「温暖化問題」は「エネルギー問題」と切っても切れないつながりがあります。
いうまでもなく、「どういうエネルギーをどのくらい使うのか」が温暖化の趨勢を左右します。
また、温暖化への緩和策・適応策をとるにも(たとえば、大規模な二酸化炭素の回収と貯蔵の技術開発も進められていますが、それを実際に行うためには)大量のエネルギーが必要となります。
「温暖化問題」と「エネルギー問題」は、言ってみれば、“双子の問題”なのです。温暖化への関心から入っても、エネルギーコストの上昇を避けようと考え始めても、きっと同じところに到着します。
先日、ニューヨークで原油先物価格がはじめて1バレル90ドルをつけ、その後も乱高下しています。産油国での政情不安、アメリカの精製施設の能力不足、ドル安による投機マネーの流入など、さまざまな要因が挙げられています。
しかし、単なる政治情勢による価格要因ではなく、特に注目すべきは、1998年にはわずか14ドルだったのが、わずか10年間足らずで6倍以上にもなっている長期的な傾向です。長期的な傾向(パターン)には、必ずそれを引き起こしている「構造」があるからです。
その構造から、原油に詳しいアナリストたちの間では、1バレル100ドルを超えて200ドルにも迫るとの見方すら出ています。エネルギー資源の価格高騰が続けば、エネルギー供給の96%を輸入に頼る日本は深刻な影響を受けることは間違いないでしょう。
前号でデニス・メドウズ氏らの『成長の限界 人類の選択』から「なぜ技術や市場の力だけでは解決できないか」を引用しました。「足りなくなるのは資源ではなく、対応能力なのだ」というポイントも含め、デニス・メドウズ氏は、この密接に関連する「温暖化問題」と「エネルギー問題」の構造をどのように考えているのでしょうか? 世界のエネルギー資源の現状はどうなっているのでしょうか?そして、私たちは国として、企業として、個人として、どのように考えていくべきなのでしょうか?
来月11月20日に、デニス・メドウズ氏と、カナダから石油・石炭など化石燃料の資源調査及び技術評価の専門家であるデイビッド・ヒューズ氏を招聘し、私たちの生活や産業活動に関して大きな影響を与えるエネルギーの現況と見通しを概観し、今私たちは何をなすべきかについて考えるシンポジウムを開催することにしました。
世界からの専門家ふたりの基調講演を受けて、日本はいかに考えるべきか、日本の企業や地域はどのように手を打つべきかを、自治体・企業・環境エネルギーNGO・学会の代表によるパネルディスカションでさらに深く考えていきます。
温暖化に取り組んでいる組織や個人にとっても、エネルギー状況そのものに懸念を深めている方々にとっても、構造的な要因とつながりを考え、自分たちはどう考え、手を打っていくべきかを考える大きなきっかけになることと思います。どうぞふるってご参加下さい!
●日時
2007年11月20日(火) 13:00〜17:00
●場所
東京都内 表参道駅周辺会場
●プログラム概要
13:00 司会あいさつ
13:10 基調講演(1)
デニス・メドウズ氏(インタラクティブ・ラーニング研究所所長)
『成長の限界―ピーク・オイルと温暖化危機』
14:10 基調講演(2)
デイビッド・ヒューズ氏(カナダ地質調査所上級地質学研究員)
『エネルギーチャレンジ―需給の現況、見通しと私たちの選択肢』
(基調講演は同時通訳でお聞きいただけます)
15:10 休憩
15:20 パネル・ディスカッション
『エネルギーチャレンジの時代にどう取り組むべきか』
パネリスト
小原 昌氏(東京都環境局副参事)
飯田哲也氏(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)
他
コーディネーター:枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
16:50 司会あいさつ
17:00 閉会
●基調講演演者プロフィール
デニス・メドウズ氏 (インタラクティブ・ラーニング研究所所長)
デニス・メドウズ氏は、長期的な視点からものごとの全体像と根源を見るシステム思考の大家であり、人口、経済と地球環境に関するローマクラブへのレポートとしてまとめられた『成長の限界』は世界中で注目を集めた。MITで経営学博士号を取得後、MIT、ダートマス大学、ニューハンプシャー大学などで経営学、工学、社会科学などを教え、プログラムディレクター、学部長などを歴任した。システム思考、未来学、体験学習など10の著書を持つ。世界の企業のボードメンバー、政府・業界・NPOなどへのコンサルティングの実績多数。地球温暖化問題、ピーク・オイル問題における世界の第一人者でもある。
デイビッド・ヒューズ氏 (カナダ地質調査所上級地質学研究員)
地質学者であるデイビッド・ヒューズは、カナダ地質調査所の研究者としてエネルギー資源の研究調査に30年以上携わってきた。カナダの石炭インベントリーのリーダーを務め、石炭に関するデジタル情報を使い、石炭の従来の利用法とコールベッド・メタン生産や二酸化炭素の固定化など新しい利用法にどの程度適用可能であるかを検討している。また、カナダ・ガス・ポテンシャル委員会における非従来型天然ガスのチームリーダーでもある。近年の関心は、エネルギーに関する「ビッグピクチャー」を描くことにある。エネルギー供給の継続性の長期的予測診断とエネルギー利用に関する政治および環境への影響に大きな関心を寄せている。ヒューズ氏のグローバル及び北米でのエネルギー分析は、アメリカ及びカ
ナダの連邦政府、州政府、自治体、エネルギー供給業界団体及びエネルギーを消費するさまざまな業界団体で利用されている。
●参加費・資料代
3,000円
(基調講演のスライド資料抜粋を資料として配布いたします)
●定員
300名 (定員になり次第、締め切らせていただきます)
●主催
有限会社イーズ http://es-inc.jp
有限会社チェンジ・エージェント http://change-agent.jp
●お申し込み
以下申込書フォーマットにご記入のうえ、申込専用e-mailアドレス:
energy1120@es-inc.jp までお送りください。折り返し、お支払い方法のご案内を自動返信メールにて送付いたします。
++++++++++++申込書++++++++++++++
シンポジウム「エネルギーチャレンジ」(11月20日)
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●お問い合わせ
有限会社イーズ
e-mail: info@es-inc.jp
Tel:03-5426-1128 Fax:03-6413-3762
担当:星野、足田
※申込専用e-mailアドレスはenergy1120@es-inc.jpとなります。お間違いないようお願いします。
欧米では、産油量がピークに達して、そのあと減少していき、それに伴い、価格が上昇し続けるようになるというエネルギー問題「ピーク・オイル」を真剣にとらえ、さまざまな「ピーク・オイル会議」が開かれています。現状を確認し、見通しを議論し、そして、各国や各組織が対応を考えるための会議です。デニスもデイビッド・ヒューズ氏も専門家としてそのような会議で活躍しています。
日本では、研究者の間ではともかく、広く現状と見通しを伝え、考えるための「ピーク・オイル会議」自体がほとんど開催されていません。そこで、11月に来日が決まっていたデニスに、「日本でもピーク・オイルについて、その構造や、いまや企業も個人も取り組み始めている温暖化との関連などについてきちんと伝えるシンポジウムをやりたい」とお願いしたところ、快諾してくれました。
さらに、「それなら、デイビッド・ヒューズ氏も呼ぼう。世界のエネルギー需給の現況と見通しを豊富なデータで伝えてくれるから」と、デニスがデイビッドに声をかけてくれて、今回の世界を代表する専門家の競演?が実現しました。デニスとデイビッドが日本で顔を合わせるのはそうそうないことでしょう。どうぞお見逃しなく〜。
そして、そのあとのパネルディスカションも、「他人事ではなく、ワガコトとしてどう考え、対応していくか」を議論するにふさわしい方々をお招きしています。
このシンポジウムが、日本のエネルギーの考え方や温暖化への取り組みを変える「歴史に残るきっかけ」のひとつになることを願っています。いっしょに勉強し、いっしょに考えていきましょう!
※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
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