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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年03月09日

経産省の固定価格買取制度導入決定に対するNGOなどのプレスリリース(2009.03.09)

エネルギー危機
 

今回の経産省の「固定価格買取制度を始める」という発表に対して、NGOなどからプレスリリースが出されています。主なものを3つ、ご紹介しましょう。

「自分がマイ・プレスリリースを書くとしたら、どういうポイントを打ち出したいだろうか?」とぜひ考えてみて下さい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

プレス・リリース
太陽光発電の余剰電力買い取り制度化について

2009.2.27. Fri.

特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
所長 飯田 哲也 (いいだ てつなり)


2 月24 日に二階経済産業大臣が表明した表題の制度は、日本の自然エネルギー制度が事実上の固定価格制に一歩踏み出したものであり、歓迎の意を表明したい。


2000 年にドイツが導入した自然エネルギーの固定価格制度は、風力発電を筆頭に、太陽光発電など他の自然エネルギーでも著しい普及効果を発揮し、日本が世界をリードしてきた太陽光発電の市場でも、2004 年に単年度でドイツに追い越され、累積でも2005 年に追い越されて以来、今日では大きく水を空けられてきたところである。

昨年来の福田ビジョンや自民党温暖化対策本部の答申、先日の環境省再生可能エネルギー普及検討会の報告など、自然エネルギー政策でドイツ型の固定価格制を求める声が大きくなる中、従来、固定枠(RPS)制度を優先してきた政府としては、一歩踏み出したものといえる。

ただし、24 日の二階経済産業相の発言内容を見る限り、まだ課題は残る。第1に、今回の支援内容が誘因策としては十分には見えず、普及効果が乏しい可能性が予見されること、第2に、今回の発表は太陽光発電への支援に限られており、他の自然エネルギーに対する経済支援策も併せて検討が求められること、第3に、経済的な支援策の他に系統の問題をはじめとして非経済的な障壁が多々あり、制度として改善すべき重要な点があるため、引き続き普及のための政策作りを期待したい。

また、今後の具体的な支援策の検討にあたっては、環境省や東京都、われわれ環境エネルギー政策研究所など、すでにさまざまな提案が先行して行われていることを考えれば、検討を一省庁に閉じることなく、幅広い知見を集めたオープンな検討によって幅広く国民的な議論を通じて進めていくことを望みたい。


連絡先: 特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
〒164-0001 東京都中野区中野4-7-3
TEL: 03-5318-3331 FAX: 03-3319-0330
E-mail:info01@isep.or.jp
URL: http://www.isep.or.jp/
担当者: 山下紀明

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PRESS RELEASE 
2009年3月2日
〜経済産業省の「日本型買取制度」についての見解〜
再生可能エネルギー大幅普及の仕組みにはほど遠い             
                

浅岡美恵 気候ネットワーク代表

経済産業省は2月24日、太陽光発電について、電力事業者に余剰電力について 10年程度、現状の2倍程度で買い取りを義務づけるという、日本独特の体系による買取制度の導入を発表した。また、エネルギー供給事業者による非化石エネルギーの利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案(仮称)の中で、経済産業大臣による事業者の「判断の基準」となるべき事項として定める方針も明らかになった。これは、これまで低い目標数値の下で RPS方式に固執してきたために日本の再生可能エネルギー導入政策が大きく遅れてきたことに批判が強まる中、修正を余儀なくされた結果である。

しかし、この「日本型買取制度」は、日本の低炭素社会経済の実現のため求められる再生可能エネルギーの大幅導入策とは呼べない、不十分なものである。

第1に、経済産業大臣が定める「判断基準」によって電力事業者の買取義務の実体が定められるという法構造は、国民参加の下に再生可能エネルギーの飛躍的拡大を図る目的に反するものであり、電気事業者の買取義務づけという性格上の適正な措置とはいえない。

NGOはドイツなどで実績をあげている発電電力の長期間固定価格買取制度を踏まえた提案をしてきたところであり、MAKE the RULEキャンペーンにおいても、この仕組みの導入を中長期の大幅削減の目標達成のための重要な政策として位置づけた気候保護法の提案をしている。先般、環境省からも、再生可能エネルギー拡大への買取制度導入提案が出されている。

まず制度設計において、政府全体での連携のもとに、国民に開かれた場において、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大し、経済再生にも貢献する仕組みを構築し、国民がその是非を判断できる具体的制度を盛り込んだ法案を国会で審議し、制定後の適切な運用を図ることが不可欠である。

第2に、今回の日本型買取制度提案は、再生可能エネルギー供給を柱に据えるための制度にはほど遠い。太陽光発電のみが対象で、風力やバイオマスなどの海外での再生可能エネルギー拡大の中核をなす他の再生可能エネルギーは含まれていない。また、太陽光発電についても自家消費の余剰電力についてのみであり、期間も10年に限って現状の2倍程度の価格で買い取るもので、それも将来的に逓減させるという。

ドイツなどでの普及の飛躍的拡大に成功した要因は、設置者が10年程度で十分に投資を回収できる目途が経っている仕組みであるからである。自家消費量は家庭の省エネ努力というより世帯の事情によって異なる上、仮に発電量の半分が買取対象となるとしても3kW程度の設備では10年程度で到底投資回収ができないことは争いがない。ドイツの買取価格逓減制度は、十分な早期の投資回収を確保したうえで、早期の導入を誘引する仕組みである。

以上の通り、今回、経済産業省が発表した「日本型買取制度」は、再生可能エネルギーの飛躍的普及拡大のための固定価格買取制度と評価することはできない。真に実効性のある再生可能エネルギーの大幅普及政策として、①発電電力の全量買取を電力会社に義務づけ、②買取価格は10年程度で減価償却できる価格設定とし、③RPS制度を撤廃して、太陽光発電だけでなく全ての再生可能エネルギーに
対して実施することを確保するべきである。私たちは引き続き、MAKE the RULEキャンペーンを通じ、実効性ある政策の早期導入を強く求めていく。


問合せ:気候ネットワーク
[京都]TEL:075-254-1011、FAX:075-254-1012 E-mail: kyoto@kikonet.org

[東京]TEL:03-3263-9210、FAX:03-3263-9463 E-mail: tokyo@kikonet.org

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太陽光発電についての買取制度導入に関する日弁連コメント
2009年(平成21年)3月6日
日本弁護士連合会

経済産業省は2009年2月24日、家庭などでの太陽光発電による余剰電力を、一定価格で電力会社が買い取ることを義務づける「日本型買取制度」を導入し、来年からの実施を目指すと発表した。これまでは電力会社が自主的に、通常の電気料金と同じ1キロワット時24円程度で太陽光発電による余剰電力を買い取っていたが、今般、これを約2倍の価格で10年程度買い取ることを義務づけるというものである。

開会中の第171回通常国会に提出予定である「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案」において、経済産業大臣による事業者の判断の基準となるべき事項を作成し告示するとの措置が予定されている。

固定枠制(RPS)に固執し、固定価格買取制度に消極的であった政府が、部分的にではあるが、この制度を導入する方針に転換したことは評価したい。

しかし、「日本型買取制度」とされる本制度は、以下に述べるとおり、再生可能エネルギーの飛躍的な拡大を通して地球温暖化を防止し、経済の再生を図る制度としては不十分であるといわざるを得ない。

対象が太陽光エネルギーだけに限定されており、風力やバイオマスなど他の再生可能エネルギーに適用されない。この制度のパイオニアとされるドイツでも最も効果を上げたのは風力発電の急速な導入であった。適用対象を再生可能エネルギー全体に拡大するべきである。

買取の対象がこれまでと同様に自家消費分を除いた余剰電力分に限定されており、買取期間も10年間に限定されている。しかも、将来設置分については買取価格をさらに低減させる予定としている。このような買取制度が再生可能エネルギーを大幅に普及させる政策となりうるか疑問である。ドイツにおいて再生可能エネルギーが飛躍的に拡大した最大の要因は、20年にわたる買取を保証し投資の回収を確実にしたことにあった。より高い水準の価額による買取を20年間は保証すべきである。

買取の義務付けと消費者への負担の転嫁は、国民の権利義務にかかわる事柄であり、その対象再生可能エネルギー発電電力の種類、買取価格、買取期間などを、経済産業大臣が判断基準として告示する等の方式に委ねることは不適切である。再生可能エネルギーの買取制度については、国民から広く意見を募ったうえで真に再生可能エネルギーの飛躍的拡大につながる制度を設計し、法律において買取制度の具体的な内容を明確に定めるべきである。

(以上)

 

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