2003年に始まった「100万人のキャンドルナイト」は、いよいよこの夏至で5年目を迎えます。
この運動が始まる最初のきっかけは、2001年に「1ヵ月に1基ずつ原子力発電所を建設する」という米ブッシュ大統領の政策に反対してカナダで始まった自主停電運動でした。
「日本でもやってみよう」と、NGOの大地を守る会の藤田さんとナマケモノ倶楽部の辻信一さんが取り組み始め、私や竹村真一さん、マエキタミヤコさんたちも仲間に入って、2003年6月22日の夏至の夜、「でんきを消して、スローな夜を」というスローガンのもと、初めての「100万人のキャンドルナイト」が行われたのでした。
http://www.candle-night.org/
呼びかけはシンプルで、「夏至の夜の8時から10時までの2時間、電気を消してロウソクの灯りの下、思い思いの時間を楽しもう」というものです。ちょっとだけでも立ち止まって、モノや情報を一時的にオフにすることで見えてくる「もう一つの時間」を味わい、「本当に大事なこと」に思いを馳せるひとつのきっかけになれば、という思いで、私も参加しています。
その後も、参加者や参加イベント数を増やしながら、毎年夏至と冬至に開催されています。2007年の夏至には、全国で東京タワーなどの大規模な施設を含む3,9845ヵ所が消灯し、812,508kWhの電力が削減されました。
そして、世界にも広がりつつあります。韓国のNGO、Korean Environmental Women's Network(KEWN)も連動してキャンドルナイトを行いましたし、台湾、オーストラリア、中国(上海)でも。そして、モーリシャスでは今年5月に3回目のキャンドルナイトを、Association Civique Midlands 、First Steps NetworkなどのNGOが主催しました。Ministry of public utilities(公共事業省)やCentral Electricity Board(中央電力局)も協力しているとのこと。夏至には、香港、台湾、韓国など、アジアの都市で消灯が予定されています。日本発のムーブメントが世界に広がっていること、とてもうれしいです。
「100万人のキャンドルナイト」が配信している英語のニュースレターも現在、64カ国に届けられ、それぞれの地域での活動や思いをつなげています。英語ページや、英語版ニュースレターの登録はこちらです。ぜひ海外のお知り合いにお伝えください〜!
http://www.candle-night.org/english/
今年は特別なキャンドルナイトとなります。夏至は6月21日なのですが、その約2週間後の7月7日には北海道でG8洞爺湖サミットが開催されます。そこで、「世界は、G8の参加国だけじゃないよね。もっとたくさんの国のたくさんの人たちの意見をキャンドルナイトを通じて発信できないだろうか」という思いから、今年のキャンドルナイトは特別に、6月21日(土・夏至)〜7月7日(月・七夕)まで開催期間を延長して、「でんきを消してスローな夜を」呼びかけます。
また、これまで毎年おこなっていた「キャンドルスケープ」を大幅にバージョンアップし、世界中からメッセージを集めると同時に、世界に発信していきます。キャンドルスケープって、ご存じですか?
世界中のだれでも、自分の住んでいる場所を画面内の地球上でクリックし、自国語または英語で短いメッセージを書き込んで発信することができるしくみです。メッセージが次々と地球から湧き起こるように表示され、国境を超えて思いがつながっていくようすがわかります。ぜひのぞいてみてくださいな。
http://feel.candle-night.org/scape/
キャンドルスケープのトップページには、「ろうそく」という言葉が20カ国語で表されています。自分の書き込みたい言語の「ろうそく」をクリックすると、その言葉でメッセージを書き込むことができます。(今年はまずこの20カ国語ですが、今後、言語数を増やしていきます)
http://www.candle-night.org/english/2008summer/candle_scape.html
私は、キャンドルナイトの幹事の中で、「海外展開」を仲間といっしょに担当しています。今年は、20ヶ国語で展開! どんなメッセージが行き交うのか、とても楽しみにしています。
でもどうやって20もの言語でのメッセージを読むの?と思われたことでしょう。そう、日本語と英語以外の言語でメッセージが入ってきたら……手伝ってあげよう!という方を募集中です〜。
以下の18言語のどれか、わかりますよ、という方、ぜひお力を貸してくださいませんか? キャンドルナイトと人々の思いを世界に広げていく活動をぜひごいっしょに〜。
ロシア・ハングル・北京・広東・イタリア・スペイン・チェコ・ドイツ・フランス・アラビア・ポルトガル・タイ・トルコ・ベトナム・ペルシャ・フィリピン(タガログ)・インドネシア・オランダ
ご関心を持っていただける方は「多言語ボランティアやります」と書いて、言語名を添えて、キャンドルナイト実行委員会海外チーム 担当/佐藤までお問合せ下さい。[E-mail: sato@es-inc.jp]
そして、みなさんもぜひ、キャンドルスケープにメッセージを送ってくださいね。日本語の投稿画面はこちらです。
http://www.candle-night.org/jp/message/
国内・海外を問わず、お知り合いにもご紹介いただければうれしいです。
最後に、自分の思いを込めて書いた「キャンドルナイトに寄せて」、よろしかったらどうぞ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
キャンドルナイトに寄せて
枝廣淳子
ロウソクは、自らを燃やして、光となり、灯りとなる。
長いロウソクもあれば、ちっちゃなロウソクもある。
元気のいい灯りもあれば、弱々しくもけなげに輝いている灯りもある。
風の中でもがんばっている灯りもある。
どのロウソクも、自らを燃やして、光となり、灯りとなっている。
最後まで燃え尽きるロウソクもあれば、途中で消えてしまうロウソクもある。
でも、どのロウソクも、燃えているその瞬間は、光であり、灯りなのだ。
人もそうなのだ。
大都市の雑踏のなかでふとたたずむとき、
見ず知らずの人たちのそれぞれの中に、それぞれのロウソクを感じる。
元気のいい灯りもあれば、弱々しい灯りもあるだろう。
長いロウソクもあれば、ちっちゃなロウソクもあるだろう。
でもみんな、生きているその瞬間は、自らを燃やして、光になっているのだ。
信号が変わり、ふと深呼吸するように一拍おいて、雑踏が揺れる。
みんな、それぞれの灯りを胸に抱いて、あちらへ、こちらへ、交差して歩いていく。
たくさんのロウソクたちが歩いていく。
自分のロウソクはいつまで燃えているのかわからないけれど、
途中で消えてしまうかもしれないけれど、
この世に生まれてきてよかったなあ、
こうして、たくさんのロウソクたちと交差しながら輝くことができてうれしいなあと思う。
私は、天からみたらそれはそれは美しいきらめき絵図の、ちっちゃな一点なのだ。
キャンドルナイトの夜――
愛おしいロウソクたちに、乾杯!