みなさま、連休特別クイズです〜。(^^;
以下は、エネルギーから投資まで、ある国の温暖化への取り組みを示したものですが、さて、この国はどこでしょうか?
・「電力源の再生可能エネルギー比率を2030年までに現行の8%から15%へ拡大する」など、強力な再生可能エネルギー目標を設定している。
・2007年度の太陽光発電システムの生産量は日本に次ぎ2位と世界屈指である。
・現在世界5位である風力発電量を拡大させており、「2020年までに100ギガワットも可能」と予測されている。
・現在の142ギガワットの水力発電量を2020年までに倍増を目指している。
・非効率な火力発電所を閉鎖し、2005年以降の新規火力発電所にはクリーン石炭発電技術を標準装備しており、火力発電所の熱交換効率30%以上改善を達成している。
・1980年以来、産業におけるエネルギー原単位を60%削減しており、2006年から2010年の間にさらに20%削減を目指している。
・2006年以来、エネルギーを大量消費する企業トップ1,000社(その総エネルギー消費量は国内産業合計の47%、国全体の37%)に対し、製品のエネルギー効率改善と業務の省エネ化を義務付けている。
・国際的に最も包括的といわれる新製品用省エネ基準・ラベル表示制度を導入し、二酸化炭素(CO2)排出量を年間1,000万トンの削減している。
・太陽熱温水器では2006年の設備容量が世界シェアの6割を占め、さらに今後年間20%の拡大が見込まれている。
・2004年以来、乗用車用燃費基準は年々引き上げられ、2008年は1リットルあたり約15.6キロメートルと米国やオーストラリアよりも厳しい。
・「エンジン排気量4リットル以上は20%、同2リットル以下は5%以下」など、排気量に応じた自動車課税制度を導入して、小型車普及を促進している。
・ガソリン車比燃費20%増の国産ハイブリッド自動車が15,000円(約240万円)と、日本車よりも低価格である(トヨタ・プリウス:輸入税25%込みで40,000ドル(約440万円))。
・「CO2排出量がガソリン自動車の10%」「安価」といった利点を持つ電気自転車の市場規模は年間60億ドルと世界最大級である。
・2005年のバイオ燃料生産量は世界第3位で、2010年までに年間総生産量を600万トン、2020年までに同1200万トンまで引き上げるという野心的な増産目標値を設定している。
・2007年の再生可能エネルギー事業投資額は120億ドルで、ドイツに次いで世界第2位、国内総生産(GDP)における割合では同国とほぼ同等である。
・再生可能エネルギー関連事業への融資優遇、中小企業による省エネ事業への融資拡大など、低炭素事業への投資を促す金融改革を実施している。
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日本よりもずっと進んでいるなあ! どこの国だろう、これは?と思われたかもしれませんね。
答えは「中国」です。
世界には中国を悪者扱いする声が多く、特に日本では「日本が一生懸命やったって、中国が何もせずにCO2を垂れ流ししていたら、意味がないじゃないか(だから自分たちは何もやらなくていい)」という声をよく聞きます。
確かに、中国のCO2排出量はとても多いですから、中国の責任と役割は大きいわけですが、多くの日本人のイメージとは違って、中国は日本以上に野心的な目標を掲げ、再生可能エネルギー等を力強く進めています。「そうしなかった場合」に比べて、膨大な量のCO2排出量を削減しているのです。(まだまだやる必要があることは言うまでもありませんが)
「中国は遅れている」「中国が足を引っぱっている」「中国は何もしていない」等々ただ批判・非難するのではなく、中国の実績や掲げている目標、その達成のための手段もしっかり見ていくべきだと思います。きっとさきほど思われたように、日本より進んでいるところもあります。日本が学ぶところだってあると思うのです。
さて、この中国に関する情報は、英国に本拠地を持つクライメート・グループが8月8日に発表した「中国ではクリーン革命が進んでいる」というレポートから得ました。
世界には、まだまだ日本に伝わっていない大事な情報やレポートがたくさんあります。今後も出てくることでしょう。
2年前に、スターン・レビューが出たとき、世界に大きな影響を与えました。私が属している国際的なメーリングリストでも、大きな議論になりました。各国の新聞での取り上げ方やさまざまな議論の展開から、その影響力の大きさを感じたのですが、日本ではそれほど取り上げられることもなく、欧米のように企業経営者たちの話題に上ることもほとんどなかったのではないかと思います。
そのとき、「世界に影響を与えているようなレポートを、日本にもちゃんと伝えたい。日本の人々にもちゃんと考えてほしい。言語の壁で日本に伝わりにくいのだろうか? 少しでも伝える役割を担いたい。私に何ができるのだろうか?」と思ったのでした。
<ホップ> 世界中で発行されているさまざまなレポートの中から、大きな影響を与えているもの、日本にとって学びがあるものを選び出す
<ステップ> 日本語で要約し、簡単にキーポイントを読めるようにする
<ジャンプ> 温暖化に関心のある方々・組織が定期的にチェックしてする場所に掲載する
という作業プロセスが必要だと考え、準備を進め、日刊温暖化新聞の中に「温暖化レポート」というコーナーを設けました。
http://daily-ondanka.com/report/index.html
このコーナーにはすでに10本のレポートがアップされています。そのリード文をご紹介します。海外のもの、国内のもの、自力で調査したもの、があります。詳細はレポートコーナーからどうぞ!
<海外レポートサマリー 一覧>
http://daily-ondanka.com/report/world_index.html
●中国のクリーン革命 ザ・クライメート・グループ(2008年8月8日)
英国に本拠を置くNGO「ザ・クライメート・グループ」は2008年8月、中国では技術革新の推進、省エネ化や再生可能エネルギーへの投資促進などにより、低炭素社会への移行が順調に進んでいるとの報告書を発表した。2007年の中国の再生可能エネルギーへの投資額は120億ドルで、国内総生産(GDP)に対する割合では世界第一位のドイツとほとんど肩を並べている。中国政府の強力な政策を受けて低炭素技術への投資需要は高まっているという。
●地球温暖化の代償――今のまま温暖化が進めば、どれだけのつけを払うことになるのか――天然資源保護評議会(2008年5月)
米国の環境NGO、天然資源保護評議会(NRDC)の研究報告によると、このまま温暖化が進めば2100年には米国では国内総生産(GDP)の3.6%に匹敵する費用が必要になるという。「スターン・レビュー」改訂版に基づき、温暖化によって米国が今後必要とする費用について、より正確で包括的な実態を示したレポート。
●2007年世界の再生可能エネルギーの現状報告書REN21(2008年2月)
パリに事務局を置く国際ネットワークREN21が2008年2月に発行した報告書によると、2007年までに世界の66カ国が再生可能エネルギー利用促進目標を掲げており、各地で再生可能エネルギーの取り組みが進められている。また、日本の再生可能エネルギー国別ランキングでは、2006年現在の既存容量で小水力が2位、太陽光発電が2位、太陽熱温水が4位となっている。
●コーポレート・ガバナンスと気候変動:金融業界セリーズ(2008年1月)
米国の環境保護団体や投資関係団体などの連合体、セリーズ(CERES)が世界の大手金融機関40社を対象として気候変動に関するガバナンス状況を調査・分析、比較したレポート。日本の金融機関3社は、総合順位で三菱UFJ(39点)の22位を最高に、三井住友(33点)が24位、みずほ(24点)が30位と「中の下」にランキングされている。
●欧州委員会より欧州議会、欧州理事会、欧州経済社会評議会、欧州地域委員会
への通達 欧州委員会(2008年1月23日)
欧州委員会が2008年1月に発行した報告書。欧州連合(EU)の掲げる温暖化対策目標(2020年までに温室効果ガスを20%削減、再生可能エネルギーを20%に増加)について、「目標達成は経済的な繁栄につながる」とその意義と必要性を説明し、排出権取引制度の改正や再生可能エネルギーの開拓など、目標達成のための有効な手段として具体的な8つのツールを紹介している。
●気候変動パフォーマンス・インデックスジャーマン・ウオッチ(2007年12月)
ドイツの環境NGO、ジャーマン・ウォッチが世界56カ国のCO2排出量や気候変動防止政策を評価・比較した2008年版レポートによると、日本は56カ国中42位。国の気候変動対策の評価が低く、2007年の39位からさらに低下した。
<国内レポートサマリー 一覧>
http://daily-ondanka.com/report/japan_index.html
●G8気候変動対策スコアカード 要約/日本編WWFインターナショナル、アリアンツ・グループ(2008年6月)
世界最大の環境NGO、WWFインターナショナルと、アリアンツは2008年6月、G8各国を対象とした気候変動対策を評価するレポートをまとめた。日本は先進国の平均値と比べて排出率が少ないものの、強制力のある削減計画がないことから評価が下がり、8か国中5位にランクされている。
●「エネルギー永続地帯」試算結果の公表について千葉大学公共研究センター、環境エネルギー政策研究所(2007年7月)
千葉大学と環境エネルギー政策研究所の共同研究によると、日本の76の市町村で、再生可能エネルギーによる発電によって、区域の民生用電力需要をすべて賄っていることがわかった。都道府県では、大分、秋田、富山、岩手の4県が、すでに、区域の民生用電力需要の20%以上を再生可能エネルギーで賄っている。
<日刊 温暖化新聞レポート>
http://daily-ondanka.com/report/ondanka_index.html
●「こうなれば、温暖化への取り組みがもっと進むのに!」(2008年5月20日)
本報告は、Enviro-News from Junko Edahiro(イーズ代表枝廣淳子発行の環境メールマガジン)No. 1453 (2008.03.16)において呼びかけたインターネット調査と、同様の設問にて一般(無差別抽出)を対象に行ったインターネット調査の結果を解析したもの。多くの人々が温暖化防止に向けて何らかの努力をしようと考え、特に「経済的なインセンティブ」「しくみ」があれば取り組みはもっと進むと考えていることがわかった。
●地方自治体の温暖化対策目標と政策に関する調査(2008年3月24日)
日本の温室効果ガス排出量は増加傾向にあり、日本として京都議定書の目標を達成するには現時点より12%以上の削減が必要である。今回の調査では、先進的な地方自治体が意欲的な短期・中長期目標を設定し、目標達成に向けた実効性の高い施策を導入しはじめていることが明らかになった。
以上です。
これからも「これは!」というレポートを見つけては、日本語でサマリーを作ってアップしていきますので、新着をときどきチェックしてみてください。
http://daily-ondanka.com/
さて、8月分のニュース一覧をお届けします。
世界中で、さまざまなレベル・分野での温暖化対策が考えられ、進められていることがわかる一方、状況が悪化していることを伝えるニュースもあります。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2008年08月01日
国連:土壌データベースで気候変動緩和と食料生産の両方に対応
2008年08月02日
国連版「クールビズ」開始
2008年08月03日
国際人権政策評議会 報告書:気候変動と人権
2008年08月04日
ノルウェーの2大音楽フェスタ 国連「気候中立のネットワーク」に参加
2008年08月05日
フィンランド、「メタン市場化パートナーシップ」に参加
2008年08月06日
報告:気候変動が米国各州にもたらすコスト、数十億ドル規模か?
2008年08月07日
欧州委員会、京都議定書以降に向けて一般から意見募集
2008年08月08日
フィリピン初のごみ最終処分場メタンガス利用発電所、稼働へ
2008年08月09日
報告書:中国、クリーン改革を解き放つ
2008年08月10日
南アフリカ共和国 気候変動政策の戦略と枠組発表
2008年08月11日
サンフランシスコ市長、全米で最も厳しいグリーン・ビルディング条例に署名
2008年08月12日
スペイン産業観光商務相、省エネ・エネルギー効率化計画を新たに発表
2008年08月13日
報告書:水素自動車、めざましく進歩するも更なる政府支援が必要
2008年08月14日
柔軟素材のナノアンテナ構造で豊富な太陽エネルギーを利用
2008年08月15日
研究報告:天然林の保護は気候変動対策に不可欠
2008年08月16日
研究報告:熱帯雨林保護への拠出、有効なCO2抑制策になる可能性あり
2008年08月17日
NY市長、インフラのための気候変動適応策作業部会を発足
2008年08月18日
気候の温暖化で異常降雨が増加:研究報告
2008年08月19日
中国、“金メダル”並みの炭素排出量増加
2008年08月20日
米国初:オレゴン州 高速道路照明を太陽光で
2008年08月21日
気候変動の脅威にさらされる先住民族
2008年08月22日
MIT研究チームの大発見で「太陽光革命」目前にl
2008年08月23日
韓国大統領、建国60周年の演説で「低炭素・グリーン成長」ビジョンを発表
2008年08月24日
研究報告:地球温暖化で壊滅的な森林火災のリスクが増加
2008年08月25日
国連 太平洋諸島の気候変動対策を支援
2008年08月26日
グーグル、地熱発電の技術開発に1,000万ドル強投資
2008年08月27日
「世界水週間」会議:世界の食料危機の根底に横たわる淡水危機と気候変動
2008年08月28日
世界の地熱発電、大幅拡大へ
2008年08月29日
ホッキョクグマ、約96キロ沖合いで発見される
2008年08月30日
研究報告:グリーンランドで巨大氷河の崩壊進む
2008年08月31日
中国:再生可能エネルギー投資先としての魅力が高まる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いうまでもありませんが、温暖化問題に関しては、先進国だけ、または途上国だけが助かるということはありえません。国際的な協調・協力のもと、みなができるだけのことをやっていかないと、みなが手遅れになってしまいます。