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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年04月16日

システム思考とは〜ビジネス向け・個人向けコースのご案内(2007.04.14)

システム思考を学ぶ
 

先月刊行されたシステム思考の入門書、刊行後2週間で重版になったとのこと。多くの方に読んでいただけてうれしく思っています。読んで下さった方々からも「目からウロコ」「こういうふうに考えればよいのですね!」と感想をいただき、著者冥利に尽きるなあ、と思っています。

『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?
    ―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方』

枝廣 淳子・小田 理一郎(東洋経済新報社)1,680円(税込)

「システム思考って、どういうものなの?」--本書から、少し引用してご紹介したいと思います。

最初に「ある研究所の悩み」です。こういう状況、ご自分の組織や身の回りにもありませんか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この研究所の管理者は、どうすれば、この研究所でもっと革新的な研究が進められるかを考えていました。その結果、研究者同士の学際的なブレーンストーミングの時間を設けることにしました。みんなでアイディアを出し合い、お互いのアイディアを刺激やヒントに、新しい研究アイディアを創り出していこうというものです。

この「ブレーンストーミング・タイム」は、期待した効果を生み出しました。アイディア交換の場を得た研究者たちは、お互いにどんどんとアイディアを出し合い、それぞれのアイディアから刺激や情報を得て、これまでの自分の研究分野の枠にとらわれない革新的な研究が活発に進められるようになってきました。期待通り、イノベーションを生み出す場となったのです。

ところが、ある時からしだいに、ブレーンストーミングの場で出てくるアイディアが減ってきました。みなそれぞれ研究アイディアを持っていても、ブレーンストーミングの場であまり発表しなくなってきたのです。アイディアや情報交換が低調になると、自分の研究への刺激が減ってきます。すると、以前のように革新的な研究のアイディアや提案が出てこなくなってきます。

「おかしいなぁ。途中まではうまくいっていたのに......」管理者は頭を抱えました。

どうしてこのようなことになってきたのでしょうか? あなたなら、この問題をどのように解決しようとするでしょうか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この研究所で、どのようにしてこの「問題」を考え、手を打ち、その結果、またアイディアがどんどん出てくるという望ましい状況にすることができたのか(お金は一銭もかからない解決策でした!)、それは本書を読んでいただくとして、まず、システム思考とは、問題解決を含む「望ましい変化を創り出すための考え方、ものの見方」だということです。

特に、「同じような問題が繰り返し起こる」「一生懸命解決しようと手を打っているのに、なかなか改善しない」という場合に、システム思考が効きます。なぜなら、このような場合は、そのような問題パターンを生み出している「構造」がその背後にあるからです。システム思考では、「現象としての問題」ではなく、その奥にある「構造」を理解することで、本質的な問題解決を考えていきます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「複雑性の時代」といわれるように、社会や経済のあらゆる面で複雑さが増してきています。そして今後さらに、加速度的に複雑さを増していくと考えられています。

企業もこれまでは、外部の環境に対して、より早くより効率的に、パターン認識をして素早く正確に対応すればよかったのですが、環境や社会が複雑性を増し、関係する人々の動機や目標が多様化するなかで、すべての人に対する明らかな正解が見えなくなっています。

このような状況では、「こういう状況なら、こう対応すればよい」という、パターン認識に基づく対応に終始していては、予期せぬ結果にびっくりしたり、足元をすくわれることにもなりかねません。外部からの刺激を受容して対応するというスタイルではなく、変化を予期する力、先手を打って対応する力、そして、望ましい変化を自分たちの手でつくる力が必要となってきているのです。

私たちは日々改善や進歩をめざして努力をしているわけですが(ビジネス自体を"絶えざる改善や進歩の営み"と定義することもできるでしょう)、改善や進歩には二つの種類があります。

一つは、「漸進的改善」です。これまでやってきたことを「もっと一生懸命に、もっと速く、もっとたくさん」やろうという取り組みによって、効率化やスピードアップがはかられ、少しずつ進歩・改善が実現します。しかし、あるところまで来ると、この種の改善は頭打ちになってしまうでしょう。

もう一つの進歩・改善の種類は「ブレークスルー」です。これは「これまでやってきたこと」のさらなる努力ではなく、新しい戦略を作ったり、働きかける場所や働きかけ方そのものを変えたり、忘れられていた本来の目的にたちもどることにより、急速で大きな進歩・変化をもたらすものです。

ブレークスルーを起こすためには、「新しいものの見方」が必要です。アインシュタインが「問題を作り出したのと同じレベルの思考では、その問題を解決することはできない」と言っているように、同じ問題状況を同じ見方で考えていては、現行の延長線上の改善しかでてきません。複雑で多元的・多層的な現実や状況に対して、「ある見方」だけをしていては、その全体像をとらえ、本質的な対応や変化を創り出すことはできません。

「これまでとは違う見方」で見る力をつけることによってのみ、それまで気づかなかった物事のつながりや構造的な原因がわかり、ブレークスルーを起こすことができるのです。システム思考はこのような「新しい視点」を提供してくれます。

二種類の複雑性

よく「複雑性を増すビジネス環境」といわれますが、複雑性には2種類あるといわれます。ひとつは「種類による複雑性(detail complexity)」と呼ばれるもので、要素や種類が多いことによる複雑性です。たとえば、森の中にはさまざまな種類の動植物が存在していますが、これはdetail complexityです。このような複雑性に対して、ロジカル・シンキング(論理的思考)といわれるような、種類を分類して、パターン認識できるようにするアプローチがこれまで重視されてきました。

しかし、現在、社会や経済、企業や組織は、新しい複雑性のなかに置かれているといえます。これは「ダイナミックな複雑性(dynamic complexity)」と呼ばれるもので、要素のつながりや相互関係から生じる複雑性です。森の例でいえば、森に存在する多種多様な生物の相互関係が創り出す森の営みそのものの複雑性です。これは、いくら種類を分類し、パターン認識をしても、理解することはできません。

種類による複雑性への対応も重要ですが、これからの時代に違いを生み出すのは、ダイナミックな複雑性への対処力となってくるでしょう。複雑な問題や状況の構造とそのツボを見抜く力、そしてシステムの力を利用して効果的に働きかけていく力がなくては、加速度的に複雑さを増す社会や経済の中で生き残り、成功を収めることは難しくなってきます。
 
システム思考は、このダイナミックな複雑性を扱うアプローチであり、プロセスであり、共通言語です。システム思考を身につけることで、より効果的によりストレスの少ない形で変化に対応でき、また、望ましい変化を自らつくり出していく力を養うことができます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

システムを体で感じながら、システム思考の基礎やツールを身につけるコースを開催しています。対象や目的によって、2種類のコースがあります。

○ビジネス向け:企業や組織での「本質的な問題解決力」を身につける
○個 人 向 け :システム思考を使いながら、自分の課題に取り組む

4〜6月期には、ビジネス向け2回、3ヶ月のフォローアップコース、個人向け1回のコースを開催します。もしよろしかったらぜひごいっしょに!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■ビジネス向け「システム思考トレーニングコース」のご案内
 2007年4月18日東京 
 2007年6月12日東京 
システム思考トレーニングコースは、演習、ラーニング・ゲーム、グループワークを随所に織り込んで、6時間でシステム思考の基本とツールの使い方を身につけるためにデザインされました。システム原型についても、ビジネスでよく使われる6つの原型を取り上げます。

●日時・場所
東京:2007年 4月18日(水) 9:30-16:30 (9:15開場) @東京・こどもの城(表参道)
東京:2007年 6月12日(火) 9:30-16:30 (9:15開場) @東京・こどもの城(表参道)

●料金 45,000円/人(6時間コース、税込)

●お申し込み・お問い合わせ
(有)チェンジ・エージェント 担当 関・星野
info@change-agent.jp
TEL: 044-930-0012 FAX: 044-930-0013

お申し込みは、下記申し込み票を電子メールでお送りください。
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            申し込み票
2007年__月__日システム思考トレーニングコースに参加します。
ご氏名      [                    ]
ご所属      [                    ]
メールアドレス  [                    ]
連絡先電話番号  [                    ]
※この研修コースのことをどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。
( ) a. 以前受講した人からのご紹介 ご紹介者名(         )
( ) b. 職場・知人・友人からのご紹介
( ) c. システム思考メールマガジン.
( ) d. チェンジ・エージェントのウェブサイト
( ) e. チェンジ・エージェントからのメールによるお誘い
( ) f. 他のメールマガジンによるご案内 (          )
( ) g. その他 (          )
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■「システム思考トレーニング」フォローアップコース
 4-6月東京 

これまでにシステム思考トレーニングコースを受講された方々を対象に、システム思考を「使いこなす」力をつけていただけるよう、3ヶ月間のフォローアップコースを開催いたします。

参加者ご自身が、現在直面している問題に対し、システム思考的な解決方法を考え、実践していきます。システム思考トレーニングコースで得たシステム思考の基本的な理解や、時系列変化パターングラフ、ループ図などの基本ツールの使い方をおさらいし、より役に立つループ図を作るためのコツやノウハウを身に付けることができます。

システム思考トレーニングコースで学んだことを実際に使いこなしていくための機会として、ぜひご活用ください。

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■個人向け「システム思考」入門セミナーとワークショップ

 4月29日(日・祝)東京 

システム思考は、「自分を責めない、状況のせいにして諦めない」自分との対話の優れたツールとなります。

「自分に向き合う」というのは、"言うは易く行うは難し"で、「それは大事だと思うけど、どうやったらいいの?」という方も多いでしょう。「やってみたけど、結局、だめな自分を責めて、自己嫌悪に陥ってしまった」という人もいます。

そんなとき、システム思考は、安全に確実に建設的に「自分に向き合う」ツールとなってくれます。「いつもだめなんだから」と自分を責めたり、落ち込んだりするのではなく、「どういう構造だから、いつもこうなってしまうのだろう?」と構造から問題を理解し、「その構造を変えるためには、どうしたらよいのだろう?」と解決のための働きかけを考えることで、自己成長を促すことができます。

午前中に、システム思考の考え方やツールを身につけ、午後は、その考え方やツールを活用しながら、個人的なコーチングの時間も採り入れながら、それぞれ自分の課題や次のステージアップを考えていきます。

システム思考の理解と応用によって、「いつもこうなってしまうという望ましくないパターンや悪循環を断ち、自分にとっての好循環をつくりだすことで、自分を進めていく」ことができるのです。

※イーズのウェブサイトやメルマガで募集を始めており、残席は3です。

○日程:2007年4月29日(日・祝)

○場所:中野サンプラザ 7階・研修室8

○講師:枝廣淳子・小田理一郎

○スケジュール:
9:15 開場(受付開始)
9:30 システム思考入門セミナー
12:30 午前の部終了

13:45 システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ
1.自分の目標をシステム思考のツールで表す
2.自分の問題や課題の構造をシステム思考で掘り下げる
3.問題解決のために構造を変える働きかけを考える
4.講評
17:45 終了

○定員:16名

○参加費:52,000円(税込)

○お申し込み・お問い合わせ:
メールで以下の申込書をお送り下さい。受講費の振込についてご案内します。受講費の振込をもって正式受付とし、受講票をメールでお送りいたします。定員に達した時点で締め切り、あとはキャンセル待ちとなります(キャンセル待ちの方には、次回のご案内を先行してお送りします)。

申込書送付先: info@es-inc.jp

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              申 込 書

2007年4月29日 

「システム思考入門セミナー」と「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」(午前・午後ともに参加)

ご氏名     
メールアドレス
連絡先電話番号
ご住所 [〒     ] 
振込人名義(フリガナ)
備考

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

余談ですが、世界には、組織や地域などでシステム思考を活用しているところはたくさんありますが、このように「システム思考を活用して自己成長をはかる」という切り口(活用法)は、おそらく世界でも初めてだと思います。

海外では、システム思考は組織のツールとして重宝されていますが、そのシステム思考を個人の成長など一般向けに使う、という発想はあまりないのですね。

私は、システム思考に出会った瞬間に「これは自分のために使える!」と思ったのですが、それは私にもともとそういう志向があったからなのでしょうね。

システム思考の研究者や実践家も多数集まるバラトングループでも、私のコースの話をすると、「受けてみたい!」「英語でもやってよ」と言われます。一般向けのシステム思考入門書がこれほど売れているということも驚きのようで、「翻訳して〜!」と。(^^;

デニスもアランも、「人々にシステム思考を理解してもらうのはとても難しい。なかなかわかってもらえない」とよく言います。日本人からすると「ああ、こういう考え方って、なじみがあるよね。こうやってきちんとツールにしたり、整理して考えたことはなかったけれど」というものなのですが。

「物事をつながりとして理解する」システム思考に対し、西洋よりも東洋のほうがなじみが深いということ、比較文化論的にも、「環境の世紀」を考える上でも、面白いなぁ、大事な鍵がありそうだなぁ、と思っています。

 

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