前号で、システム思考ワークショップの日付を間違って書いていた箇所がありました。ごめんなさい〜。
2月27日大阪 http://change-agent.jp/news/000109.html
2月28日名古屋 http://change-agent.jp/news/000110.html
です。
上記はビジネス向けですが、一般の方向けに、5月18日に「システム思考」入門セミナーとワークショップを開催します。よろしければぜひどうぞー。
こちらは、午前中は、システム思考の考え方やツールを身につける「システム思考入門セミナー」を開催し、「まずはシステム思考という考え方やツールを身につけたい」というお声に応えします。午後は、その考え方やツールを活用しながら、個人的なコーチングの時間も採り入れながら、それぞれ自分の課題や次のステージアップを考えていく「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」をおこないます。
システム思考についてまずは学びたい、という方は、午前中のみどうぞ。丁寧な説明と練習で、じっくり考え方とツールを身につけます。
ご自分の課題についてシステム思考を用いてじっくり考えたい方は、午前・午後の両方にご参加下さい。午後に4時間かけて、午前中に学んだツールを用いて、自分の課題をじっくり掘り下げ、「解決のための働きかけ」まで考えていきます。午後は講師(枝廣淳子・小田理一郎)がおひとりおひとりに詳しくアドバイスしながら進めていきます。
それから、ついでにー。5月10日〜11日『一年の計を立て、自分マネジメントのしくみを身につける』1泊2日のワークショップを開催します。
そして、3月の「共創型コミュニケーションの手法を学ぶ4回シリーズ講座」、まだ若干空きがありますので、ぜひどうぞ。めったにない機会ですので!
さて、本題です。「日刊 温暖化新聞」、着々と毎日ニュースを出し続けております。
「あの人の温暖化論考」コーナーには、現在3人アップされています。「エダヒロはこう考える」コーナーにも、3本アップされています。主にメールニュースで配信したものですので、すでに読んでくださっている方が多いと思いますが、ほかの方に紹介などしていただけたらうれしいです。
そして、このたび、「MISSION POSSIBLE〜温暖化を止める、26のマイ作戦〜」というメルマガの配信をはじめました。誰にでも簡単にできる26のアクションを毎週1本ずつお届けします。
(いつ登録していただいても、第1号から順番に届きます)
意識の高い方々はすでになさっている"作戦"が多いと思いますが、よかったら、お友だちやお知り合いに転送したり、話のネタに使ってもらえたらうれしいです。
内容は、
【今週のTips】すぐに実践できる行動のアイディア
【今週のData】知っておくと役に立つデータ
【今週のMessage】温暖化防止に向けて行動するみなさんへのメッセージ
の3本立てです。
感想やフィードバックなどもいただけたら嬉しいです。この26以外のアイディアもどんどん集めて、続編もぞくぞく作りたいな、と思っています。「こんなこと、やっているよ」「こんなこと、どお?」というアイディアもぜひ。
それから、イーズサイトにも、新しいページができました。
サイズの合わなくなった衣類、使用済みてんぷら油・・・
まだ使えるのに、捨ててしまうのはもったいないなぁ、と思うことありませんか?
その一方で、資源を少しでも有効活用しようとがんばっている、「熱い」思いをもった人たちがいます。古着から、傘やテニスラケット、さらに入れ歯まで!さまざまなモノたちが、ひと手間加えられて、新しく生まれ変わっています。
ゴミとして捨ててしまえばそれでその資源やモノの命もオシマイ、残るのはゴミ処理のためのエネルギー消費やそれに伴って排出される二酸化炭素です。一方、活かすことができれば資源になり、第二の人生(モノ生?)で活躍してもらうことができます。ちょっとだけ自分の背中を押して、あなたの「もったいない」を、ぜひカタチにしませんか?
「ちょっと待って、捨てないで」プロジェクト
「まだ使えるのにもったいないなぁ」という思いをかたちにしてくれる、団体やグループをご紹介していきます。現在のラインアップは
古着・古布・古繊維
ふとん
ストッキング
古切手
食用油
使用済み割箸
ベルマーク
プルタブ・アルミ缶
傘
硬式テニスラケット・硬式テニスボール
です。どうですか、捨てないで送ってみませんか? これからもラインアップを増やしていきますので、どうぞお楽しみに〜!
そして、最後に2冊、翻訳書を出しましたので、まえがき・あとがきといっしょに紹介させてください。よかったら書店で手に取ってみてくださいな。
『あなたにもすぐにできる ダイエットCO2 〜もっと快適に!エコライフ22の方法』
デービッド・ガーション(著)、枝廣淳子 (翻訳) PHP研究所
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訳者まえがき
地球温暖化の問題が大きく迫りつつあります。新聞やテレビなどでも、温暖化に関する報道がない日はないといってもよいほど、日本でも世界でも、温暖化問題への関心が高まっています。
「温暖化のせいで、北極の氷が溶けてしまい、ホッキョクグマが溺れ死んでいる」「温暖化の影響で山が乾燥し、山火事が増えている」「温暖化によって、日本でも、マラリアなどの熱帯性の病気が蔓延する可能性がある」などという情報を見聞きするにつれ、「どうしたらいいのだろう?」「本当に何とかなるのだろうか」と、焦る気持ちを抱く人も増えているのではないでしょうか。
そういうときこそ、地に足を着けて、一歩ずつ、心配な気持ちや懸念を「行動に移していく」必要があります。いくら心配しても、いくら情報を得ても、温暖化の進行は止まりません。私たちが毎日の生活のなかで「何をするか」「何をしないか」――それが二酸化炭素(CO2)の排出量を増やしたり減らしたりして、温暖化を進めもすれば、抑えもするのです。「地に足を着けて、一歩ずつ」何をしたらよいのか?――そのアイディアやヒントを大いに提供してくれるのが本書です。
この本は、米国で広く環境プログラムを実施し、大きな成果を上げてきた著者が、私たちが温暖化を防止するためにできること・すべきことをわかりやすく伝えるために書いたものです。
「二酸化炭素を大きく削減すること」は単なるキャッチフレーズではなく、実際に実行できるのです。
主に米国の人々向けにおこなわれてきた環境プログラムをベースにしているため、挙げられている数字などは米国向けのものが多いですし、数字の換算上、丸めてある数字もあります。そういった細かな数字を気にするよりも、「何をやれば大きな効果があるのか」「自分の暮らしのなかで何ができそうか」といったヒントやきっかけを得るために、本書を活用していただければ、著者も喜ぶことでしょう。なお、日本の家庭の二酸化炭素排出量を計算するには自治体やインターネットで「環境家計簿」を調べてみると、自分の地域向けの計算式が得られるでしょう。
日本の家庭における二酸化炭素排出量の内訳を見ると、「電気から」がいちばん多く、40%近く。そして「ガソリンから」が30%近く、「ガスから」が13%ほどです。つまり、家庭から排出される二酸化炭素を減らすには、「電気、ガス、ガソリンの使用量を減らせばよい!」のです。本書にはそのためのヒントが満載されています。
世界の二酸化炭素排出量のうち、米国は22%を占めています。日本は、人口こそ世界の2%弱にすぎませんが、二酸化炭素の排出量は世界全体の4.8%にものぼっています。1人当たりの排出量は世界平均に比べても多く、私たちの暮らしのなかから出ている二酸化炭素を少しずつでも減らしていかなくてはなりません。
ちなみに、国民一人当たりの排出量(二酸化炭素換算)は、米国が20トンで、日本は10トンです。でも、米国の半分だと喜んでいてはいけません。中国は人口が多いので、国全体としては世界の排出量の18%を占めていますが、一人当たりはわずか3.7トン。インドやアフリカの平均は、1人当たり1.1トン、日本の10分の1なのです。
温暖化を本当に止めるためには、世界の二酸化炭素排出量を70%減らさなくてはなりません(京都議定書で約束した6%削減は、ほんの「最初の一歩」なのです!)。そのためには、私たち一人ひとりが、自分の暮らしのなかから排出される二酸化炭素をできるだけ減らしていくこと、そして「減らせばトクする!」ように社会や経済のしくみを変えていく必要があります。
温暖化の問題は、「時間との戦い」でもあります。温暖化が手に負えない状況になる前に、二酸化炭素の排出量を大きく減らす必要があります。「だれが、何を、先にやるか?」を議論している時間はありません。できる限りのことをすべて、できるだけ急いで進めていきましょう。効果の実証された本書のプログラムを参考に、ぜひご自身の年間排出量を減らす目標値を定め、そのための手段を工夫しながら進めていってください。
二酸化炭素を減らすためには、少数の人が大きく暮らしを変えるより、多数の人が少しずつでも暮らし方を変えるほうが大きな効果があります。「温暖化は問題だ」「何とかしなくては」と、多くの人々よりも先に気がついたみなさんは、自分ができることをやっていくだけではなく、それを広く伝え、多くの人を行動に巻き込んでいく役割もぜひ果たしてください。本書の後半は、そのためにきっと役に立つことでしょう。
本書の翻訳にあたっては、翻訳者の小野寺春香さんに大いにお世話になりました。本書を世に送り出してくれたPHP研究所の編集者・木南勇二さんにも心からの感謝の意を伝えたいと思います。
だれだってできることしかできません。でも、できることをできるだけやっていきたい――そう思いませんか? 本書がそのためにお役に立つことを心から願っています。
枝廣淳子
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『地球の呼吸はいつ止まるのか? 〜エネルギー・環境連立方程式』
デヴィッド・ハウエル&キャロル・ ナフル(著)、枝廣淳子 (翻訳) ウェッジ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
訳者あとがき
日本では、ようやく「温暖化問題」が大きな問題であると認識されるようになった。いまやマスコミもこぞってこの問題を取り上げ、行政も企業も一般の人々も取り組みを進めつつある。「エネルギー問題についてはどう思いますか?」と尋ねたら、「化石燃料は温暖化に有害なので、自然エネルギーに替えるべきだ」といった意見が大多数ではないだろうか。
そのとおり、エネルギーには、温暖化を引き起こす二酸化炭素を大量に出すものもあれば、あまり出さないものもある。そういった意味での「エネルギーと温暖化の関係」は多くの人が理解しているが、しかし一方で、二酸化炭素を減らすためにもエネルギーが必要であること(風力タービンを作るためにもエネルギーが必要)、そしてエネルギー資源自体が世界的に入手しづらくなっている状況について考えている人は多くはない。
日本でも、原油価格の上昇がマスコミに取り上げられるようになってきたが、多くの人が、「石油価格は政治や投機の要因で上下するから、前回の石油ショック同様、政治的な決着さえつけば、また石油はこんこんとわき出て、価格は下がるだろう」と無意識のうちに考えているのではないだろうか。
それは正しいのだろうか? 実際に、エネルギー資源はどのような状況なのだろうか?――基盤となるデータや分析とともに、国はもちろん、企業や自治体、そして一人ひとりも、エネルギーに関する準備や覚悟をしなくてはならないと警鐘を発するのが、本書である。
温暖化の問題は解決しなくてはならない。それは、未来世代に対する現世代の責任である。しかしその一方で、その温暖化に大きな影響をさまざまな形で与えるエネルギー問題が、より近い時間軸で迫りつつあることを本書から学んだ。われわれは、「温暖化」だけではなく、「エネルギー」も含めた二軸で今後の対策を考えていかねばならない。
温暖化ばかりを重視していては、短期的にエネルギーが入手できなくなり、経済や社会が混乱することもあり得よう。逆に、エネルギーさえ入手できればよいと考えると、炭素含有率の高い石炭などが大量に使われることになり、温暖化を悪化させてしまうだろう。最悪の場合は、エネルギーをめぐる戦争や武力侵攻、テロなどが起こり、油井に火が放たれ、ガスパイプラインが爆破され、エネルギーも入手できなくなり、温暖化もさらに悪化するという事態すら想定できる。
われわれは、社会の混乱を最小限に抑えるよう本当に必要なエネルギーを確保しつつ、将来に禍根を残す温暖化の進行を止めなくてはならない。われわれの手にある資本や時間といった対応能力は限られている。その資源や時間を、どのように配分すべきなのか? 理想を説くだけではなく、現実的にいまを見据えるからこそ未来にとっても真に役に立つ解決策を考えなくてはならない。
本書の翻訳では、翻訳者である中小路佳代子さん、ヘレンハルメ美穂さん、そして、編集者の松原梓氏に大変にお世話になった。心からのお礼を申し上げたい。
二〇〇七年十一月
枝廣淳子