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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年03月15日

レスター・ブラウン氏「人類文明を救うために:あなたと私にできること」(2009.03.14)

 

ホワイトデーの今日、環境問題に心を痛めているすべての男性・女性へのプレゼントです。

レスター・ブラウン氏の『プランB3.0』より、「人類文明を救うために:あなたと私にできること」を実践和訳チームの翻訳でお届けします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

人類文明を救うために:あなたと私にできること
http://www.earthpolicy.org/Books/Seg/PB3ch13_ss7.htm

レスター・R・ブラウン

さまざまな国で講演をしていると、よく出くわす質問がある。その一つが「世界が直面している環境問題に、私たちは対処できるのか?」というものだ。「私たちは、経済の衰退と文明の崩壊を避けることができるのだろうか?」

私は決まってこう答える。「それはあなたと私次第です。あなたと私が、この流れを変えるためにとる行動にかかっています」。つまり、政治に積極的に関わろうと。文明を救う活動は、スポーツ観戦とは違うのだから。

私たちはこの新しい世界に、とても速いスピードで移行してきた。だから、今起きていることの意味を、まだ完全には理解していない。昔から、子供たちには、できる限り最良の医療と教育を受けさせたいと考えてきた。しかし今、私たちが、地球環境の悪化を食い止め、貧困をなくし、人口を安定させるために行動しなければ、子供たちの世界は経済的に衰退し、政治的にも崩壊してしまうだろう。

最優先すべき政策課題は二つある。税制を再構築することと、財政支出の優先順位を見直すことだ。文明を救う活動とは、市場において環境の価値が反映されるよう、税制を改革することである。そして、プランBに必要な財源が確保できるよう、財政支出の優先順位を見直すことだ。

公正な市場を作るためには、税制の再構築が不可欠であることを、自分たちが選んだ議員に、手紙で、電話で、メールで伝えよう。環境コストを負担しない企業は、短期的にはうまくいっているように見えても、長期的には崩壊するだけだということを、議員に認識してもらおう。

できれば、同じ考えを持つ何人かの友人を集め、なぜ環境税を引き上げ、所得税を引き下げる必要があるのかを、自分たちが選んだ議員と話し合おう。議論する前に、自分たちの懸案事項と必要な政治的イニシアティブを、簡単にまとめて下書きしておこう。税制の再構築に関する情報は、アースポリシー研究所のウェブサイトwww.earthpolicy.org、『プランB3.0:人類文明を救うために』第13章に掲載されている。自由にダウンロードして、利用してほしい。

文明の将来が問題だというのに、世界では今、年間1兆ドル(約100兆円)以上もの軍事費が使われている。それが現実離れしていることを議員たちに分かってもらおう。そしてこう訊ねよう。「貧困の解消、人口の安定化、そして地球の回復のために、新たに年間1,900億ドル(約19兆円)の予算をプランBに注ぎ込むことが、文明を救う上で無駄なことなのか?」と。

さらに「世界全体の軍事予算の1/6を文明救済のために振り向けることが、それほど高くつくことなのか?」と。彼らにプランBの話をしよう。その際、第二次世界大戦のときに、我々がどのように動員されたかということも、彼らに思い出してもらおう。

国際支援プログラムに、貧困の解消、家族計画、森林再生、再生可能エネルギーの開発を、テーマとして組み入れることを提言しよう。そして、これらに対する予算を増やし、軍事予算を削ることを強く要請しよう。

どんなに新しい軍事システムを構築しても、人類の安全を脅かす新たな脅威に対しては無力なことを指摘するのだ。誰かが子どもたちや孫たちのことを代弁しなければならない。彼らがこれから迎える世界こそが危険に曝されていくのだから。

要するに、プランBに盛り込まれている変革に力を貸してもらうよう、私たちは自分たちが選んだ議員や国の指導者たちを説得しなければならない。「私たちや子供たちの未来はこのプランBにかかっています」、と言わんばかりに、こうした変革の必要性を彼らに訴える必要があるのだ。実際その通りなのだから。

あなた自身も環境問題について学んでみよう。もしこの『プランB3.0:人類文明を救うために』がためになると思うなら、ほかの人にも薦めよう。アースポリシー研究所のサイトからでも無料でダウンロードできる。

また同じように環境問題を抱えていた古代文明に何が起こったかを知りたいのなら、ジャレド・ダイアモンドの『文明崩壊』か、ロナルド・ライトの『暴走する文明』を読むのがよいだろう。

もし書くことが好きなら、地元の新聞社に意見を投稿してみよう。環境破壊を招く活動については税金を引き上げ、その分所得税を下げる必要があると主張するのだ。編集者に手紙を書いてみよう。また、あなたの持っているメールアドレスをひとまとめのリストにしておこう。それは友人や同僚、そして地元のオピニオンリーダーたちと有益な情報を交換するのに役に立つ。

今私たちが直面している課題は、規模もその緊急度合いも前代未聞だが、決して対策が取れないわけではない。手は打てるのだ。経済が衰退への道をたどっているこの世界を、経済が持続可能な形で発展する道へと軌道修正させるために、自分は何をしたいのか?

まずは腰を落ち着け、そのやりたいことについて綿密に計画を立て、タイムテーブルを組み立ててみよう。あなた自身の目標を立てよう。地域社会の中で、その目標を達成するのに一緒に協力し合える人を見つけよう。

そしてあなたがこれだと思うテーマを一つ選択する。税制の再構築、効率の悪い電球の廃止、石炭火力発電所の段階的な廃止、あなたの住む町の歩行者や自転車に優しい道路を目指す「完ぺきな道(コンプリート・ストリート)」の活動への参加。これ以上にエキサイティングでやりがいのある仕事がほかにあるだろうか。

選ぶのは私たち――つまりあなたであり、私である。旧来の方法を踏襲し、経済を支える自然の維持システムを破壊し続け、ついには自滅にいたる経済に執着することもできる。

一方で、プランBを受け入れ、自らが方向転換させる世代となって、息の長い進歩を続ける世界へと導くこともできるのだ。選択するのは、私たちの世代だ。しかし、その決断は今後、地球上に現れるあらゆる生命に影響を及ぼすことになるだろう。

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出典:レスター・R・ブラウン著『プランB3.0:人類文明を救うために』(PlanB 3.0: Mobilizing to Save Civilization)第13章「新しい未来を築くために手をたずさえよう」2008年、W.W.ノートン社(ニューヨーク)より刊行。以下のサイトより、無料ダウンロードもしくは書籍の購入可。
www.earthpolicy.org/Books/PB3/index.htm.

次回のアースポリシー研究所のリリースでは、人々が世界中にプランBのメッセージを広めるために繰り広げている、さまざまな、勇気を奮い立たせてくれるような活動の中から、いくつかお届けします、お楽しみに。


(翻訳:角田一恵、酒井靖一、長谷川浩代)

 

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