<内容>
■ [No.1680] 「ピークオイルは予想より早くやってくる!」へのメール
■今のままでは、石油がなくなると食べ物も食卓に並ばなくなる?
■実践和訳チームについて
■ウェブ制作のグラム・デザイン、新メンバーを募集しています
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■ [No.1680] 「ピークオイルは予想より早くやってくる!」へのメール
メールをいただきました。ご快諾をいただいたので、ご紹介します。私たちにとって便利さの向上と考えられていることが、現場では何をもたらしているのか、思いを馳せるひとつのきっかけになれば、と思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こういった内容のメールを頂くと危機感が増してきます。石油は無くなるまで使い切ってしまっては大変なことになるので、政府に一日も早く手を打って頂くようお願いしたい気持ちです。
このメールが政府関係者の何%の方に届いているか分かりませんが、環境問題だけを扱う人が知っていても政策には結びついていかないと思うので、政府/マスコミへどんどん発信して、脱石油への流れを変えて行って欲しいです。
私は食品工場に勤めていますが、生産アイテムのデザイン変更、流通企業からのアイテムカット、また機械の運転調整で日々大量の包材が廃棄されています。(包装材料は石油製品です)
内容量(g)は小さくなるばかりで、使い切りパックと称して製品1個当たりの包装材料の消費量は増えています。
脱石油とは全く逆の方向に進んでいます。
こういった商品が売れるのも、「ピークオイル」という言葉、危機感が全くない日本だからだと思います。
大量消費する包装材料の山を見て(=食べ終わったらゴミ)、何とかならないものかと頭を悩ましていますが、我々にできることは、効率よく機械を運転し1パックの包装材料を減らすのが関の山。
脱石油の流れが浸透し、消費者の考え方、消費のあり方が変われば包装材料の使用量は急速に減ってくると思います。
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■今のままでは、石油がなくなると食べ物も食卓に並ばなくなる?
ぴったりの記事が、アースポリシー研究所から届いていました。実践和訳チームが訳してくれたので、お届けします。
「私たちの食べ物はどれほどの石油をつぎ込んでつくっているのか?」
http://www.earthpolicy.org/Books/Seg/PB3ch02_ss3.htm
レスター・R・ブラウン
今日の石油を基盤とする文明は、生産量がじきに減少するであろう資源に全面的に依存するものである。1981年以降、石油の採掘量は、新たに発見される量を上回っており、その差はますます広がっている。2008年には、世界で採掘された石油は310億バレルだったのに対し、新たに発見された石油は90億バレルに満たなかった。世界の在来型石油(訳注:従来型の液体の石油)の埋蔵量は、年々急激な勢いで減少している。
これまでに発見された在来型石油の埋蔵量は全体でざっと2兆バレル、そのうちこれまでに採掘されたのは1兆バレルで、残り半分はまだ採掘されていない。だが、この数字を見るだけでは、大事な点を見落としてしまう。
安全保障の専門家であるマイケル・クレア氏が指摘するように、すでに採掘済みの1兆バレルの石油は扱いやすいものだった。すなわち「海岸や海岸近くで発見された石油、地表近くの大きな埋蔵地に集まっていた石油、そして、友好的で安全、かつ採掘が歓迎される場所で生産された石油」だ。
だが、残る1兆バレルは、クレア氏によれば、扱いにくい石油である。「沖合から遠く離れた場所や地下深くに眠っている石油、小規模で発見が難しい埋蔵地に点在する石油、そして、非友好的で、政治的にも不安定な場所や危険な場所で手に入れなくてはならない石油」だ。
このように石油生産量が頭打ちになるという見通しは、世界の食料安全保障に直接的な影響をもたらす。なぜなら、現代の農業は化石燃料の使用に大きく依存しているからだ。
たいていのトラクターはガソリンやディーゼル燃料を使用するし、灌漑用のポンプはディーゼル燃料や天然ガス、石炭火力発電による電力を利用する。また、肥料の生産にもエネルギーは大量に使われる。窒素肥料を構成する基本的なアンモニア成分の合成には天然ガスが使われるし、リンやカリウムの採掘、製造、輸出入はすべて石油に依存している。
農業の石油への依存度は、効率化によって減らすことができる。米国では、農業で直接消費するガソリンとディーゼル燃料の合計が、史上最高だった1973年の291億リットルから、2005年の約159億リットルへと45%減少した。ざっと計算すると、1トンの穀物を生産するのに使われる燃料が驚くことに、1973年の約125リットルから2005年には約45リットルへと、64%も減少したのである。
こうした成功の理由の一つは、米国の耕作地のおよそ2/5で、耕す回数を最小限に抑える最小耕うん法や、全く耕さない不耕起栽培への転換が行われたことである。
ところが、農業における燃料の消費量は、米国では減少してきているものの、多くの途上国では増加しつつある。なぜなら、これらの国々では役畜からトラクターへの切り替えが続いているからだ。例えば中国では、一世代前は耕作地を耕すのにもっぱら役畜を利用していたが、現在は、耕起作業の大半にトラクターを使っている。
米国では、肥料が農業のエネルギー消費量の20%を占める。世界全体では、この数字はもう少し大きくなるかもしれない。世界の都市化が進むにつれて、肥料への需要も高まる。人々が農村部から都市部へ移住するにつれて、人の排せつ物に含まれる栄養分を土壌に戻して再循環させることが難しくなるため、肥料をより多く使う必要があるのだ。
さらに、食料の貿易が全世界へ広がることによって、生産者と消費者との距離が何千キロも隔てられ、栄養素の循環がますます分断される可能性がある。例えば、米国は年間約8,000万トンの穀物を輸出しているが、穀物には、植物の基本栄養素である窒素、リン、カリウムが大量に含まれている。これらの栄養素の輸出が続けば、栄養素を補わない限り、米国の耕地に本来備わっている肥沃さは徐々に失われていくだろう。
もう一つの大きなエネルギー消費源が、灌漑である。地下水位の低下に伴い、世界各地で灌漑にこれまでよりも多くのエネルギーが必要とされている。米国では、農業で消費するエネルギーの19%近くが揚水に使われている。
地下水位の低下が進んでいるインドでは、総電力の半分以上を井戸から水をくみ上げるために使う州もある。不耕起栽培への転換などの流れによって、農業の石油集約度は低下しつつあるが、肥料の使用量の増加や農業の機械化の広がり、地下水位の低下が、これとは反対の作用をもたらしている。
農場でのエネルギー消費量に注目が集まることが多いが、米国食料システムのエネルギー消費量全体に占める農業の割合は1/5にすぎない。残りは、食料の輸送や加工、包装、販売、家庭での調理が占めている。米国の食料経済は、英国経済全体と同じくらいのエネルギーを消費しているのだ。
食料システムで使われるエネルギーの14%が、商品を農家から消費者に届けるのに使われる。これは食料生産に使われるエネルギーの2/3に相当する。また、食料システムで消費されるエネルギーのおよそ16%は、食品の缶詰めや冷凍、乾燥――冷凍濃縮オレンジジュースから豆の缶詰まであらゆるもの――に使われる。
小麦などの主食は、例えば米国から欧州までのように、昔から船で長距離輸送されていた。最近では、新鮮な果物や野菜が遠路はるばる空路で運ばれている。これほどエネルギー集約度の高い経済活動はほとんどない。
石油の安値を背景にフードマイレージ、すなわち、食料が生産者から消費者に届くまでの距離は伸びてきた。ワシントンD.C.の中心部にある、私の研究所に程近いスーパーマーケットで冬に店頭に並ぶ新鮮なブドウは、たいてい約8,000キロも離れたチリから空路で運ばれてくるものだ。
ごく日常的に行われている生鮮食品の長距離輸送の一つに、カリフォルニア州から人口密度の高い米国東海岸への輸送が挙げられる。こうした食品のほとんどは冷蔵・冷凍トラックで運ばれる。ある著述家は、食品の長距離輸送の将来を考える中で「およそ5,000キロも離れた所からシーザーサラダが運ばれてくるような日々は、そう長くは続かないかもしれない」と指摘している。
包装にも驚くほど多くのエネルギーが使われており、食料システム全体のエネルギー消費量に占める割合は7%である。包装に投入されるエネルギーの量が、中身の食品に使われるエネルギーの量を上回るのは珍しくない。包装や販売が、加工食品のコストの大半を占める場合もある。
米国の場合、農家の収入となるのは、消費者が食料品に払う金額の約2割で、作物によってはさらにずっと少ないものもある。あるアナリストが指摘しているように、「シリアルを食料品店に運ぶ際のコストは、箱の中身が空っぽでもいっぱいでも、さほど変わらないだろう」
食料システムの流れの中で最もエネルギーを使っているのは、家庭の台所である。食品を冷蔵・冷凍したり、調理したりするのに使われるエネルギーは、最初にそれを生産するのに使われるエネルギーよりもはるかに多い。食料システムで膨大なエネルギーを使うのは、農場のトラクターではなく、台所の冷蔵庫なのだ。食料システムの生産側の主役が石油だとすれば、消費側の主役は電力である。
要するに、石油が安かった時代に発展した現代の食料システムは、エネルギー価格が上昇し、化石燃料の供給が先細る中、今の仕組みのままでは存続できないだろうということである。
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農業の地産地消と都市農園についての詳細は、こちらのウェブサイトの「Farming in the City」を参照のこと。
http://www.earthpolicy.org/Books/PB3/PB3ch10_ss5.htm
出典:レスター・R・ブラウン著、『プランB3.0:人類文明を救うために』
(PlanB3.0: Mobilizing to Save Civilization)第2章「ピークオイルとフードセキュリティ」
2008年、W.W.ノートン社(ニューヨーク)より刊行。
www.earthpolicy.org/Books/PB2/index.htm にて無料ダウンロードおよび購入可。
問い合わせ先:
メディア関連の問い合わせ:
リア・ジャニス・カウフマン
電話:(202) 496-9290 内線 12
電子メール:rjk@earthpolicy.org
研究関連の問い合わせ:
ジャネット・ラーセン
電話:(202) 496-9290 内線 14
電子メール:jlarsen@earthpolicy.org
アースポリシー研究所
1350 Connecticut Ave. NW, Suite 403
Washington, DC 20036
ウェブサイト:www.earthpolicy.org
(翻訳:小野寺春香 チェッカー:小林紀子)
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■実践和訳チームについて
上記のレスターのプレスリリース文もそうですが、「実践和訳チーム」が翻訳を担当してくれています。このチームについてのご質問やトライアル(入るためのテスト)についてのお問い合わせをいただいているので、簡単にご紹介しますね。
実践和訳チームとは、トライアル合格者のみからなる少数精鋭チームで、現在30人強のメンバーが活躍しています。
メールニュースでご紹介している海外の貴重な情報も、このチームが翻訳を担当してくれています。毎月レスターの研究所から届く情報などを、それぞれの仕事や生活の合間の時間にコツコツと訳してくれて、メールニュースを通じて多くの方々に読んでもらえるようにしてくれている、大事なチームです。
このようなボランティア翻訳のほか、仕事としての翻訳や出版翻訳をお願いすることもあります。『カサンドラのジレンマ 地球の危機、希望の歌』のほか、最新刊のドネラさんの『地球の法則と選ぶべき未来』も、このチームと一緒に訳しました。
翻訳はチーム内での相互チェックやコメントによって仕上げていくしくみになっており、メンバーの翻訳力アップにもつながっています。出版翻訳は、私が最終的に修正・トーンの統一などを担当しているので、自分が訳した箇所がどのように最終版になっているかを見ることで、添削?効果もあるようです。
「このチームに入るには?」
現在は、オープン形式(誰でも参加できる)のトライアルを行っていません。オープン形式のトライアルは、参加者のレベルが多種多様で、こちら側の負担が大きくなりすぎるためです。
そこで、あるレベル以上であることを実証された方々や、私が大事だと思うプロセスでトレーニングを積んだ方々を対象にトライアルを行うことにしています。具体的には、以下の2つの方法となります。
(1)メール講座「Next Stage」を最後まで修了した方をメンバーとする「Next Stage Club」でのトライアル(年に1回以上)
メール講座「Next Stage」については、こちらにご案内があります。
http://www.es-inc.jp/courses/course09.html
(2)「トライアルを兼ねた翻訳道場」でのトライアル(不定期)
今年前半の翻訳道場は5月〜8月に終了しました(昨日が最終日でした!)
次回は冬に開催することを考えています。ご案内はイーズの新着に出しますが、開催が決まったら直接案内がほしい、という方は、担当者までそのようにお申し込み下さい。
(イーズ 翻訳道場担当 関 info@es-inc.jp )
我こそは!と思う方、翻訳で食べていける力を身につけていきたい方、環境問題や持続可能性の問題に、翻訳を通じて貢献したいと思っている方、ご一緒できることを楽しみにしています〜!
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■ウェブ制作のグラム・デザイン、新メンバーを募集しています
イーズやチェンジ・エージェントのウェブサイト、「日刊 温暖化新聞」や「私の森.jp」などを作ってくれている、すてきなウェブ制作チームのグラム・デザインが新メンバーを募集しています。
ウェブを通じて、どのように環境問題に取り組めるのか、社会を変えていけるのか--優れたデザインとセンスと緻密な計算で、いつもこちらの想像を超えたすてきなサイトを展開してくれている仲間です。メールニュースの読者とは思いが重なる部分が大きいと思うので、求人のご案内をお伝えします〜。
我こそは!という方のほか、環境問題などに関心があってウェブができるお知り合いがいらしたら、ぜひお伝え下さいな。
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新メンバーを募集します。
Webデザイナー 1名
アシスタントコーディネーター 1名
グラム・デザインについて
少人数体制を維持しながら、Web制作会社として12年の実績がある、安定した会社です(これまでは!)。大手企業案件との受注バランスをとりながら、社会に向けて貢献度の高いプロジェクトを選んで制作をしてきました。ほとんどのプロジェクトで企画+プロデュースから運営まで関わっており、クライアントとの関係も良いので、のびのびと仕事ができる環境だと思います。
今後も、経営体力の許す限り、温暖化、生物多様性、教育、農業・林業、など未来につながる大事なテーマに注力していきますので、ココロザシのある方、ぜひご一緒に。
メゾネットタイプの居住型マンションをリモデルしたオフィスは広くて光と風がよく通ります。エアコンはできるだけつけません。中目黒や三宿は徒歩圏内ですが、幹線道路沿いではなく、比較的静かです。ベランダでゴーヤ栽培&収穫中。
詳細については、お問い合わせください。