つながりをたどっていけば、一見問題から遠く離れても、つながりをたどって解決策になるようなポイントを見つけることができます。システム思考では、そのポイントをレバレッジ・ポイント(Leverage Point)といいます。
レバレッジとは「てこ」のことです。レバレッジ・ポイントは、てこの作用点。てこの作用点のように小さな力で大きく動かせるポイントを見つけることができれば、大きく問題解決に向けて動かしていくことができるでしょう。
問題解決のために取り組むとしたら、いくら押しても動かない壁を相手にするのではなく、小さな力で大きく動かせるところを相手にしたいですよね! いってみれば、問題構造の「ツボ」です。ツボって、あそこじゃなく、ここでもなく、「そこ!」を押すから効くんですよねぇ、わかりますでしょ?(^^;
自分の見える範囲でしか考えていなければその中でしか解決策が見つかりませんが、つながりをたどって問題の構造全体を見ようとするなかで、このようなレバレッジ・ポイントを考えることができます。
システム思考では、レバレッジ・ポイントを探すには12の視点がある、といわれています(「100人の村」で有名になったドネラ・メドウズさんという、システム思考の第一人者がまとめた考え方です)。
その中で、私たちにとっていちばんわかりやすく、使いやすいポイントは、「情報をつなぐ」ということだと思っています。そこにある情報が、こちらにつながるだけで、システム構造が大きく変わることがあるのです。
例を紹介しましょう。米国にTRI(有害化学物質排出目録)という制度があります。1986年から毎年、「工場などは自分のところから出している有害化学物質の種類と量を報告すべし」ということになりました。近隣住民も全世界の誰でも、「この工場から何がどのくらい出ている」という情報を得ることができるようになったのです。
この制度は、有害化学物質の排出を禁止する法律でもなく、罰金制度でもありません。単に「現状はどうか」という情報を見えるようにした、ということです。
それでも、この制度が86年に始まったあと、90年には有害化学物質の排出量は40%も減ったそうです。それ以降も減り続けています。情報が明らかになったために工場の近隣住民から『出すな!』という反対運動が起こったのではなく、工場側が「減らしたい」と思ったからです。排出量トップ10位のリストに入ったある化学会社は、「リストから外れるため」だけに、90%も排出量を減らしたそうです。
この例から、「情報」が新しい「フィードバック・ループ」を作って、システムのある部分の行動を変えていることがわかります。欠けているフィードバックの流れを作ることの大切さ、情報が一つのフィードバックになることがわかります。
まえにも書きましたが、日本の森林問題について、ずいぶんまえからいろいろな現場の方と話をしたり、考えたりしてきました。大げさな言い方ですが、「日本の森林問題のレバレッジ・ポイントはどこだろう?」と考えていたのです。各地の現場ではそれぞれ一生懸命真摯に取り組んでいらっしゃる。それなのに、全体としては、悪化の方向は逆転していません。現場の努力が足りないのではない、では何が足りないのだろう? 何と何をつなげば、システム構造を変えることができるのだろう?
そう思いながら、数年活動してきたひとつの結果が、3月19日にオープンするウェブサイト「私の森jp」です。「いまつながっていない大事なつながりをつなげること」--これがこの活動の使命です。
森林問題とレバレッジ・ポイント、つながりを作るってどういうことなのか、ぜひお話しし、トークを聞いていただき、いっしょに考えていきたいと思っています。3月19日のフォーラム、まだお席がありますので、ぜひいらしてくださいな。
ヒノキがそびえ立つ森のステージで、切り株に腰掛けて、ペレットストーブなどに見守られ、木の香のなかで、トークセッションができるなんて、とてもうれしい!と思います。きっと、流れる時間も、話の内容も響きも、変わってくるんじゃないかなあと思うのです。
まえに、メールニュースでもご紹介した「ヒノキの間伐材でつくった森のマウスパッド」、今回の活動のために、特製マウスパッドとして作ってもらっています。来場者にプレゼントさせていただきますので、ぜひおうちにも森を連れて帰って下さいな。
ちなみに、このマウスパット、100枚つくると20メートルの間伐材1本を活かすことができます。木の香りがするから気持ちのよいマウスパッドです。普通のもの(だいたいは石油製品ですよね?)は、汗でべたべたしたりするのですが、森のマウスパッドは木製ですから、湿度調整をしてくれて、夏は割とひんやり感じるし、冬は暖かく感じます。パソコンで1日仕事をしていても、時々山に思いを馳せたり、木のぬくもりを感じたりできる。とっても豊かな時空を作り出してくれるマウスパッドなのです。
それから、「つながり」をできるだけ作りだせる場にしたいと思い、森林に関わる活動のチラシなどを置くスペースを用意しています。NPO・NGO、団体、企業、個人活動など、森に関わる活動であればなんでも大歓迎です。
スペースは、1人(1団体)60センチ×60センチ。
チラシ等は、事前には送れませんので、持込でお願いします。また、余った分があったら、お持ち帰り下さいね。スペースをご希望の方は、受付時にお申し込みください。(なお、強制的な配布や販売活動はできませんので、ご了承下さい)
そうそう、ステージには香りのよいヒノキのチップを敷き詰める予定です。これ、お持ち帰りいただけますので、チップを入れるマイバックをお持ちください。ヒノキの香りのお風呂はいかが?(^^;
ウェブチラシはこちらをご覧下さい。
http://www.es-inc.jp/news/img/watasinomori.pdf
お申し込みは以下のフォームをお送り下さい。お待ちしています。
======【「私の森.jp」オープン記念フォーラム】============
●開催日時:2008年3月19日(水)14:00-19:30
(受付開始13:15)
●場所:東京国際交流館 国際交流会議場 TEL:03-5520-6001
http://www.tiec.jasso.go.jp/info/map.html
(〒135-8630 東京都江東区青海2-79)
※最寄駅・新交通ゆりかもめ「船の科学館」東口より徒歩約3分
●参加費:無料(交流会も無料です)
●定員:300名
●主催:有限会社イーズ
●ファウンディング・スポンサー:東京電力株式会社
●フォーラム内容
第1部 (14:00-15:00)
開会 オープニングメッセージ
挨拶 東京電力環境部長 影山嘉宏氏
講演・プレゼンテーション 環境ジャーナリスト 枝廣淳子
「森への思い 私の森.jp」
第2部 (15:00-18:00)
トークセッション 〜森とくらしをつないで〜
製品を生活者につなぐ:オーガニックテーブル(株)代表取締役 善養寺幸子氏
製品加工の現場から:協同組合エスウッド理事長 角田惇氏
豊かな山を守り育てる:岩泉町長 伊達勝身氏
聞き手:枝廣淳子
会場との質疑応答
第3部 (18:15-19:30)
森を感じて考える交流会
森の恵みを体感しながら、出演者・参加者での交流会、森製品の企業、団体展示など
●お申し込み
以下申込書フォーマットにご記入のうえ、
申込専用e-mailアドレス: mori0319@es-inc.jp までお送りください。
件名は、【 「私の森.jp」オープン記念フォーラム 】でお願いいたします。
折り返し申込受付のご案内を自動返信メールにて送付いたします。
++++++++++++申込書+++++++++++++++
「私の森.jp」オープン記念フォーラム(2008年3月19日)
お名前(フリガナ) :
ご所属 :
メールアドレス:
備考 :
※複数名お申込される場合は、全員の参加者の「お名前(フリガナ)・
ご所属・メールアドレス」を以下にご記載下さい。
※このフォーラムをどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。
( ) a. 枝廣淳子のメールニュース(enviro-news)
( ) b. イーズからのメール ※事務局からの案内メールにて
( ) c. 弊社のウェブサイト
( ) d. 職場・知人・友人からのご紹介
( ) e. その他 ( )
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有限会社イーズ http://www.es-inc.jp/
私の森.jp 運営事務局【office@watashinomori.jp】
担当:金築(かねつき)/大井
〒156-0055 東京都世田谷区船橋1-11-12 産興ビル3F
電話:080-2903-8665
※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
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