昨年暮れに、このようなメールをいただきました(ご快諾を得てご紹介します)
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こんにちは!はじめまして。
いつも Enviro-News を拝読させていただいています。
お忙しい枝廣さんにこのようなメールをお送りすることに、躊躇があったのですが、ご意見をきいてみたくてメールを書きました。
毎日ニュースになっている、派遣社員の切り捨て、期間雇用の切り捨て、に心を痛めているのです。この問題に関して、枝廣さんはどう感じておられますか?
私はこれは、100年に1度の経済災害だと思うのです。
台風、地震、パンデミックと同じようにこれは災害だと考えれば、もっと迅速な支援活動ができるのではないか?と思うのです。
冬休みになった学校や公民館に災害避難所の設置が可能だと思うのです。経済災害シェルターとしてすぐにでも設置が必要だと感じます。
この寒空に住む家を失い、職を失えば、命の危険にさらされます。たぶん、私が知らないだけで、すでにたくさんの方がボランティアなどで活動を開始されているのでしょうが、枝廣さんのネットワークでどのような支援活動が行われているのかメールリストに情報を載せていただければ、関心を持つ人が増えると思うのです。
幸いというか、私の住んでいる市には大きな企業がないので、職を失った人が路上で生活しているというような事態はありませんが、何か支援をせずにはいられない気持ちです。
ボランティアを募集している組織なり、募金活動をしている機関があれば情報を流していただけないでしょうか?
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何か情報をご存じの方がいらしたら教えて下さい。まとめてお伝えしたいと思います。
「経済災害」、なるほど、と思いました。
ただ、台風や地震と異なるのは、天災ではなく、人災だと思うのです。
もちろん、海外の金融危機などがきっかけになったのでしょうけど、一度のショックでこれほどもろさが露呈される、その背後には「何かあったら、職も住む場所も失い、暮らしていけなくなる人々」がたくさんいるということですよね。日本が増やしてきたはずの莫大なGDPは、日本の社会や日本の人々の暮らしや幸せを支える土台を強めるためには使われてこなかった、と言わざるを得ません。
マズローの自己実現理論を持ち出すまでもなく、「幸せ」(今年の私の大きなテーマの1つです)には、それを支える土台となる部分(必要条件)と、そのうえで、人と比べたりするのではなく、本当の意味での「幸せ」を希求し、実現していく部分があるように思います。衣食住という生命にかかわる部分の心配をしなくてもよい、という状況ではじめて、自己実現や幸せに心的・身体的エネルギーを向けることができます。
会社でも日常生活でも、何か問題が発生したら、とりあえずの「応急処置」をしたあと(しながら)、問題の再発を予防するための「是正処置」をとりますよね。応急処置は問題の症状に対するもので、是正処置は問題の構造に対するものとなります。構造を変えなければ、きっとまた同じ問題が起きてしまいますから。
「年越し派遣村」や、各地の自治体がおこなっている失職者の「短期的な臨時雇用」は、いうまでもなく、応急処置です。それをしないと、命が危ない。
でも同時に、こんなにあやうくもろくなってしまった日本の社会という構造を是正していく取り組みもしていかないと、根本的な解決はできません。
私は講演でよく、「日本の一人あたりのGDPは増え続けてきたけど、幸せを測る指標や生活幸福感の調査結果は、どんどん下がってきている」というグラフをお見せするのですが、このグラフのパターンを作り出している構造と、今回の「問題状況」を生み出した構造は、きっと同じものなのでしょう。
欧米では、定年に達したらあとは悠々自適の生活を送り、「働き続けるなんて考えられない」と聞きます。でも日本では、定年に達しても、働き続けることを望んでいない人でも、「生活が苦しくなるから」「老後が心配だから」働き続けざるをえない状況も多い。この背後にある構造も同じものでしょう。
日本の高い貯蓄熱はよく称賛されますが、「何のために貯金しているか?」と問うと、「老後のため」「家を建てるための資金」「教育資金」といった答えが上位にきます。これらは、社会保障がきちんとしていたら、個人が憂える必要のないものではないか、という意見もあります。少なくとも、ヨーロッパでは政府や
社会の担っている部分も、日本では「自己責任」とされ、それが幸せを創り出せない状況につながっているとも言えます。
講演では「ブータンのGNH(国民総幸福)」の話もします。GNHを打ち出しているからといって、ブータン政府が国民に「幸せ」を提供したり、約束したりしているわけではありません。「それぞれが幸せを追求できる条件を整える」ことを政府の仕事として約束しているのです。
昨日、GNHにもお詳しい(「本当の幸せと持続可能性」セミナーの講師として来ていただいた)草郷先生が「日本の憲法にも幸福追求権が記してあるのですよ」とおっしゃっていました。あ、ほんとだ。
日本国憲法 第十三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
「持続可能な社会」とは、
(1)地球の限界の範囲内で営まれる社会であり
(2)本当の幸せをつくり出す社会
だと思っています。この2つはクルマの両輪で、両方とも必要です。
これまでは主に(1)に関係する分野で活動してきましたが、少しずつ(2)に関わる勉強や取り組みも始めつつあります。昨年夏の「本当の幸せと持続可能性を考える連続セミナー」も、秋のブータン出張もその一環です。
(あ、まだブータンレポートを出していません、、、メールニュースでも体験記・感じたことなどを出す予定ですが、2月に出る日経エコロジーにも、写真と簡潔なレポートがでますので、よろしかったらごらんください)
システム思考では、氷山の一角のように、目に見えている出来事に一喜一憂、右往左往するのではなく、見えなくても海面下にある氷塊のように、その症状をつくり出している問題構造に目を向け、構造を変えることで、パターンを変え、出来事を変えていくことを教えます。
そういう意味で、「なぜ日本社会がこんなふうになっちゃったのか」という構造をわかりやすく見せてくれるおふたりの本をお薦めします。どれも新書で読みやすいです。
『持続可能な福祉社会』(広井良典 著)
この本は、前書で展開した部分を土台にしているところもあるので、可能でしたら、こちらの本を読んで、それからお読みになるといっそう理解が深まると思います。
『定常型社会―新しい「豊かさ」の構想』(広井良典 著)
それから、
『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』(湯浅 誠 著)
そして、これらの本の著者でもある、広井先生、湯浅さん、GNH研究所の平山さんをお迎えして2月に開催する「本当の幸せと持続可能性を考える」連続セミナーを、とても楽しみにしています。どのような学びや気づきが得られるか、それをどのように自分たちの活動につなげていけるか。
よろしければぜひいっしょに学び、考えていきませんか。予定が入っていて参加できない回は、代わりの方にご参加いただいてもよいですし、音声ファイルと資料をお送りすることもできます。遠方の方も、通信受講していただくことができます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■「本当の幸せと持続可能性を考える」連続講座その2(全4回)
○日時:2月6日(金)/13日(金)/20日(金)/27日(金)
いずれも18:00開場、18:15〜20:45(予定)
○会場:こどもの城 906研修室
(JR渋谷駅徒歩8分、メトロ表参道駅徒歩7分)
○講師:
2月6日(金) 広井良典氏(千葉大学法経学部教授)
2月13日(金) 平山修一氏(GNH研究所)
2月20日(金) 枝廣淳子
2月27日(金) 湯浅誠氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長
反貧困ネットワーク事務局長)
○ファシリテーター:枝廣淳子
○定員:約50名
○料金:30,000円(全4回分)
※4回一括のみの受付となります。ご都合のつかない回は代わりの方にご出席いただけます。
○通信会員
遠隔のため、または時間的に来場できないがぜひ話を聞きたい!という方に、当日の音声ファイルと資料をお送りします(料金は同じです)。
○お申込み
電子メールでお申込ください。件名に「本当の幸せと持続可能性を考える」連続講座申込と書いて、以下の申込書をinfo@es-inc.jp までお送り下さい。(通信会員ご希望の方は、備考欄に「通信会員希望」とお書きください)折り返し、受講費のお支払い方法のご案内を自動返信メールにて送信いたします。
受講費のお支払をもって正式受付とし、受講票を電子メールでお送りいたします。
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■「本当の幸せと持続可能性を考える」連続講座その2(全4回)
参加申込書
ご氏名 [ ]
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メールアドレス [ ]
連絡先電話番号 [ ]
備 考 [ ]
※この講座をどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。
( ) a. 枝廣淳子のメールニュース(enviro-news)
( ) b. 職場・知人・友人からのご紹介
( ) c. イーズのウェブサイト
( ) d. その他 ( )
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※お申込後、数日たちましても受付票が届かない場合は、メール送受信のトラブルの可能性がございますので、その際は info@es-inc.jpもしくは電話03-5426-1128までお問い合わせください
○お問合せ:
有限会社イーズ 担当 飯田
E-mail:info@es-inc.jp/電話:03-5426-1128
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ご案内ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この大事なときに、この大事なテーマについて学び、考えていけることをうれしく思っています。ぜひごいっしょに! お待ちしています。
※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
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