「百聞は一見にしかず」ということわざがありますよね。
英語でも、
Picture is worth a thousand words.(1枚の絵は1000もの言葉に相当する)
と言います。
「なるほどー、たくさんの言葉で説明するより、見れば通じるなあ」という思いを特に強くした機会がありました。去年、第2回昭和シェル石油 環境フォト・コンテストの審査員をやらせていただいたときです。
この環境フォト・コンテストは、ちょっと変わっていて、町の中の「○」と「×」を組写真にして応募する、というもの。どういう視点で、町や環境を見つめているのか、それが組写真から浮かび上がってきて、とても面白いです。
1000点を超える応募作品の中から、事前に絞り込まれたとはいえ、数百点の写真を数人の審査員ですべて見て、点数を付け、集計し、議論し、賞を決めていくのは、1日がかりの大仕事でした(とっても楽しい大仕事でした!)
昨年の審査員評には、以下のメッセージを書きました。総評と、私の選ばせてもらった審査員賞へのコメントを引用しますね。ぜひ受賞作品も見てください。
そして、もちろん、金賞、銀賞、銅賞などに輝いた素敵な作品も見て下さいね。
(ジュニア部門)
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/photo-contest/junior_list_2006.html
(一般部門)
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/photo-contest/senior_list_2006.html
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■総評(枝廣淳子)
今年も考えさせられる写真がたくさんありました。○と×の組写真を通して、「どんな町にしたいのか」「どんな社会や世界にしたいのか」を考えることになりますね。
「手つかずの自然と不法投棄などのゴミ」、「きちんと人の手が入っている風景と見捨てられ放置された風景」の対比が多く見られましたが、人間の公共心道徳心の欠如の糾弾や悲嘆を超えて、環境問題の幅(今回生態系を取り上げた作品がありました)や、問題の原因(冷房エネルギーを取り上げた作品がありました)にも、広く深く切り込んでほしいと思います。その風景の向こうに、時間や空間の広がり、そして社会や経済のシステムの現状と未来が見える作品を楽しみにしています。
■ジュニア部門 枝廣淳子審査員賞
「窓をあけたら」 / 山本 りりこさん(島根県)
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/photo-contest/edahiro_junior_2006.html
<撮影者コメント>
信号待ちをしていた交差点。ふと隣のビルを見上げると、無数の室外機が目に入ってきました。ギョッとする光景が目に焼きつき、後日カメラを手に再び訪れました。快適な暮らしの裏側を改めて知りました。対照的な光景を探して街の中を歩き回りましたが、灯台下暗し。昔ながらの祖父母の生活(御簾と簾)は、見た目にも涼しく、環境にも優しく感じました。
<審査員総評>
クーラーの室外機がずらりと並ぶ息をのむほど無機質な風景(これらの部屋は外界から自分たちを閉め切ることで涼しくなっています)と、自然の涼を慈しむように、外界に開かれたほっとする風景と、見事な対比です。簾からは二酸化炭素は出ませんが、クーラーを動かす電力を起こしている発電所からは二酸化炭素が出ています。同じ涼しさでも、地球や未来世代への迷惑が違うのですね。「どういう社会に生きたいの?」と問いかける作品です。
■一般部門 枝廣淳子審査員賞
「汚染に怒った白鳥」 / 橋本 和夫さん(徳島県)
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/photo-contest/edahiro_senior_2006.html
<撮影者コメント>
上記撮影場所に白鳥の住む湖があります。ある朝白鳥の泳ぐ姿を撮りに行きました所、2羽の白鳥が人が投げ入れたらしい布切れを互いに喰い合って持ち上げているではありませんか。何の為にしているのか不明ですが人の思考でいえば泳ぐのに邪魔になるから取り除こうとしていたのでしょうか。そうであれば人によって汚染された環境を一日も早くきれいにしてあげねばと感じました。
<審査員総評>
白鳥の親子の凛としていること! 一方、2羽の白鳥のひっぱっている布切れは、人間への抗議の反旗? それともあきらめの白旗? 野生動物がビニールや布切れを餌と思って食べて死に、解剖すると胃袋にビニール袋がいっぱい詰まっていた(分解できないので)という話もよく聞きます。この白鳥たち、このあとどうしたのでしょう? ほかにも布やビニールが落ちていないでしょうか? 自然と人間の距離や関係について考えさせられる作品です。
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第3回 昭和シェル石油 環境フォト・コンテストのご案内が届きましたので、お知らせします。今年も審査員を務めさせていただくので、とても楽しみです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私たち昭和シェル石油は、その経営理念の中で「環境保全」は会社が果すべき社会的責務であると位置づけ、これまで環境保全に関して事業活動の全段階において積極的に取り組んでまいりました。
2007年度の昭和シェル石油 環境フォト・コンテストでは、見落としてしまいがちな身近な風景から、環境問題に対する新たな視点を発掘し、その視点を広くお知らせし、問題解決のために、私たち企業と個人一人ひとりが考え行動する、社会的ムーブメントにつながることを目的としています。
このコンテストが一般社会の環境に対する意識を高め、子供達の環境教育にも貢献できることを期待しております。
いつまでも残したい素敵な風景と、すぐにでも変えたい風景。「わたしのまちの○と×」というテーマで撮影された「○」な風景、「×」な風景の2枚一組の写真を募集しています。
詳しくは応募のご案内ページをご覧ください。
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/photo-contest/apply.html
★自由な発想でまちを観察
コンテストのテーマは環境です。環境というと、つい自然ばかりに目がいきがちですが、身近なまちの中の景観や住んでいる人だって、まちの環境のひとつ。色々な視点で写真を撮影しましょう。
★応募資格
10才以上の方ならどなたでもお応募いただけます。(2007年3月31日現在)。ひとり何作品でも応募できます。
ジュニア部門・・・・10才以上18才以下 一般部門・・・・19才以上
★募集期間
2007/7/2(月)-9/7(金)
★作品送付先
〒162-8799
東京都新宿区牛込郵便局 私書箱136号
「昭和シェル石油 環境フォト・コンテスト」事務局
締め切りは 9月7日金曜日 消印有効
※宅急便での応募はご遠慮ください。必ず郵便でお願いいたします。
※複数の作品を応募される場合は、応募用紙をコピーして応募してください。
★審査発表
入賞者の方には 10月 5日〜 12日の間に事務局よりご連絡します。11月上旬から当Webサイトにて結果を公開します。
★表彰式
[期日] 2007年11月11日(日)
[場所] メトロスクエア・ガーデン(B2F)
東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル
※入賞された方には、表彰式のご案内を後日お送りします。
★入賞作品展
[期日] 2007年11月11日(日)〜11月25日(日)
[場所] メトロスクエア・ブリックギャラリー
東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル
[時間] 8:00〜22:00(11日〜24日まで)
8:00〜16:00(25日のみ)
[交通] 大手町駅(丸の内線・半蔵門線・千代田線・東西線・都営三田線)下車
E1・A4出口直結
東京駅 丸の内北口より7分
★お問い合わせ
TEL 03-5249-3418
(土・日・祝日を除く平日 10:00〜17:00)
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去年のこの審査員会で、はじめてお会いした写真家やまちづくりの専門家の先生とお話が楽しくて(私がウォーキングを始めたのも、このときにお聞きした体験談に刺激を受けたためでした)、楽しさのあまり、「来年は審査員も○と×の写真を持参しましょうよ!」と口走ってしまったのでした。
というわけで、出かけるときはデジカメを持って、あちこちキョロキョロしています。いつもとちょっと違う「メガネ」をかけたようで、見えてくるものも違ってきますよー。ぜひよろしかったらお試しを! そして、うまくいったら表彰式でお会いしましょう!(^^;