前号で予告した「固定価格買取制度」についてはいくつか確認中なので、追ってお届けしますね。
「2月はあっという間に過ぎていった」と言おうと思ったら、3月の第1週ももう終わっちゃたんですね〜。(^^;
日刊 温暖化新聞の2月の記事一覧を下につけます。見出しを見ているだけでも、いろいろな動きがわかります。
毎日休みなく、世界中から情報を集めて選び、日本語で紹介していくのはけっこうな作業量になります。日本では「情報はタダだ」と思われがちなので、なかなか支援が得られず苦しい場面もありますが、スタッフ一同がんばっています〜。
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私たちの主催するセミナーやフォーラムに優待参加していただけるなどの特典もあります。追ってご案内しますが、4月にはデニス・メドウズ氏をお招きしてのフォーラムを開催します。この会へも個人サポーターの方は優待価格でご参加いただけます。
政府が本来すべき「税金で徴収したお金を社会のために再分配する機能」を放棄して国民に1万2千円ずつ戻すというのですから、一人ひとりが自分の考えや思いで「社会のために再配分」するチャンスだと思っています。「日刊 温暖化新聞」への寄付でなくてもよいですが(あ、もらえたらとってもうれしいです!)、せっかくの定額給付金、そのように使っていけたらと思います。
2月の記事一覧のまえに、「日刊 温暖化新聞」の「あの人の温暖化論考」から、向山塗料の向山さんの論考をお届けします。バックキャスティングで力強く進んでいく企業のようすに励まされる思いがします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2050年では遅すぎる -10年後に二酸化炭素半減を目指す向山塗料の挑戦
向山 邦史(向山塗料株式会社相談役)
http://daily-ondanka.com/thoughts/mky_01.html
2050年では遅すぎる
地球温暖化の一番の原因は、大気中の二酸化炭素の増大だと言われている。
現在、世界が排出している二酸化炭素は72億炭素トン。一方、地球が吸収できるのは31億炭素トン。これだけを見てもとてもありえない数字で、このままいけば地球環境の永続などできないことは明らかだ。地球環境の安定化をはかるためにも、国レベルで早急に本格的な対応をする必要性が迫っているが、そうした動きが見られないことに危機感を覚えている。
今年7月に行われた洞爺湖サミットも鳴り物入りで開催されたが、世界の主要国首脳が集まって議論しながらも重要なことは何も決まらなかった。早く決断し実行することが急務だが、決めること自体ができないでいる。日本も「2050年に60〜80%削減する」との目標を打ち出したが、現在の危機的な状況を考えれば2050年では遅すぎる。このままでは、その前に地球の限界が来てしまうだろう。
ミヒャエル・エンデが「歴史に学ぶものなら誰でもわかるように、理性が人を動かさない場合には、実際の出来事が、それを行うのです。」と言っているように、行動が遅れれば遅れるほど事実のほうが先に動いてしまい、取り返しのつかないことになってしまう。
2018年までに二酸化炭素50%削減宣言
向山塗料株式会社(本社:山梨県甲府市)は2008年7月、10年後の2018年に二酸化炭素2003年比50%削減を宣言した。2003年の時点でかなりの量の二酸化炭素を削減していることもあり今回の目標は大きなチャレンジだが、難しいことほど大きく宣言し、バックキャスティングであるべき姿を設定して進んでいくしかない。できることを積み上げていくフォアキャストでは大きなことは達成できないだろう。実際、可能性を分析し計算してみても実現不可能な数字ではない。おそらく4、5年で50%削減できるだろう。
具体的には、まず主要な二酸化炭素排出源である自動車の燃料をSVO(ストレートベジタブルオイル)に切り替えることで削減する。紙、ゴミ、電気を減らしても、ある程度限度があるが、自動車の燃料を変えることでかなり減らすことができる。これまでにも、廃てんぷら油を再生利用するバイオディーゼル燃料(BDF)を導入して2007年には二酸化炭素25トン削減(2003年比27%減)してきたが、今後は廃てんぷら油を加工なしで燃料として利用できるSVOを導入し、2年後にはディーゼル車4台をすべてSVO対応とする予定だ。
また太陽光発電の規模を現在の10キロワットから拡大し、今後4年間にわたり毎年5キロワットずつ増設する予定だ。最終的にはエネルギーの自給自足から売電への移行を目指している。
省エネには随分前から取り組んでおり、オフィスの照明のひとつひとつにひもをとりつけて不要な照明を消したり、夏場のクーラーを切るなどして、7割くらい削減している。また自動車の運転時にも、赤信号でエンジンを切れば燃費を1割は下げることができる。そうした小まめな工夫で簡単に削減できる。
また本業の塗料販売でも、熱を遮断する遮熱塗料や環境にやさしい木工用の塗料、さらにBDFやSVOの販売なども予定している。今後は社内の環境負荷削減にとどまらず、社会全体の二酸化炭素削減にも貢献していきたい。
小さな会社ができることには限界もあるが、やればできるということを示したいと思っている。
本当の幸せとは
地球温暖化とは、人間の欲望を満足させるために経済を発展させればさせるほど進んでしまうものだと思う。そうなると、幸せとは何か、何のために生きているのかということがわからなくなってくる。私たち人間は、幸せになるために生きているのだとしたら、地球環境が安定していなければ、誰も幸せになれないということに気づく。
「大量生産、大量消費、大量廃棄」を繰り返し、有限の地球で無限の成長を追い求めている現在の経済や社会のあり方を問い直すことが求められているといえるだろう。
私は25年前に会社を継ぎ、当初は上場を目指して会社を経営してきた。しかし状況は厳しく、自分も社員も幸せにはなれなかった。「何を目的として生きるのか?」「何を目的として会社を運営するのか?」と模索し悩んだ末、1995年に「マイナス成長宣言」を出し、計画的に毎年売上を削減することで大量販売路線に決別した。
モデルにするのは、ブータンの「GNH(グロス・ナショナル・ハピネス=国民総幸福)」。国の豊かさを経済成長ではなく、国民の幸福度で測る指標だ。
会社を経営するうえで最終的に大事なのは、自分や社員にとって納得できる生き方ができること。GNHならぬGCH(グロス・カンパニー・ハピネス)で、社員の幸せも満足させるような経営を模索する一方で、会社を経営する以上はお客様に満足していただけることをすることを大切にやってきたら社員も幸せになり、さらにお客様のためにやるようになるというよい循環ができてきた。
一方で、「いくらもうけても、地球を住めない星にしてしまったら意味がない」との思いから、地球環境に配慮した企業活動を重視するようになった。
わが社の最終的な判断基準は「それは子孫にとって良いことですか?」。最低でも地球環境が今くらいの状態にないと、自分自身も幸せになれないし、子孫たちも幸せになれない。地球環境を大事にしながらやる以外に、自分や社員が安心できない。
地球環境を健康に保ちながら、自分達も幸せになるために、1997年にISO14001を取得した。まだ専門のコンサルタントも育っていない頃の早い段階でISOを取得したため、「地球環境とは?」「ISOの仕組みって?」というところからスタートし、自分たちで勉強しながら苦労して取り組んだことで、深いところで理解できた。環境をやると経営にもよいことが腑に落ち、全社員が納得しながら動いている。
二酸化炭素半減は可能だ
現在私たちが直面している3つの危機(エネルギー、食糧、資本主義の危機)は、危機でもあるが、同時にチャンスでもある。米国がハリケーン・カトリーナの被害によって温暖化の危機に目覚めたように、私たちも何か被害が出ないと危機の実感がわかないのかもしれない。しかし、実際に何か危機が起きたときに気づくのでは遅すぎる。いま行動しなければ状況は悪くなるばかりだ。行動しない限り変わらないのだったら、行動しよう。
ブータンのようにGNHの考え方で、エネルギー危機や食糧危機にも強い、自給自足型の経済・社会を目指そう。
自分個人の力は小さいし、わが社も小さな力だが、地球環境そのものをこれ以上悪くさせないようにするために、自分たちがまず大量生産・大量販売というところから変えていくしかないと思っている。小さな企業でも「二酸化炭素半減」はやればできる。大企業も本気でやればできるはずだ。地球環境を何とかするためには、まず一人からでも動くしか方法がない。今なら私たちは行動し、変えることができるのだ。
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