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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2008年01月13日

温暖化の時代にマスコミが果たすべき役割〜マスコミ関係者向け勉強会を始めます(2008.01.13)

温暖化
 

今年のお正月番組では、環境問題を取り上げたものがとても多かったですね。まえにご紹介した元旦と2日の夜に放送された、私のニコラス・スターン氏へのインタビューも織り交ぜたNHKの『未来への提言』の再放送がありますので、お知らせします〜。

宇宙飛行士の毛利さんが、ブッシュ政権と温暖化対策をめぐって戦い続けてきた反骨の科学者、ジェームズ・ハンセン博士(NASAの科学者)にインタビューされた内容と、私がスターン・レビューの著者ニコラス・スターン卿にお聞きした「低炭素社会」の未来のほか、世界の先進事例の紹介などもあります。

2つバージョンがあって、総合テレビで放映される番組は、上記の内容を、スタジオでの毛利さん、鎌倉アナウンサー、私のお話でつないでいきます。BSバージョンは、インタビューをじっくり聞いていただける構成です。どちらもぜひ。

未来への提言スペシャル 
地球温暖化に挑む 〜世界のキーパーソンからのメッセージ〜
        
★総合バージョン
総合テレビ 2008年1月14日(月)午後1:05〜2:05(再)

★BSバージョン
 第一部  NASA科学者 ジェームズ・ハンセン
 第二部   経済学者 ニコラス・スターン

BS1 1月20日(日)午後7:00〜9:00(再)


今年も温暖化問題のさまざまな影響が顕在化し、それにともない、国内外でのさまざまな動きが加速していくでしょう。そのような時代に、マスコミはどのような役割をとるべきなのでしょうか? 温暖化をはじめとする問題の「原因」ではなく、「解決策」の一部になるために、その大きな力をどのように活かしていくことができるのでしょうか?

「環境問題に関し、民放を中心とするマスメディアへの意見を」と依頼され、日本民間放送連盟が発行している『民間放送』(2007年12月23日号)に掲載された「マスコミの役割」についての原稿をご紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『民間放送』(2007年12月23日号)
                                枝廣淳子

 温暖化をはじめとする世界が直面する問題解決に向けて、マスコミはとても大きな役割を担っています。

 それは、「少数の人がライフスタイルを激変させるより、多数の人が1%ずつ生活を変えるほうが、二酸化炭素の排出が減り、温暖化を食い止めるに役に立つ」からです。

 私は年間数十回、全国で環境講演会を行っています。しかし、「環境」講演会に足を運ぶ人はもともと意識の高い人たちです。そのような人々に新しい情報や考え方を伝えることも重要ですが、自分からは「環境」講演会に足を運ばない大多数の人々の意識と生活を、どのように変えていったらよいのか?
――いつもそう考えます。

 その意味でも、多くの人々に繰り返し大事なメッセージを伝えられるマスメディアの役割が、ますます重要になることは間違いありません。

 民放に期待することは、大きく2つあります。

 1つは、人々の意識や行動を変えるため、バラバラの情報ではなく、問題の「構造」を伝えることです。

 具体的には、目の前の「温度が何度上がった」「氷が解けた」という出来事レベルの情報だけではなく、「温度の長期的な傾向はどうなのか?」「氷の面積はこの数十〜百年間、どう変化しているのか?」という、長い時間軸でのパターンや傾向を伝えることが重要です。そして、その傾向やパターンを生み出している構造を伝えること。構造が変わらない限り、問題は繰り返し起きるからです。

 そしてもう1つ大事なこと。残念ながら、今後温暖化をはじめ、状況は悪化していきます。そうしたときに、絶望に陥る人が増えていくでしょう。

 人はいったん絶望してしまうと、物事を変えるための行動をとらなくなってしまいます。そうすれば、温暖化はますます悪化の一途をたどってしまいます。

 そのような状況悪化の時代には、幸せな時代に好まれるショッキングな情報や刺激的な情報とは異なる情報が求められるでしょう。

 例えばいつも希望を伝えて励ましてくれる、「希望の泉」のような情報源。これは、人類を破滅に向かわせないためのマスコミが担うべき重要な役割ではないかと思うのです(社会が大混乱に陥っては、マスコミも今のような仕事はできなくなるでしょう。つまり、マスコミ自身の将来のためでもあるのです!)。

 石油会社だったBPは、ある段階で「自分たちは石油会社ではない。エネルギー会社だ」と自社の存在意義を定義し直し、「BPとはBritish PetroleumではなくBeyond Petroleum(石油を超えて)」であると宣言しました。

 時代が変われば、その社会における存在理由も変わっていきます。温暖化が悪化し、エネルギー資源がひっ迫し、ますます加速度的に混乱の様相を示すであろう今後の社会のなかで、民放はマスメディアとして、どのような役割を果たすべきなのか。何を目的として、どのような存在でいるべきなのか――ちょっと立ち止まって、問い直し、視聴者にも考え直すきっかけや時間を提供して下さい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これからの時代、温暖化を少しでも早期に止めるためにも、そして、どうしても起こってしまうある程度の温暖化に、人々や社会がじょうずに適応していくためにも、マスコミの役割はますます重要になってきます。

マスコミ関係者の方、よかったらいっしょに勉強していきませんか? いま地球はどうなりつつあるのか? 今後どのような世界を予測しなくてはならないのか? 世界各国はどのように動きつつあるのか? 日本の人々は何を求めているのか?

マスコミ関係者に対象を限定した「温暖化に関するマスコミ勉強会」を開催しようと思っています。マスコミ関係者でご興味のある方、お知らせや情報を受け取りたい方は、ぜひごいっしょに!

(1)お名前
(2)ご所属
(3)メールアドレス
(4)備考:問題意識やご興味のあるテーマなど 

info@es-inc.jp までお送り下さい。オンライン勉強会への参加は無料です。勉強会など開催の際には、会場費などの実費程度の負担をお願いします。(このメールニュースの読者でなくても、マスコミ関係者であればぜひどうぞ! お知り合いにもお伝え下さい〜)

地方局の方もぜひどうぞ。情報はメールでお届けしますし、私が地方に出張する際など、可能なときにはお知らせしますので、情報や意見を交換しながらの「温暖化朝食会」(?)などもぜひ、と思っています。

マスコミがマスコミ本来の使命をより効果的に発揮し、温暖化という大きな問題の解決の一端をしっかり担っていくために、最新の科学的知見や内外の動向情報を得ながら、伝えるべき内容や伝え方(そして、おそらくどこでも難題となっている「社内の動かし方」も!)など、いっしょに勉強していきましょう!

 

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