
より効果的な活動のためにどのような目的や機能をウェブサイトに持たせるべきか、そのような機能のうち何は現在満たされていて、何はまだ十分ではないかという振り返りをしつつ、ウェブサイトのさらなる有効なツールとしての可能性を発見してもらえればと思います。
・個人部門
(講評:枝廣氏)
今回、個人部門の応募作には、これまでのいわゆる情報発信機能としてのウェブサイトを超えた、さまざまな新しい取り組みや、新しい可能性を見ることができ、とてもわくわくしました。
ターゲットを絞り、届きやすい形でアピールをしたり、関心のある人たちがただ一方的に情報を受け取るのではなく、自分たちでもそのプラットフォームで情報を書き込んでいけるようにすることで、お互いの学び合いの場を提供したり、ウェブサイトやブログに特有の機能を活かして、「社会を変える」という大きな目的のためのほかではできない活動の場としての利用をさらに考え、進化させてもらいたいと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
去る2007年2月14日に環境goo大賞2006の最終審査会を開催いたしました。応募者層の広がりや持続可能性への関心の高まりを受け、環境的側面に加えてより広範囲で効果的な環境・社会コミュニケーション方法に関する議論を深めたいという要望をいただいています。このような声にお応えするために「環境goo大賞」を実施しており、今回、CSR分野で著名な審査員による最終審査会を実施いたしました。その審査模様について、「環境goo」上に特集記事として掲載を開始しました。皆様のインターネットを通じた情報発信の参考にお役立て下さい。
http://eco.goo.ne.jp/business/event/taisyou/taisyou_2006/feedback/
※項目をクリックいただきますと、審査員のコメントが表示されます。
【企業部門】
「大企業に求められる報告義務と環境への貢献とは?」
「2050年へのコミットが光るリコー」
「生業が環境に貢献する中小企業に求められること」
【行政機関部門】
「ワケルネットが圧倒的な強さを誇る理由」
「読者を巻き込んでいくための工夫とは?」
【独立行政法人/国立大学法人部門】
「科学者が自分の言葉で語ることがコミュニケーションの第一歩」
【NGO/NPO部門】
「マネジメントも含めて秀逸な100万人のキャンドルナイト」
【個人部門】
「社会を変えていく力を評価したい」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
審査のなかでの発言にもありますが、今回審査をしてみて、「実際のウェブサイトの特質と、これまでのウェブ評価の基準が合わなくなってきている」ことを感じました。特に個人のところで、そう感じました。
これまでは、「情報の深さ」や「専門性」などを基準に、「いかに伝えられているか」を評価していますが、「どう社会を動かしていくか」という視点が重要になってきていると思ったのです。
受賞した「ブログミーツカンパニー」などは、その代表だと思います。「消費者の声なき声を企業のCSRの深化に役立ててください」という活動は、単なる情報発信を超えたウェブの時代だからこそできることだなあと感心しました。
そう思うと、ウェブサイトをツールや場、チャンネルとして「できること」はきっと無限にありそうですね! どんな使い方が登場して、どんな変化を社会に創り出していくのか、自分の試行錯誤も含め、とても楽しみですー。
そうそう、企業も自治体も、NGOも個人も、環境ウェブサイトを運営されているなら、ぜひ環境goo大賞に応募なさるとよいですよ。多くの人に観てもらえますし、他流試合にもなり、審査員のコメントも役に立つかもしれません。
来年の審査で貴サイトにお目にかかれることを楽しみにしています〜。(^^;