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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年10月24日

海洋の二酸化炭素吸収が減少?(2007.10.24)

温暖化
 

前々号で、「カーボン・フリー・キャンパス」(二酸化炭素を出さないキャンパス)に取り組む全米の400を超える大学の動きについてご紹介しましたが、10日ほどまえに北海道におじゃました折に、道庁で知事と副知事、環境担当の方々とお会いした際、「今度の洞爺湖サミット、世界初のカーボン・フリー・G8サミットしたらどうでしょう?」と提案したのでした。

G8サミットは多くの人々や機材の移動や活動がありますから、大量の二酸化炭素を排出します(直接影響)。もっとも、そこで話し合われ、決まることによって、世界の二酸化炭素排出量が減る(間接影響)ことをめざしておこなわれるわけですね(直接影響より間接影響が大きくならないと引き合いません)

(ちなみに、何かをするときの環境影響は、このように直接影響と間接影響の両方を考えるべきだと思っています。たとえば、「リサイクルはしないほうがよい」という論もありますが、短期的・直接的な影響だけではなく、長期的・間接的な影響も含めて考えるべきだと、私は思っています)

そうはいっても、サミットによる直接影響はできるだけ減らしたいですから、ぜひ「省エネサミット」に! そして、減らしてもなお残る分は、オフセットなどを使って「カーボン・ニュートラル」(炭素中立)にすれば、環境サミットにふさわしくなるでしょう。(もちろん、いくら直接影響をカーボン・ニュートラルにしても、そこで決めるべきことが決まらなかったら、意味がありませんが!)

という余談はさておき、先日「心配なニュースが入ってきている」と書いた件をお伝えします。

ご存じのように、地球には自然の循環としてある量の二酸化炭素を吸収する力があります。「森林やその土壌」と「海洋」があわせて31億トン吸収してくれています。ところが、人間が出している二酸化炭素は72億トンなので、吸収しきれずに大気中に蓄積し、温暖化を引き起こしているのですね。その吸収源についての、心配なニュースです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから抜粋〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2007年10月20日 BBCニュースより

海洋の二酸化炭素吸収が減少している。

科学者によると、世界の海洋が吸収している二酸化炭素の量が減少してきている。イーストアングリア大学の研究者たちは、自動測定装置を装備した商船からの9万を超える測定結果から、二酸化炭素吸収量を計測した。北大西洋におけるこの10年間にわたる研究結果によると、二酸化炭素の吸収は、90年代半ばと、2000年〜2005年のあいだに、半分になっていた。科学者たちは、海洋の温室効果ガスの吸収が減れば、地球温暖化はさらに悪化する可能性があると考えている。

この研究結果は、「ジオフィジカル・リサーチ・ジャーナル」の論文として発表されたもの。この変化が気候変動のせいなのか、自然な変動のせいなのか、科学者たちにはわかっていないが、科学者たちは、「今回わかったことは驚くべきことであり、憂慮すべきことである」と言っている。なぜならこれは、「そのうち海洋は、われわれ人間の排出によって飽和してしまう」と考えざるを得ない根拠を突きつけているからだ。海洋がそれ以上吸収することができなくなると、われわれ人間の排出はすべて大気を暖めることになってしまう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜抜粋ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

研究者の間ではかつてより、「そのうち海洋は飽和してしまうのではないか。そうしたら、これまで吸収した分をはき出す可能性もある」と言われていましたが、そのおそれが、もしかしたら現実化しているのかもしれません。

そうであればなおさらのこと、私たち人間が出している二酸化炭素をできるだけ早く、できるだけ減らしていかなくてはなりません。

 

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